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「今日が、ずっと続けばいい」やっとここまで、想えるようになった【東京・丸の内】

段々と灯りがともってゆく、東京・丸の内。空が綺麗だ、と眺めながらゆっくり歩く。秋の日、火曜日の午後、なんてことない日、こういう日がずっと続けばいいと想う。

2年ほど前、世界を気ままに旅しながら、日本から海外に移住することを選んだ女性に、インタビューをして回っていた。タイやマレーシア、インドネシア、スウェーデン、イギリス、オーストラリア。

カフェの店主、通訳、アジアンテキスタイルを用いたオリジナルバッグ作り、現地コーディネーター、陶芸家、イラストレーター、そして写真家。

その時一番魅力的だと思った人に、現地に到着してからアポイントを申し込んで、そして逢いに行かせてもらった。

「どうしてあなたがいいと思ったのか」? 日本を遠く離れて、違う土地で生きること。「一人になっても、やるのだ」と心に決めた職業を見つけたこと。そして今も、まだそこに住み続ける強さと光。その時も理由はしっかり言えた。

けれど今なら、もっと確固たる理由が分かる。私は、「自分の未来に彼女たちのような姿があるのかもしれない」と感じてた。想いたかった。その未来を、見たかった。

なんて自分勝手。

無意識だったけれど、カフェのオーナーも、通訳も、ブランド作りも、現地コーディネーターも、イラストレーターは才能がなさすぎてちょっと無理だけれど……(いや他のも難しいのだけれどね、私は壊滅的に絵のセンスがないのだ)、当然のように写真家も。

「そうやって生きている人が、この世界には確かにいるのだ」と。その実感を得ながら、拾い集めながら、世界を歩く。努力と時間と、飛び込んでみた勇気の裏付けを持って輝く、生きる彼女たちの言葉を写真と綴った。

学んだことはたくさんある。

けれど一番印象に残っているのは。「明日地球がなくなるとしたら、最後の日に何をする?」という質問に、「何もしない」と答えたこと。

「今日と同じ日常を、積み重ねる」

すごいことだと、私は遠い異国の空の下想っていた。

特別なことは何もしない。「最後の日だから」「今日しかないから」「ずっと願っていたこと、今日だけは」。そんなふうに、彼女たちは考えない。

「今日の続きを、明日もするよ」と。笑っていた。

明日あしたと言っていたら、その明日にはいつまでも出会えない。今日かもしれないと想うのなら、それを「今日」にしてしまえばいい。

遠く離れているといっても、同じ日本ならそんなに遠くない。

「秋の日、火曜日の午後、なんてことない日、こういう日がずっと続けばいいと想う」。思わず丸の内の夕焼けを見ていて、こんなふうに想った自分に少し驚いた。

今日が、ずっと続けばいいと想う。やっとここまで、思えるようになった。今日がずっと続けばいい。その向こうに、また新しいことを積み重ねよう。

いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。