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2021年ことはじめ。タモリとアイガーと、すきやばし二郎。

去年のお正月を思い返すと、ずいぶん遠いところに来たなぁと思う。

東京オリンピックはどうなるだろうね!? トカ いい家見つかるかなぁ トカ 事業開発ユニットいよいよスタートだな トカ

仕事でもプライベートでも、今とはずいぶん違う状況があった。

それから1年。コロナは勃発するし、大みそかの東京での感染者数はついに1,000名を超えて、コロナの第三波はいよいよのっぴきならないことになっている。

それでも、日々は流れていくし、2021年が開けた。始まった。

年末に「ディズニーCEOが実践する10の原則」という本を読んだ。英語版のこの評価、ヤバないですか? 7,200件のレビューの85%が★5つ。僕は★10個くらい付けたい気持ちになった。

著者であるロバート・アイガーは、CEO就任後の15年間で、ディズニーの株価を5倍以上に押しあげた『偉大なCEO』。ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックスの超大型買収を実現するとともに、既存事業とのカニバリズムをもろともせずにDtoC配信サービス「ディズニープラス」を立ち上げるなどして『偉業』を達成した。

帯にはユニクロの柳井さんがコメントを寄せている。

「生きる伝説。奇跡の大成功の数々を追体験し、次はあなたが成功する。」

強い、言葉が強いよ、柳井さん。。。)

本では、ABCテレビの下っ端からディズニーのトップに上り詰めるまでのキャリアの詳細が綴られている。柳井さんの言葉通り、追体験できるほどの細かさで、節目節目の出来事が語られている。

もちろん、ディズニーCEO 兼 生きる伝説の「出来事」なので、スケールは大きい。CEO就任をかけた取締役会との攻防やピクサー買収を巡るスティーブジョブスとのかけひき。「スターウォーズ」でのジョージルーカスとの行き違いなど、世界中の誰しもが知っている「偉大な」人々とのやり取りは読んでてワクワクする。

と同時に、何とも言えない、アイガーへの親近感も、この本は抱かせてくれる。朝起きて夜寝るまでのアイガーを思い浮かべると、スケールは違えど、多くの人にとっても、近しい部分があるんじゃないかと思う。目の前のプロジェクトに憂鬱を抱えていたり、昇進に一喜一憂したり、予想以上の結果に嬉しくなったり。

悲喜こもごも。

アイガーの人生を追体験して見えてくるのは、「偉大な」CEOの人間離れした日常ではなく、誠実に日々を生き抜く人だからこそ味わえる、人間臭い、「人生」の輝きだった。

アイガー、次はアメリカ大統領選行くんだろなぁ。偉大な凡人の旅路を、僕はこれからも楽しみにしている。

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2021年が始まった。1年後の今年の大みそかも「ずいぶん遠いところに来たなぁ」としみじみ振返ることになるのか。全然、分からない。

ここ最近よく考えているのは、社会インパクトに人生の意義を求めると、ちょっとしんどくない? ということ。視野を広く持てば持つほど、社会はどこまでも広がっていき、その中で自分が出来ることなんて、取るに足らない、ちっぽけなものに見えてくる。同時代の社会を見てもそうなんだから、時間をぐ~と過去から未来に引き延ばすと、I am 芥子粒、に違いない。

アイガーだって、15年かけて、ディズニーの時価総額を5倍に上げて、世界の偉大なCEOの一人に選ばれるような人だけど、「で、それがなんなの? 世界を見渡した時のディズニーが5倍ってなに?」と考えたら、ちょっと困る。どう、位置付けたらいいんだ、って。

社会って、めっちゃくちゃデカくて、日本でも1億人以上、世界では70億人以上のひとが集って、ひとつの『社会』を織りなしている。すべての問題の起因となっている「それを解決したら、万事OK!!」というような課題はそもそもないし、たったひとりの人間が、社会全体を変革することは、非常に難しいのではないかと思う。

社会全体から逆算して、自分が生み出したインパクトを考えると、どうしても自分も人生もちっぽけに映ってしまう。そうではない、もっと違う人生へのアプローチを考えている。

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この年末年始の休み中に、「私のほぼ日プレイリスト」という企画から、いつくかの記事を見た。以下は印象的だった言葉たち。まずは聖路加病院の名誉院長だった日野原さん(故人)と糸井さんとの対談から。

糸井  つまり、人が仕事だと思っていることを、先生は、ある種のプレーとして楽しんでいらっしゃるんですね。
日野原  プレー。そうですよ!

次は糸井さんとタモリさんの対談から。だいぶ長いけど、以下引用。

糸井 タモリさんって、絶えず、「日々を営む」っていうことを優先させますね。
タモリ ええ。なんとか生き延びるっていうことが最優先。
糸井 生存戦略(笑)。
タモリ ええ。つまりあの、観念によって生きかたが規制されるっていうのが、あんまり良くないですね。
糸井 よくない。
タモリ 正義であるとか、こうしなければならないとかいうために、自分の生きかたを規制されるっていうのは、結局、言葉だけを信じて生きてるみたいなもんですからね。お題目になっちゃう。
糸井 そうですね。だから、「変態反対」に対抗、っていいながら、
結局は、観念の中に突入していってしまうわけですよね(笑)。
タモリ ええ、ええ、そうです。
糸井 で、どうなるかっていうと、それはちっとも楽しくも何ともなくなっちゃう。
タモリ 楽しくもないことなんですよね。
糸井 人のためにもなんないと思うんですよね。
タモリ ええ。
糸井 自分のため以上にね。
タモリ ええ。
糸井 80年代の初期の対談でも、同じようなことを言ってよろこんでますね、ぼくらは。
※註:『話せばわかるか』という過去の糸井重里対談集をひもとくと確かにタモリさんは、「俺は全体像にまったく欠けている。なんか、全体像を持つと不幸ですよね。こうあるべきとか位置づけると不幸ですよ。ここまで、どうあるべきでやってきたわけじゃないからね」というようなことを話しています。
タモリ (笑)変わってませんね、ぼくも。
糸井 まったく変わってませんね(笑)。

次も同じく、タモリさんとの対談から。思わず、おっ!と嬉しくなった。職人と落語。

タモリ 証明です。だからぼくは職人が多い社会がいちばん健全じゃないかと思うんですけどね。
糸井 ぼくもそう思う。だから、落語の中の世界が、ぼくのマニフェストなんですよ。あそこには、だいたいアホもいて、ちょっと強欲なヤツもいて。ぜんぶ一通り揃ってるんです。全員、ないと困るなっていう感じで生きてるんですよ。

最後は、吉本隆明さんと糸井さんの対談から。吉本さんの言葉。

吉本 要するに、簡単に言えば、個人個人が自分が当面してる、いちばん大切なことを、いちばん大切として生きなさい、という、それだけのことですよ。

公にどんなことがあろうと、なんだろうと、自分にとっていちばん大切だと
思えることをやる、それだけです。

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偉大なる先人たちの言葉をいいとこ取りさせていただくと、

観念に縛られることなく、自分にとって一番大切だと思えることを、日々をプレーするような心持ちでやっていく。

そんな生き方が見えてくる。タモリさんが言った「職人」と言う言葉も印象的だった。アイガーがひどく感動し、ディズニーの経営陣に見せた映画がある。「二郎は鮨の夢を見る」。日本を代表する鮨職人・小野二郎のドキュメンタリーだ。観念に縛られることなく、職人のような生き様で、自分の「技」を磨いていく。素敵だなぁ。

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2021年おおみそか。

謙人は小学1年生になってるし、律はプレ保育に通っているし、自分は33歳、奥さんは34歳になっている。どうか、なっていてほしい。

リディラバでは、1年後、社会課題を「事業」で解決していく勘所が、今よりももっともっと高い解像度で見えている、はずだ。

この1年、大切な人との日々をプレーしながら、自分の「技」を磨いていきたいと思っている。

お読みいただき、ありがとうございます。七転び八起きな人生を、みんなで楽しみ合いながら、笑い合いながら暮らしていけたらいいなぁと思って、noteでマガジンやっております。もしよろしければ、フォローいただけると嬉しいです(^^