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師を連れてフィールドを歩く:前編


師を連れて、トモロウの自力開拓採集ポイントを巡った。
彼に再会するのは13ヶ月ぶりだ。

彼は自分トモロウに絶滅危惧種アオヘリアオゴミムシやスナハラゴミムシの事を教え巡り合わせてくれた人物で、かつて同行採集を行った際は初見のポイントにてスナハラの多産地を発見していたし、後にトモロウの故郷でアオヘリアオが発見される事を予言していた。
完全に場数の違う『フィールドの見方』をしており、同行の際には『採集ポイントを教える』のではなく『採集ポイントの探し方を教える』といった手解きをしていただいた。
老子の如く、『飢えた人に魚を与える』のではなく『魚の釣り方を教える』ような手法だった。
今になって思えば、あの当時の自分はまさに飢えた人そのものといった生き方をしており、アオヘリアオへの渇望を忘れた時などは一時としてなかった。(それは今も続いているが)
本種に対しての渇望は以下記事等…というか当noteの各所に書き散らしている。


各地の湿地帯を歩きながら「アオヘリアオがどこかにいるといいな」とぼんやり考えていた自分は副産物として様々な希少生物や憧れの生物と出会う事ができていたが、『アオヘリアオとの遭遇』という目的においては数百回以上の敗北を重ねているに等しかった。
しかし彼に会って探し方を教えてもらって以降は自分でも驚くほどにフィールドの見方が変わり、1年で10箇所以上の自力開拓ポイントを発見し、100を超える個体との遭遇を果たす事となる。(そのほとんどをリリースしているため再遭遇した個体も多いと思われるが、それでも100は超えているはず)


そんな師を連れて、トモロウの自力開拓ポイント2箇所を巡った。
そのポイントはどちらも「よくこんな所探したね」と言われるほど妙な場所で、正直自分でもなんでこんな所に来ようと思ったのか分からない。

ただ、そこに至るまでの大元の動機は「師を超えたい」に近いものだったように感じる。
「師を出し抜きたい」というより「幾つものポイントを開拓しても師の教えから抜け出せない」「幾つもの自力開拓をしたはずなのに、師が手取り足取り案内してくれたような幻影を見る感覚から逸脱したい」「一瞬でもいいから師を驚かせたい」という思いでイレギュラーな場所を探し回っていたように感じる。

その末に師の口から出た「よくこんな所探したね」という言葉は、自分が各地を巡った1年間がどこか救われたような気がした。


採集の本題に入らないまま1000文字を超えてしまったが、今日は一先ずここまで。
流石に早朝帰宅からの出勤、22時退勤は体に応えすぎる。しかしそれを上回る収穫が得られた。
明日も生きていられたのならば、発見した生物の傾向も少しだけ書く予定。



次回

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