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タライビオトープにウシガエルが侵入した際の記録と考察


前回の記事にて、自宅ビオトープにトウキョウダルマガエル2匹が訪れた事を記録したが、そういえば昨年の7月末にはウシガエルの幼体も1匹だけ同ビオトープに訪れていた事を思い出した。
可哀想ではあるが、特定外来生物なので勿論もちろん駆除を行い、餌とした後に供養と埋葬をした。
放置をしていれば凄まじい数の生物が捕食されていただろう。
ちなみに、今回のケースのように近辺で生まれ自力で訪れた外来生物をそのまま駆除した際の遺骸を庭に埋葬する事は、他の地域から寄生生物や細菌を持ち込む事には繋がらないため、問題がほとんど起こらないと思われる。



移動性が高いとはいえ、生活のほとんどを水場で過ごすウシガエル(のましてや尻尾が消えたばかりのサイズである幼体)が湿地から数百メートル離れた我が家に来訪した事をかなり不思議に思ったが、やはり川や水路に続く側溝によって数百メートルを遡ってきたとしか思えない。
その場合、晴天時は通水していないため、降雨時に遡上してきた可能性が高い。

それにしても、アマガエルのような登攀とうはん能力を持たないウシガエルが側溝内の1メートル近い垂直の壁を登る事は考え難いので、さらに地表に続くルートが近所の何処かにあるのだろう。

2022年7月末
ビオトープに来訪したウシガエル幼体

ビオトープに突如発生したウシガエル幼体の捕獲は4日がかりとなった。
大型の頑丈な網を用いればタライの中身を丸ごと攫いウシガエルを発見する事は容易だったが、水物用の網は捕虫網ほど奥行きがないためにカエルを確保し続ける事が難しい。
それ故、ウシガエルはそこから力強く跳ね回って容易に草薮の中に逃げてしまう。これを毎日繰り返した。

ようやく捕獲したウシガエル幼体

ウシガエルは毎度隣接する草藪に逃げ込むが、不思議な事に夜になると必ずタライビオトープの中に潜んでいた。
当時は地面に埋め込むタイプのビオトープは一切設置しておらず、庭に存在したのは防草シート上にそのまま置かれた高さ30センチ以上のタライビオトープ3つだけ。
ウシガエルが好んで入水していたのは、容器の高さ以上に伸びた草に隣接するビオトープである事がほとんどだったが、時には周辺に物が存在しない孤立したタライの中でも確認された。

草地に隣接するタライビオトープ
2023年はトウキョウダルマガエルが
入水していた
入水するトウキョウダルマガエル

以上の事から、ウシガエルは自身の目線のさらに上方に存在する水場を認識し、そこを目標地点とした跳躍を行って入水する事ができる能力が存在する可能性があり、空間把握能力も高いと考えられる。

現在、ウシガエルと同様の経路で訪れたと思われるトウキョウダルマガエル2匹が庭に1週間以上定着している状態だが、ウシガエルと同じように防草シート上にそのまま置かれたタライやプラ舟の中に毎日潜んでいる。

ウシガエルと同じアカガエル科であるためか、生態や能力に共通点が多いようだ。

足掛かりとなる傾斜が存在せずとも
プラ舟の縁に登っていた
トウキョウダルマガエル
プラ舟ビオトープ内の植物に身を潜めていた
トウキョウダルマガエル



しかし、準絶滅危惧種のトウキョウダルマガエルが自力で自宅ビオトープに訪れてくれた事は嬉しいが、同時に懸念も生まれる。
それは水田や川から数百メートルは離れている自宅に、成功率は低いながらもウシガエルやトウキョウダルマガエルが訪れる事ができる経路が確実に存在するという事実の立証に他ならないからだ。
逆に考えれば、庭で管理している動植物が降雨時等に水田や川に流出する危険性も高いという事になる。

幸いにも自宅ビオトープは幼少期よりのこだわりから徹底して『在住市内から採取及び採集を行った動植物のみ』を管理し、流出時の問題をなるべく最小に抑えており、ビオトープ自体も側溝から遠い場所に造成をしているが、今後も注意していかなければならない点だろう。

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