見出し画像

感染性心内膜炎になりました②

仕事中にひどい悪寒に襲われ早退したところが、途中で動けなくなり救急搬送。40度の高熱が出て感染性心内膜炎と診断された。入院して点滴治療を受けるうちに心臓の弁が壊れ開胸手術をすることに。

うぅ深呼吸ができない

「肺がうまく膨らんでないですねー」
看護師さんが背中に聴診器をあてながら、肺が膨らまないことを心配している。呼吸が浅いことははっきり自覚していて、深呼吸がうまくできない。血中酸素濃度は低く酸素吸入をしないければいけないが状態が続いている。肺が膨らまないって、どう考えても状況はよくないなぁ。

看護師さんの説明では「仰向けに寝ていると背中が圧迫されて、肺がうまく膨らまない」のだそうだ。まだ集中治療室にいるくらいなので、看護師さんの手を借りて寝返りを打ったり、背中にクッションを挟んで浮かせたりしてみた。その甲斐もあってか、徐々に肺が膨らむようになってきた。それでも健康なときの呼吸量と比べると約10分の1。本当に元に戻るのか? 少し憂鬱になったが、結局、退院する頃には正常に戻っていた。

手術の後は毎日の体重測定も欠かせない。点滴で相当量の水分が入っていて、体重は約5kg増えている。この水分を体外に出すために利尿作用のある薬を服用していて、毎日の体重測定で水分がうまく排出できているか確認しなければならない。

起き上がるのも大変な状態なのでどうやって体重を測るのかというと、リフト式体重計という機械で、体の下にシートを入れて吊り上げて体重を測る。看護師さんも二人がかりで大変だ。

一人の看護師さんが体を回転させて、背中が上がった隙間にシートを差し込む。そして今度は手前に体を回して、反対側にいるもうひとりの看護師さんがシートを引っ張って体の下にシートを入れる。(こういうとき男性の看護師さんが重宝がられるんだろうね)。イルカのように吊り上げられ体重測定は終わり。

50m歩くのが精一杯

術後3日目には自力で起き上がってよろよろと動けるようになり、一般病棟に移った。点滴を押しながら歩いてトイレに行けるまでになったので、いよいよ本格的なリハビリの開始だ。

最初は理学療法士さんに付き添われて、病棟のフロアを往復することから始める。1ヶ月以上入院すると驚くほど筋力が衰えていて、往復50m歩くだけでもつらいが、毎日、無理しない程度に距離を伸ばしていく。iPhoneの記録を見ると、いかによろよろ歩いていたかがわかる。

リハビリによる安定性の改善

傷口と初対面

一般病棟に移ってドレインチューブがとれるとシャワーできるようになる。点滴を続ける必要があるので針は抜かず濡れないようにするのだが、看護師さんによってやり方が違って3つのパターンがある。

  1. 医療用の防水フィルムを貼る

  2. ビニール袋の底を切り筒状にしたものを被せ両端をテープで留める

  3. サランラップを巻いてテープで留める

最初にサランラップを巻かれたときは「おいおい」と思ったが、これは意外にいい方法だ。医療用の防水フイルムがやっかいで、じんわり水が染みこむで、剥がすときに体毛が絡まって痛い。

さて初めてのシャワーとともに、初めて手術の傷口とのご対面だ。上半身、溝落のあたりまで一直線に傷跡が残っている。
「おーーー」
フォーム状になるボディシャンプーを手に取り、ポンポンポンと恐る恐る、やさしく洗った。(つづく)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?