令和6年能登半島地震

本年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」で被害にあった皆さまに謹んで哀悼の意を捧げるとともに、安否不明の方々の無事を祈念します。すべての被災者のみなさまに心からのお見舞いを申し上げます。


今回は、トランスジェンダー男性で西日本豪雨の時に災害に直面した時の体験を踏まえて「災害が起きた時にLGBTQの人たちが困ること」をまとめてみました。

「災害時に困難なことと望むこと」

《避難所》
■避難者名簿
【困難】
避難所で記入を求められた名簿に性別を選択する欄があり、法律上の性別を書くべきか自認する性を書いてよいのか考えてしまうことや性別の選択欄自体が精神的に苦痛な当事者らが少なくない。
見た目と法律上の性別が異なることで、名簿の記入をする際に奇異な目でみられてしまう。

【対応策】
・避難した順に一覧に記入するのではなく、個別に記入できるように用意して欲しい。
・性別欄は「任意欄」としたり、「自由記述欄」をもうけて、任意で書けるようにして欲しい。
・避難所では、世帯ごと・男女別で取り扱われることが多いですが、代表者の方は、どんな地域であっても、同性パートナーがいる人や男女別で扱われたくない人や何かしらの疾患を抱えていたり身体が不自由な人がいることを前提として、当人の意志を最大限に尊重して運営していただきたいです。
・避難所では、LGBTQに限らず、どんな暴力も差別も許さないことを明言し掲示してほしいです(性による差別、子ども、高齢者、障害者、外国籍住民、LGBTQ、HIV 感染者等)

■医療面
【困難】
トランスジェンダーの場合、ホルモン療法の継続が難しく、必要なフォローアップがされないことが少なくない。
カミングアウトをしていない場合、必要な薬を医療者やサポートに伝えにくい。

【対応策】
・トランスジェンダーでホルモンの投与を受けたい人、HIV に感染していて抗 HIV 薬が必要な人、精神疾患を抱えていて抗うつ薬が必要な人もいます。どのような薬が必要なのかを聞く場合、また、受け渡しの場合に、プライバシーが守られるよう、配慮してほしいです。
・同性パートナーであることを名乗り出た人がいる場合は、その人にも親族と同様の説明を行っていただきたいです。

■相談窓口の設置
・カミングアウトの有無に関わらず、医療的なこと・セクシュアリティのことなどを安心して話せる場所を作ってほしいです。
・避難所では対応できない問題が発生した場合に、本人が相談できる相談窓口を掲示しておいてほしいです。

《男女別に分かれていることの見直し》
■支給物品
【困難】
・男女別に分けられていることが多いですが、カミングアウトをしていないトランスジェンダーやノンバイナリーの人たちの中には奇異な目でみられることやセクシュアリティがバレたりトラブルになることを恐れ必要な物品を取りにいくことが困難な状況があります。

【対応策】
・衣服や生理用品や化粧品など男女別に分けられていることが多いため、必要な人が物品をプライバシーを守って受け取れるように配慮してほしいです。

■トイレ
【対応策】
・男女別だけではなく、大きくて非常ベルを備えた、誰でも安心して入れるトイレを設置してほしいです。
LGBTQの人たちだけでなく、女性、障がい者、介助が必要な高齢者の方々にも必要なものです。

■お風呂・シャワー・更衣室
【対応策】
・男女別で時間帯を区切るのではなく、個別の時間帯を設けてください。また、個々で利用できるお風呂・シャワーの場所をできる限り増やしてほしいです。

■アウティングは絶対にしないでください。
・避難所生活では誰もがプライバシーが守られにくく、誰かが性的マイノリティであることを知る可能性があります。もしそれを知っても、当人の了解なしに他の人に話すことは絶対に止めてください。

「アウティング」とは、本人の了承なしに第三者にセクシュアリティを暴露する行為のことです。

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