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メキシコで映画を観たら犬がいた



映画を観に行ったら、犬がいた。


比喩表現とかではなく、本物のチワワがいた。


”映画を観に行く途中に犬を見た”とか”映画館の前に犬がいた”という話ではなく、映画館のシアター内に犬がいたのだ。


話は4時間前にさかのぼる。


夫と話題のマリオブラザーズを観に行った。メキシコには普通のシートとVIPシートがあり、VIPシートだとリクライニング付きのベッドのようなソファで寝転びながら快適に映画を観ることができる。しかもそんなに高くない。


私と夫はリクライニング付きの快適なソファ席に寝転び、まるで家のようにくつろいで映画を観た。

メキシコの映画は自由だ。
上映中に大声で笑ったり、喋ったり、歌ったりする。

マリオだったこともあるし、そんな真剣に観ている客はいなくて、上映中にも関わらず客やスタッフが私の前を行ったり来たり。

そうした映画の見方が嫌いな人にはひどく不快だろうし、日本でやろうものならスタッフにクレーム、スタッフが注意するという流れになると思う。

でもメキシコだからこんなもんだよなって思ってる自分がいるし、なんなら私も隣で酒を飲んでる夫(自分でジンを持ち込み買ったコーラに入れてカクテルにしていた)に逐一話しかけ、私に執拗に話しかけられる夫も懐かしのマリオソングを楽しそうに歌ってた。

面白いシーンでは声を出して笑って、そこで笑っているのが私だけだったりもした。(私は英語音声スペイン語字幕で観たから、英語できいてる私とスペイン語の字幕を観てる人とで、度々笑いのツボが違った感がある。)


でも、そんな自由なメキシコの映画館がいい。
そっちの方が気楽で楽しい。

メキシコに住み始めて3年目、私は立派なメキシコかぶれとなっている。


ここで冒頭の例の話に戻るが、たしかに上映中に度々「クゥン…」という声が聞こえたような気はした。でも空耳かと思ったし、映画の音声も大きいから特に気にしていなかった。こんなところに犬がいるはずないし。


でも映画が終わり、エンドロールが流れ、最後のおまけパートを観てそろそろ行くか…となった時

後ろで


ワンッッ


と聞こえた。


紛れもない、犬の鳴き声だ。


振り返ると、白いチワワが女性の膝の上にのっていた。


チワワ・・・?


こんな感じの子だった。


一瞬ポカンとした。

いくらメキシコ人が自由だからって、いくらメキシコ人が犬が好きだからって、映画館に連れてこられた犬は初めて見た。


かわいらしい白いチワワだった。

むしろこのタイミングで吠えるなんて、なんて賢いんだとさえ思った。確かに「クゥン」程度は言ってたのかもしれないけど、上映中に吠えたりは全くしなかった。


あのチワワはひたすら2時間程の映画(広告含む)を、飼い主の膝の上で黙って観ていたのか…。


びっくり。


「メキシコはなんでもありだから」と知ったかぶりをしていたけれど、まだまだ私の予想の上をいく出来事が起こる。


まぁこういうメキシコのなんでもありな感じ、嫌いじゃない。



飼い主の方を見てみると連れの人と喋りながら帰り支度をしていて、レスキュー犬とかではなさそうでした。飼い主といつも一緒にいる、愛情をかけられて育ったチワワなのかな、と。

ちなみにチワワはメキシコが原産の犬です。メキシコのチワワ州を訪れたアメリカ人旅行者によって偶然発見され、買われていったらしいです。日本同様にメキシコにもチワワを飼っている人がたくさんいます。


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