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イタリアフードテックの最前線について聞いてきた

東京都が主催する、東京から世界を目指す起業家や世界のイノベーションエコシステムの関係者が集まるプラットフォームX-HUB Tokyoのイベント、イタリアフードテック特集イベントに行ってきました。

■イタリアフードテックトレンドについて
コカコーラに次ぐ食の有名ブランドは何?と問うと「Made in Italy!」と言うほどイタリアの食産業は大きく、食産業400億ユーロ、デザイン200億ユーロ、工業61億ユーロ、ファッション60億ユーロという巨大な規模と持っている。

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ベンチャー投資もフードテックは最近成長しつつあり、2017年から2018年にかけて163%の成長をしている。

注目を浴びている領域はプラントベースフード(代替肉)や顧客の行動変容を起こす体験、新食材、パーソナライゼーション、アグリテックあたりのキーワードだそう。

また、わりとヨーロッパ共通事項ですが環境意識が非常に高く、サーキュラーエコノミー(循環経済)や持続可能性、廃棄物や無駄の削減、食品ロス、包装のゴミに関する意識がとても高く、それに類するベンチャーが生まれがちとのこと。

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投資金額ベースでは北部83%、中部14%、南部3%と圧倒的に北部のミラノ周辺に集中しているが、アクセラレーターやリサーチセンター、ベンチャーキャピタルはイタリア全土に広がりつつある。

全カテゴリで最近注目を浴びているイタリアベンチャーは

GreenRail
エコフレンドリーなリサイクルプラスチックを利用したレイル素材
http://www.greenrailgroup.com/en/home/

Musememt
体験中心で探せるオンライン旅行予約 トラベルテック
https://www.musement.com/us/

Supermercato24
オンラインでオーダーすると、自宅に届く買物代行
https://www.supermercato24.it/

あたりとのこと。

■フードテック専門のFoodtech Accelerator
Foodtech Acceleratorは15週間で行われるフードテックベンチャー専門のアクセラレータープログラムで、期間内に店頭販売によるMVPのテストや技術可能性の支援、事業メンタリング等の支援を行いつつベンチャーを加速支援する。
Batch1が終了し、現在Batch2を2020年1月末にスタートしたばかりという状況。

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Batch 1卒業生
FEAT FOOD
スポーツやダイエットユーザー向けの健康的でカスタマイズされたお弁当的な食品を提供
WASTELESS
AIを活用して、スーパーで陳列されている食品の賞味期限等に基づいてダイレクトプライシングできるサービスと提供する
FEEDOH
人間が食べるクオリティの栄養バランスのとれたペットフードを提供する
INSPECTO
食品汚染物質を早期検知できるポータブルデバイス。食品の生産、加工、流通等の過程で早期に簡易に発見できる
PLANETARIANS
脂を搾った後のヒマワリの種子から小麦粉を生成する。通常の小麦粉よりもタンパク質や食物繊維が豊富
RISE PRODUCTS
ビール醸造等で使用済みの穀物から小麦粉を生成する。同じくタンパク質と食物繊維が豊富
ReOlì
油を個体化する新しい技術をもつベンチャー。エキストラバージンオイルからクリームやバターを生成する

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Batch2は世界各国の600以上のチームからの応募があり、様々な国(半分イスラエル)から9つのチームを採択している。
Batch1の応募は300程度だったが倍以上のチームが応募するようになったとのことで、Foodtech Acceleratorの存在が注目を増していることがわかる。

採択ベンチャーリストはこちら
https://www.foodtechaccelerator.io/kickoff-fta-2nd-edition/

■卵の性別をコントロールするSOOS
Batch2ベンチャーの中でも個人的にかなり面白いと思ったのがSOOS

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鶏の卵は当然ながら自然のまま孵化すると50%の確立で雌雄が決まる。
だが、基本的には雌のほうが卵を産むため経済価値が高く、雄のひよこは食肉に育てるかそのまま処分されることも多く、年間75億匹のひよこが世界では間引かれている。
日本で今見る事は無くなってきたが、縁日で売っていたカラーひよこも雄だ。

当然これはアニマルウェルフェアの観点からもよろしくないし、経済動物である鶏を無駄に浪費していることになる。

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そこで登場するのがSOOSのソリューションで、孵化する卵に特定の音波や振動を与えることによってなんと「遺伝子的には雄だけど、機能的には雌」が産まれるという。

要は、体格は雄なので食肉部位が多く取れるが卵を産む機能も持つという性に産まれるそうで現在は60%程度が卵を産める状態に産まれるようになっており、近い将来80%まで引き上げていくという。
(雌50%、雄だけど雌10%、雄40%ということらしい)

実はひよこ鑑定士という職があり、日本人の職人が高価で世界中に雇われるという事象もあり、eggxytSeleggtIn Ovoなどのひよこの雌雄判別ベンチャーは存在するものの、そもそも雌雄生まれる割合をコントロールするというアプローチは非常にユニークなので今後に注目したい。

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