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2023/08/07採集記録


2023/08/07
タニシの採集に向かう事を決めた。

前回の記事でも述べたように、スナハラゴミムシ幼虫が続々と孵化をした。
スナハラはタニシを好んで捕食し、特に幼虫となるとほぼタニシ専食と言っていいほどに嗜好性が偏っている。


自宅には餌用タニシ生体が何匹か残っていたが、これからスナハラ幼虫が何匹も追加で生まれてくる事を考えたら足りなくなるかもしれない。
さらには少し前に家族の多くが新型コロナウイルスに感染してしまった。
現在は症状の大部分は収まったとはいえ、自分がいつ何時感染してしまうか分からないという状況だった。

夜間のタニシ採集で人と会う事などはまず無いため、その際に他人に移してしまう心配なども皆無だが、そもそも感染時に自分の体がウイルスの猛威に耐えられるとは思えない。

思い立ったが吉日。
すでに20時を過ぎていたが、家事の全てと食事を早急に済ませて向かえばタニシを確保しつつ、ポケモンスリープの就寝時間0時30分に間に合うと考えた。

今後運悪く感染し採集に出かけられなくなる前にと、タニシの確保へと向かう。
あわよくば、自宅にいないスナハラゴミムシのオス個体も見つかるかもしれない。飼育下でペアを揃えられるかもしれない。そんな期待を込めて。



そうして訪れたポイントでは、到着して数分で必要量のタニシを集める事ができた。

ヒメタニシ

今回訪れたポイントは少し離れた市外の湿地帯だ。
在住市でもタニシとスナハラゴミムシの生息を確認したポイントはあるが、少々入り組んでいるために駐車箇所からタニシの採集ポイントへ歩いて向かうまでに往復だけで10分ほどかかってしまう。
さらに足元が悪いためにタニシを集め難い。




タニシ採集を終えた後、なんと目的の一つであったスナハラゴミムシのオスも捕獲する事ができた。多少無理をしてでも来て正解だった。
タニシ採集前に確認した物陰には当初何も居なかったように見えたが、数分の間にその場へ姿を現したようだ。

スナハラゴミムシ

この個体も自分と同じようにタニシを求めてここへ来たのだろう。(というよりこの場所で生まれたのだろう)

スナハラゴミムシ亜科の多くは巻貝食であり、左右非対称の大顎で巻貝の殻を噛み砕きつつ食べ進める。
しかしスナハラゴミムシは一見するとニッパーのように揃って見える大顎を用いてじっくりとタニシの蓋を剥がして捕食するという生態を持つ。

在住市で初めて出会ったスナハラゴミムシ
2022年撮影
泥上でマルタニシの捕食を試みるスナハラゴミムシ
2022年撮影

飼育下においてもその様子は毎日のように見られるが、蓋を剥がす仕組みを観察する事は未だ叶っていない。

これはスナハラゴミムシの詳細な観察結果を記録した報文、小松貴氏の『絶滅危惧種スナハラゴミムシの野外における餌メニュー 〜特にタニシへの顕著な行動について〜』(月刊むしNo.618)でも言及されているが、観察や撮影時の光刺激に敏感ですぐに捕食を止めてしまう上に、狭い殻口に体を突っ込んで捕食を行う事で内部の様子を観察し難いためだ。



タニシとスナハラの採集を終えて車に戻ろうとした時、いつか見てみたいと思っていたハッカハムシに出会い感動した。今日はラッキーを拾い過ぎている。
ここ数年は湿地に赴く事が多く、自生するハッカを確認する事が何度もあったが、不思議とこの虫に出会う事は一度も無かった。

今日の採集は軽く向かったものではあったが、その結果には非常に満足している。



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