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小説「パチンコ」

パチンコ。在日コリアン、4世代の家族の物語。

日韓併合後の朝鮮半島で物語は始まり、1989年の日本で物語は終わる。
なんでこんなにも、作中の登場人物たちの息遣いが伝わってくるのか。
表現は簡潔で、ことさらな内面の描写などもない。多くの人が「在日コリアン」としての困難を生き、「希望」と巡り会えたのに、死んでいく。頼むから、頼むから報われてよ、と思うのに、容赦なく死んでいく。
「パチンコ」では差別と家族が描かれている。血のつながっている家族もいれば、血のつながっていない家族も出てくる。血のつながっている他人も出てくる。


物語の序盤に描かれるある過ちが、四世代の家族に大きな困難を強いる。すべてのはじまりに、過ちがある。一方で、その過ちがあったからこそ、生まれた命も愛もある。


「在日コリアン」への差別はいまの日本にもある。「パチンコ」という小説には、啓蒙的な書きぶりは全くといっていいほど、登場しない。
ただただ、主人公たちは差別が蔓延する社会を懸命に生き、死んでいく。
物語は最後、お墓の前で終わる。どうか、ソンジャの余生とソロモンの前途が良きものになってほしい、という気持ちでいっぱいになった。



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