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おすすめしたい今年見た映画5選+α

今年見た映画も振り返っておこう。映画は、そんなに詳しくないけれど好きです。若い頃、映画制作の専門学校エンブゼミナールに通っていたこともあるのはちょっと自慢です笑。

今年は、興味があってもなくても映画を見る、を一つの目標にしていましたが、後半怠けてしまい・・・。来年の目標は、映像作品にふれること。そして映像作品に関わること、です。

本当は、映画を見終わった後、「あそこはこうだよね、ああだよね」と言い合う時間を持ちたい。だから鑑賞日記のように独り言を呟いております。では、私のせっまいアンテナに引っかかった映画5選です。


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1) 『君の膵臓を食べたい』

イケイケの若手俳優が出てるわかりやすい感動もの、という偏見まみれで観たのですが、この映画のおかげで北村匠海くんにどハマりするという、ミーハーな一年のスタートを切ることになりました。

小説も読みましたが、この物語が世の中に発信したメッセージは普遍のものでしたね。

毎瞬の命を生ききること

昨日まであった命が、今日はない。その落差に、観終わった後、私も高校生みたいな心ぼそい感覚になって、泣いてしまいました。

映画では、小説とは違うアレンジも加わり、全く違うものとして楽しめたところもよかったです。そこはやはり、浜辺美波さんや北村匠海くんが、見事に自分たちの作品にして演じ切っていることなんですよね。表現の世界の真ん中にいる若い役者さんたちの、純粋な能力の高さを発見させてくれた作品でもあります。


2) 素晴らしき世界

これはねえ、できるだけたくさんの方に、目にしてほしい名作だと私は思いましたね。というか、これをみて一緒に考えたい、という気持ちですかね。そして今もまだ、この作品を見た時の感動って、続いているんですよね。わからない、という意味で。

あまり救いがあるようには思えなかったラスト。私は、率直になぜこのタイトルになったのがが気になって仕方がありませんでした。そして、「この世界には答えがない」ということを描こうとしたのではと結論づけて、納得していたのですが、最近は、また違う感想が浮かんでいます。

それは、主人公・三上のような人が、現実、この社会に存在することへの賛歌だったのではないかということ。

監督のフラットな社会への眼差しに、根性を感じます。偏っていないし、熱くなりすぎもしない。みんなで一緒に考えようよ、なんて一言も言われていないのに、なぜか自分もその世界の住人となって、ナチュラルに課題について考えてしまっている、ものすごい作品だと思います。


3)竜とそばかすの姫

劇場で観れたことが感動を倍にしたかもしれません。もう一つの仮想世界「U」で、圧倒的な存在感と人気を誇るベルが登場した冒頭のシーンから、鳥肌が止まらず。

中村佳穂さんの歌声は、この作品のもうひとつのメインコンテンツでしたね。仮想現実という世界観、デジタルと現実世界との対比。スクリーン上で表現しうるあらゆる技術が、詰め込まれていて一瞬も見逃せないというワクワクがありました。

ディズニーの『美女と野獣』がモチーフになっているところには、娘なんかは「真似っこやん!」と言って憤慨していましたが、それによる影響があるのかないのか、よくわからないくらい、私は、細田監督が描こうとした「もうひとりの自分(世界)」の覚醒に、ガツンとやられた感じです。

もうひとりの自分て、どこにもいないし見えないんですよね。自分が表現しないかぎり。

この映画は、仮想空間を使って、しかも、高知を想像させる田舎とのリアルとの対比のなかで、「覚醒」を描いていると私には思えます。そして、これは監督からのひとりひとりへのエール、いや、合図なのだ、とも。


4)『くちづけ』

号泣しすぎて瞼が腫れた大賞があったら、まちがいなくこの作品。福祉がキーワードになった今年、取材させていただいている方から教えてもらい、勉強がてら見たのですが、もう・・何というか、

当事者でもなんでもない私でさえ、この社会の課題と優しさ、当事者の痛みと喜び、全部ひっくるめて一気にやってきて、娘と一緒に観たのですが二人して嗚咽しました。最後はタオルのとりあいで、びっしょびしょに。

内容の素晴らしさはもちろんのこと、この作品には、取材者としての自分を重ねあわせてしまったと思います。

障がいのある人たち、彼らをとりまく現実は、そんなに美しくもないし、支援者にしたって慈愛ばかりでやっているわけじゃない。そういった現実から目を逸らさず、映像にしようとした製作陣のかっこよさを、私は感じました。

もともとは舞台作品なのですね。原作・脚本を手掛け、主人公である知的障害を持つうーやんを演じた宅間孝行さんの天才さを感じました。いつか舞台でも拝見してみたい。


5)犬部

獣医をめざす若い学生たちが、殺処分される犬たちを救うために、現実とぶつかりながらそれぞれの方向に立ち向かっていくノンフィクションを元にした映画です。こちらも、ある意味では製作者たちと自分を重ねてみて作品。

丁寧な取材に基づき再構成されているところに、製作者としての覚悟を感じ、強く共感しました。私も、動物園の飼育員さんを取材させてもらう中で、同じような言葉、同じような情報に触れました。命を描こうとしたら、ぬるい感動でなんか、終わらないんですよね。

そして、ともすると重くなりがちなテーマに取り組む、役者さんたちがね、本当に素晴らしかった。今年は若い俳優さんの底力を、映画を通じてたくさん感じられたのもよかったです。

余談ですが、こちらの記事がnoteのピックアップされたのも嬉しかった出来事の一つ。


最後に番外編です。
今年は自分の誕生日に、偶然この映画を見ることになりました。

『祈り〜サムシンググレートとの対話〜』

筑波大学名誉教授で遺伝子情報の解読に命を注いだ、村上和雄博士。博士の研究を元に、人の「祈り」の力に科学で迫るドキュメントです。村上さんは、今年4月逝去されています。

遺伝子情報の解読を続ける中、村上博士が抱いた疑問。それは、お互いに影響し合いながら見事な連携を持って存在している膨大な遺伝子情報を、いったい、誰が書いたのか、ということでした。

それを読むことはできる。でも、誰がそれを書いたのか。村上博士は、それを「自然」ではなく「サムシング・グレート」と名づけます。


この映画を見終わったとき、勝手に鼓動を打ち存在している私自身の命もまた、自然というシステムに組み込まれたDNAのひとつのようなものなのだと思いました。存在することで波紋をおこし、また誰かに影響を与え、与えられたりしている存在なのだと。

映画のラストでは、無名の兵士が残した一編の詩が、監督であり声優でもある白鳥哲さんの声によって語られます。

宇宙のなぞが、愛の旋律のように響き、静かに涙が頬を伝いました。それは、上記の映画によってもたらされた感動とは、全く違う種類の感動だったような気がします。

今年、成し遂げられたことも、できなかったことも、いろんなこと、悲喜交々、全てがある365日でした。その一つ一つが、サムシンググーレトからの祝福。こちらの詩、鑑賞後ノートに書き留めました。よかったら今年の締めにどうぞ。


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<南北戦争で傷ついた無名の兵士が、病床で綴ったとされる詩>

大きなことを成し遂げるために 
強さを与えてほしいと神に求めたのに
謙遜を学ぶように 弱さを授かった

偉大なことができるようにと 
健康を求めたのに
より良きことをするようにと 
病気を賜った

幸せになろうとして 
富を求めたのに
賢明であるようにと 
貧困を授かった

世の人々の称賛を得ようとして 
力と成功を求めたのに
得意にならないようにと 
失敗を授かった

人生を楽しむために 
あらゆるものを求めたのに
あらゆるものを慈しむために 
人生を授かった

求めたものは一つとして与えられなかったが 
願いはすべて聞き届けられた

神の意にそわぬものであるにもかかわらず
心の中の言い表せないものはすべて叶えられた
私はもっとも豊かに祝福されたのだ

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