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珪砂内に大量の産卵を行ったスナハラゴミムシ


少し前に孵化を確認したスナハラゴミムシだが、本日も幼虫が続々と孵化をしていた。

回収したスナハラゴミムシ幼虫
今回は10匹を確認した

元々メスが3匹いた所にペアが揃った事に加えて、専食するタニシを高頻度で与えているために大量に卵が生産されているのだろう。

2022撮影
捕獲したスナハラゴミムシと
現地で持ち運んでいた餌のタニシ。
砂が入っていたタッパーであるため砂粒が付着している。


数日前、飼育ケース内に新たに入れた産卵床内にも卵が産み付けられていた。
他ゴミムシのように卵を包んだ泥壺(マッドセル)を作った形跡は無く、直接土中に産卵したものと思われる。
前回の孵化幼虫回収の際にも、飼育ケース内のメイン床材である白い珪砂の上には一切のマッドセル及びその破片が落ちている事は無かった。

産卵床となる泥に水を注ぐと
複数の卵が地表に現れた

スナハラはマッドセルを作らず、オサムシ類のように土中へ直接産卵するタイプなのかもしれない。
また、今回の孵化幼虫発見もそれを裏付けるかのような状況だった。
数日前に新たな産卵床となる上記の泥入り容器を入れる以前、1週間近くの間は産卵床を設置していなかったが、どうやらその間に床材として敷いている厚さ5センチの湿らせた珪砂内に直接産卵が行われていたようだ。

当noteで何度か書いているように、自分はゴミムシの繁殖を行う際はマッドセルの回収を容易にするために『産卵に適さないメイン床材・砂』と『小型容器内に入れた産卵床・泥』の2種類を同時に使用している。
メイン床材に泥を使用してしまうとマッドセルの発見難易度が上がり、取りこぼしが増えてしまうためだ。

オオキベリアオゴミムシの採卵環境
砂上にある泥粒が卵の入ったマッドセル


スナハラは生息地に多く存在する泥を好んで産卵するはずだ。田んぼや素掘り水路のような環境に特に多い。
今回の飼育においても泥への産卵を誘導するために『産卵を行えない場所』としてメイン床材に珪砂を使用していたが、砂中に直接産卵が行われていると考えるとあまり意味のない行為なのかもしれない。
産卵に適さない環境でゴミムシやオサムシを飼育すると地上に産み捨ててしまうケースも見られるが、スナハラの場合は産み捨てよりも湿った砂中への産卵を優先したのだろうか。
マッドセルを作るタイプのゴミムシではあまり見られない行動だ。


自分は河川敷のような環境でスナハラを確認した事が無いが、タニシが生息するような河川敷自体はいくつも歩いた事がある。
そうした場所は泥が存在しつつも主に砂泥質である場合が多い。
スナハラがそんな環境でも繁殖を行っているのならば、砂への産卵適性を元々持っていた可能性も考えられる。



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