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葦原の住民・マイマイカブリ


前回





前回はヨシ焼き後の葦原にて本命のアオヘリホソゴミムシの採集を行った記事を書いたが、実は同日に別の昆虫とも出会っていた。





使用したブロックハンマー


ブロックハンマーの一振り目でアオヘリホソゴミムシの集団越冬を引き当て、早々に目的が達成されてしまったというのが前回の話。

アオヘリホソゴミムシが越冬していた
葦原の小さな段差


後は車への帰り道がてらに数カ所だけ掘ってみるか…と思い、すぐ側の葦の根際、土と根が張り出して露出している段差に二振り目を突き刺す。

そこに穿った穴に指を入れ、根を千切るようにして土塊を崩していくと、本命のアオヘリホソゴミムシを遥かに超える大物が登場した。

赤丸の箇所にブロックハンマーを当てた


土塊をほぐした中から現れたのはマイマイカブリ。
絡み合う根に深く食い込むようにして隠れており、泥塗れの隙間から当日の快晴を映したような青色が輝く個体だった。

関東地方のこの地域となると…恐らくヒメマイマイカブリだろう。
今回の採集が期せずしてオサ掘りとなってしまった。

さらに掘り進めると、同所からもう1匹のマイマイカブリとアオゴミムシ、画像には写っていないが数匹のアオヘリホソゴミムシも飛び出してきた。
どうやら集団越冬をしていたようだ。

ヒメマイマイカブリとアオゴミムシ


河川敷や湿地帯に張り出した植物の根際はオサムシやゴミムシが好む越冬場所となっているとは聞いていたが、まさかこの場所でマイマイカブリに…しかも集団越冬に出会えるとは思っていなかった。(というより崖掘りでマイマイカブリを探そうとした事自体が無かった)

ここは関東地方らしくコハクオナジマイマイやヒメタニシの殻がいくつも転がっているポイントだったので、マイマイカブリが餌に困る事はなさそうだ。
となると、タニシ食のスナハラゴミムシの生息も期待できるのだろうか。




休憩時間にほんの軽い捜索のみを行う予定だったため、持ち歩いた保管容器はポケットに入れた小型チャック袋5個のみ。

その後は同じ根際の奥や車付近の転石、流木を起こした際に合計3匹のゴミムシ幼虫を発見したので、あっという間に袋を消費しきってしまい、撤退を余儀なくされた。

大型のゴミムシ幼虫
恐らくはオオマルガタゴミムシの幼虫と思われる


30分の滞在、たった2カ所を掘っただけで、まさかここまでの収穫が得られるとは…。

本来は崖掘りの本命となるはずのマイマイカブリだが、頭の中は完全にアオヘリホソゴミムシの事で埋め尽くされていたため、全く意識の外だった。


車に戻り、汚れた作業着や長靴を脱ぐ。
休憩時間に採集ができるかもしれないので念の為に…と車に積んでおいたのは大正解だったようだ。

ミラーを確認すると、自分の顔もすっかりすすまみれになっていたので、車内に保管しておいた手洗い用の水で顔を洗う。

この後も様々な施設を巡る予定だったので、この水が無ければ不審に思われていただろう。と思いながら現地を後にする。

そして帰宅後に耳掃除をしたら、風を受け続けた右耳だけが真っ黒になっていたので、顔面だけでなく耳も拭っておけばよかったと後悔した。
きっと黒いままの耳であちこちを移動していた事になる。

多分、この記事で本当に語りたかった事は採集記録部分ではなくこっちなんだと思う。
これを読む採集者が黒耳を晒す事にならないための、注意喚起なんだと思う。

具体的に弊害があった訳ではないが、念の為。


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