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学部首席を取るまでのはなし#2

#2 「中学生編」

 自分の親は、過度に教育に熱心ということはなく、「宿題はやったのか?」や「テストの結果を見せて」などは、一度も言われたことがない。ただ、勉強をすればするだけ結果が返ってくるのが面白くて、自己満足のためのゲーム感覚で取り組んでいた。中学校の成績表を見て、5段階評価の中で、評価4の成績を如何に5に引き上げるかのゲームを人知れず始め、評価4を重点的に対策した結果、後期にはオール5になった。テスト前は、「国語、数学、英語、理科、社会」の主要5科目を重点的に勉強する人が多いと踏んで、敢えて、実技科目に力を入れて対策した。いわゆる「捨て科目」を作らず、実技科目の筆記試験で平均点を優に超えることができると評価5をもらえたからだ。不器用だと実技科目は不利に働くが、それを筆記試験でカバーしようという戦略だった。
 高校選びもある意味、ゲーム感覚で決めた。中学2年生のうちに英検準2級に合格したらA高校、合格しなかったらB高校とした。志望校を決めるまでにまだまだ時間の余裕があったが、敢えて、中学2年生までにどちらかを決めるという負荷を自分自身にかけた。同じことを2度するのが苦手な性分だったので、年度に3回実施される英検の受験は1回までとルールを設定した。英検準2級は高校中級程度の文法や単語が出題されるが、その一つ前のレベルの英検3級すら持っていなかった自分は、さっそく対策講座に申し込んだ。中学2年次で受講する生徒もおらず、結果、講師と自分のマンツーマンレッスンとなった。ただ、未知の文法や単語ばかりで、説明を聞いて理解したつもりでも、練習問題の点数が取れない。だんだんと匙を投げ始め、マンツーマンなことを良いことに、講師の留学体験談などを聞いたりして、授業から脱線したこともしばしばあった。結局、模擬試験で一度も合格点に到達することなく本番を迎えた。
 ところが不思議なことに、当日の試験が異様に簡単に感じたのだ。サクサク解けるのは、真に理解していないが故の落とし穴の可能性もあると聞いたことがあるから、その類の感覚なのだろうか。時間も余り、見直しをする時間も取りながら試験は終了。不思議と不安はなく、帰りの電車では、次の二次試験の面接のことばかりを考えていた。試験結果は、一次試験を無事に合格。講師から「悪運強いね、きみ」と言われ通知を受け取った。「悪運」の意味がよく分からなかったが、なんとなく言いたいことのニュアンスは伝わってきた。その後の二次試験(面接)も通過し、2年次中に合格することができたことで、志望校はA高校に決まった。
 今振り返れば、英検を受験すると決めた瞬間から、自分の中でA高校と決めていたように思う。というのも、その後、併願校へ受験案内を取りに電車で向かったとき、途中の乗り換えを間違えて、説明会を大幅に遅刻してしまったからだ。時間に間に合わなかったことにかなりショックを受け、「この高校には縁がないんだ」と思った自分は、途中からでも説明会の参加を促されたが、それを固辞し、受験案内だけを持って帰ってきた。帰りの道中で、絶対A高校に合格すると固く決心した日だった。
 

→#3「高校生(受験生活)編」へ続く


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