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記事『「ロシアはこの戦争に負けるという選択肢はない」ロシアを代表する政治学者が説く、NATO直接衝突の危険性』について

好き勝手に仕掛けといてほざくな…とは思うけど、ロシア側の論理からすればごもっとも…もはやプーチン政権のロシアにとって「負け」は〝国体〟=大ロシア帝国を受け継ぐ、あるいは東ローマ帝国をルーツとする(バチカンを中心とする西欧とは異質な価値観のもとに確立され、西欧のそれと対峙するかたちの)文明(=「ユーラシアニズム」)の終焉を意味するということなのだろう。なればこそ確かに「自国が負けるくらいなら伝家の宝刀(=核)を使わん手はない。」「ロシアのない世界はなくて結構。死なばもろとも。」となってしまうのも無理もないが…思えば、(とある学者が説いてたが)世界大戦(…に至る前の冷戦、それぞれの外交を含む)の構図には、イデオロギー対立の有無に限らず背景に文明論的な対峙があり、かつての大日本帝国の、パクス・ブリタニカ~パクス・アメリカーナに対峙するかたちでの「大東亜共栄圏」もそうであったし(その実、覇権の〝大義名分〟でしかなかったのだが…)、件のロシアに限らず、現代は中国がかつての日本と同様の、(パクス・アメリカーナの下のファイブアイズ諸国、そして日本を含む)西欧文明に対峙するかたちでの文明論(…西欧は「自由」と「民主」に、中国は「公平」と「正義」に価値を置くと言う。)を掲げて、昨今にわかにその側に、アフリカや西太平洋島嶼域の諸国を取り込みつつ(国家数や人口では世界で大勢を占めつつ)あって…要は西欧文明の標榜する(国連が標榜するのも本来それであるはずなのだが…)自由、民主(→基本的人権、法の支配)なる普遍的価値は、今や現実の世界秩序においては「」(かぎかっこ)付きの「普遍的」に過ぎないのだ、という末恐ろしい話を聞いた。

・・・記事のロシア人学者は『ソビエト連邦に続くロシアの最初の形。そこでは、西側は私たちのより近くにあり、私たちは常に西側の一部になりたい、西側のようになりたいと思ってきました。』と言うが、それならウクライナを無理矢理西側に対する緩衝地帯にする必要などなく、当のロシアもろともNATO入りしてしまえば、NATOが正真正銘〝世界の警察〟となり得た(→現代のようなかたちの中国の膨張もなかった?)はずで…でも、少なくともプーチンの天下以降は、同じく少なくとも彼の脳裏には常に描かれていたであろう〝大ロシア帝国〟復活の幻影=イデオロギーに関係なく(プーチン自身には共産主義に対するシンパシーの欠片もないとか…)、パクス・アメリカーナを打破してユーラシア大陸を東西に席巻する(中国をアジア~太平洋に封じ込めた上でユーラシアの覇権を握るという〝新パクス・ロ[露?]マーナ〟とも言うべき新秩序[=「ユーラシアニズム」文明の延長形]を確立する)野望が原動力(精神的支柱)となって、その政権の事実上の独裁化と(時として軍事介入を含む)高圧的・攻撃的外交戦略を推し進めてきているように見えるわけである。返す返すも少なくとも『西側の一部になりたい』などとどの口が言う!?って思いは西側の人間なら誰しも…疑いの余地はないだろう。ここでは中国は置いておくとして…もしも『西側のように』が(文明論的な対峙とは別に)本来の価値観に合致すると言うのであれば、ロシアにおいても「自由」と「民主」を「」(かぎかっこ)付きではない普遍的価値と認め、今すぐ矛を収めてプーチンの政治生命を絶つべきであり、その上でロシア国民が望むなら、(西ローマ、東ローマ両者の)原点(=地中海文明)回帰…ファイブアイズ諸国、日本も参加してのシン(新&真)・パクス・ロマーナ成立(←パクス・アメリカーナの進化・深化)~国連の正常化が期待できるというものである。間違っても『ロシアはこの戦争に負けるという選択肢はない』などと言って、(中国の文明論云々どころではない、それ以前の)「ユーラシアニズム」文明の終焉=世界の終わりと見誤った破れかぶれの実力行使、狂いに狂った悪魔の所業(確かに…日本の1/3強に過ぎないGDP世界11位の彼の国が未だに圧倒的に多数保持する核ミサイルをぶっ放しまくったら、人類の文明全体が終わるだろう)に至ることのないよう…文明論を持ち出したなら、より大局的、俯瞰的な歴史観を紐解いてロシア国民を説得(少なくともまずは記事の学者のような理論が無力化、プーチンに追随する者が一人でも多く減っていくように…)、「自由」と「民主」は決して「」(かぎかっこ)付きではない普遍的価値であるという認識を(中国の文明論[→異なる価値観]が世界の大勢に染まる前に)共有してもらうこと(=「ウクライナを守れ」だけではもはや事態は収拾つかない)。それしか道は残されていないのかもしれない。

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