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DeNA戦3連敗が岡田監督の名采配である理由

 はじめに


 悪夢の3連敗から2日後、甲子園に帰ってきた猛虎戦士は中日に大勝し、首位を奪還した。本記事では最短での首位奪還を可能にした阪神の交流戦明けにおける先発ローテーションについて取り上げる。

DeNA、中日3連戦の先発投手から考える岡田監督の狙い


 首位攻防戦となった横浜スタジアムでのDeNAとの3連戦。阪神は3連敗を喫し、首位の座を明け渡すこととなった。勝負どころで1番最悪な結果となったことにより、多くの阪神ファンは失望することとなった。しかし、この3連戦、岡田監督は3連敗を許容していたのではないかと筆者は考える。その理由は先発ローテーションにある。DeNAが今永、東、バウアーといった勝ち頭を先発させてきたのに対し、阪神は勝ち頭である大竹、村上の両投手を先発させなかった。交流戦明けであり、月曜日から木曜日まで試合がなかったため、両投手は登板間隔も十分であり先発することは十分可能であった。しかし、岡田監督は両投手をDeNA戦に先発させることはなかった。それどころか、初戦の先発を現状、先発6番手であるビーズリーに託したのである。このことから、岡田監督の考えは次のようであったと推測する。

 ”DeNAは交流戦で勢いに乗っている。また、予想される先発投手も好投手ばかりである。そのため、勝つのは難しい。一方、火曜日からの対戦相手は現在リーグ5位の中日であり、この対戦は阪神優勢だと思われる。そのため、劣勢なDeNA3連戦に勝ち頭である大竹、村上を先発させるのではなく、優勢な中日戦に先発させることで確実に勝つ星を積み重ねるべきではないか。”

 岡田監督が、どのような考え方で先発ローテ再編を行なったかは定かでない。しかし、先週木曜日あたりの、「先発ローテーションは、DeNA3連戦からでなく、火曜(中日戦)からのピッチャーから考えた」という発言や勝ち頭2人を火曜日以降の3連戦に持ってきている点から中日戦で取りこぼさないことを重視していたのは間違いないと思われる。
 また、現在のローテーションでは、3連戦の2、3戦目に伊藤将司や才木、大竹や村上といった現状安定感あるピッチングをしている投手が登板することとなる。一方、セリーグの他チームは、火曜日や金曜日に勝ち頭の投手を登板させるチームが多い。そのため、阪神は安定感ある先発投手と相手の勝ち頭である先発投手が対戦しないような先発ローテーションを組むことに成功した。このことによって、3連戦のうち2勝以上しやすいローテーションを組むことに成功した。

DeNAの懸念点


 3連勝したDeNAであるが、今永、東、バウアーといった勝ち頭3人を阪神戦に先発させたことによって、表ローテと裏ローテがはっきりしてしまった。表ローテと裏ローテとは、通常、プロ野球は火曜日から木曜日に同一チームと3試合、金曜日から日曜日にかけて別のチームと3試合の計6試合を1週間に行う。そのため、通常、先発ローテーションを考える際は、同一カード3連敗を避けることが重要視される。そのため、2つの同一カード3連戦に良いピッチャーが満遍なく先発するローテーションが良いローテションとされ、どちらか1つのカードに良い投手が固まってしまうことを表ローテと裏ローテがはっきりしたという。
 今回、DeNAは阪神との3連戦に良いピッチャーを固めて登板させてきた。そのことによって、3連勝することはできた。しかし、金曜日からの3連戦に勝ち頭である先発投手を固めたことによって表ローテと裏ローテがはっきりしてしまった。このことによって、金曜日からの3連戦は勝利しやすいが、火曜日からの3連戦では勝利しづらい。よって、安定して勝ち星を挙げることが難しいローテーションとなってしまった。仮に、金曜日からの3連戦で負け越すようなことがあれば、チームの勝ち星は停滞することとなるだろう。

優勝へ向けて

 本記事では、交流戦あけの先発ローテーションからDeNA3連戦とその後の戦いへの展望を考察してきた。昨日、首位奪還に成功した阪神だが、DeNAとのゲーム差は0.5である。順位はまだまだ変動する可能性がある。しかし、岡田監督が組み換えたローテーションによって大型連敗は考えづらい。そのため、勝負所の8月、9月へ向けて踏ん張りたい。


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