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力まずに、客観的に

一歩引いて観察する

ここぞというときに力んでしまうことは誰でもありますが、余計な力が入るといい結果には繋がらないものです。

例えばボクシングで、相手を倒そうと意識しすぎると変に力が入ってしまうものですが、ガチガチに力んだパンチはスピードが遅く、相手に当たったとしても滅多に効きません。力学的に無駄が多すぎるんですね。スタミナも無駄に消耗します

長谷川穂積という名チャンピオンをご存じの方も多いと思いますが、彼のシャドウボクシングを見れば、びっくりするくらい力が抜けています。ふにゃふにゃです。でも、相手がいるときは、パンチが当たる瞬間だけグッと拳を握り込む。これが、あの超絶スピードと絶妙なタイミングでKOの山を生んだパンチです。

一発で効かせてしまうパンチというのは、案外、自分でも「あれ?これで倒れるの?」と拍子抜けするようなパンチだったりします。何万回もの練習で、意識せずとも体が覚えてるんですね。勝利者インタビューで、実際のKOパンチを選手が覚えてないことも、珍しくはありません。

また、長谷川穂積の全盛時は、超至近距離で猛ラッシュしている最中も、相手のパンチをヒョイヒョイかわしてました。こんなの常人にはできませんが、頭の中は常に客観的な分析ができていたんだろうと思います。

商品開発、販売も同じなんですよ。自社で企画して作った商品に愛着があるのは当然ですが、一方で、ガチガチに思い込まずに、常に一歩引いた眼で見ることも大切なんですね。そうしないと、明らかにやり方が間違っていても、頑なにひとつの方法にこだわったりして、結果、体力が尽きてフェードアウトということになります。

明らかに自分の子供が間違っているのに、「うちの子に限って!」と絶対に非を認めない親と同じです。実際いますよね、こういう親。そういう人が商品を作ったら、上記のようなことになります(知らんけど)。

おびただしい試行錯誤

先日、オリジナルの調理鍋などを作っている、ある製造業の工場に足を運びました。そこは2年前に自社商品を作り始め、いまは産学連携にも取り組んでいる話題のメーカーです。

とはいえ、2年前に始めたということなので、まだ商品点数はそれほどでもないだろうと予想していると、ショウルームにはこちらの予想をはるかに超える商品数が。2年でこんなに作ったのかと驚きましたが、おそらくヒットしているのはその中の一部です。2割の社員が8割を支えるという「二:八の法則」よりも少なく、一:九以下だと思います。この商品数は試行錯誤の足跡でもあるのでしょう。ここに客観性がなければ、ひとつの商品にこだわってしまい、これだけの商品数にはなってないでしょう。ヒット商品を生み出すことも、おそらくなかったのではないかと思います。

客観性がなければテストも無意味

商品ができれば、どこかでテスト販売しますよね。その際も、一歩引いて客観的に見ないと、テストの意味がありません。例えば、Amazonのサイトなどは頻繁にABテストを繰り返しているのご存じですか?これは、10年以上前にもどこかで書いた記憶があるのですが、Amazonのヘビーユーザーなら、購入ボタンの形や全体のレイアウトなど、定期的に変わるのはご存じですよね。あれは反応率等をテストしているわけですが、そこに主観は入り込む余地がなく、あくまで客観的、データドリブンです。たぶん。

思い込みや愛着は横において、左脳で見ることです。せっかく思いを込めて作ったラベルなのに、、、。この土地で獲れたこの素材を使いたい!この形状は他にないのでこだわりたい。自分の子供のようなものなので、いろいろ思い入れはあると思いますが、それでもダメなものはダメ。そこは冷酷に。そうしないと改善に繋がりません

力を抜いて、冷静に、一歩引いて。自社商品を作る際も販売する際も、この姿勢はとても重要です。

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