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サンプリング定理


サンプリング定理とは

今回はサンプリング定理について扱っていきます。

まずサンプリング定理(標本化定理)とは、

『アナログ信号$${x(t)}$$の最大周波数$${f_{max}}$$(ナイキスト周波数)に対して$${2f_{max}}$$より大きいサンプリング周波数でサンプリングすると元の信号を復元できる。』

という定理です。

これを守ることでエイリアシング(折り返しひずみ)を防ぐことができます。


エイリアシング

エイリアシングはサンプリング前の信号に含まれるナイキスト周波数よりも高い周波数成分が、ナイキスト周波数を対象軸として低周波側に折り返されることで発生します。

サンプリングする前に折り返しひずみの原因となる高周波帯域をカットするためのローパスフィルタのことをアンチエイリアシングフィルタと言います。

あくまで高周波側のノイズに対処するフィルタであるという点に注意してください。


エイリアシングの例

エイリアシングの例として車のCMがよく挙げられます。

CMでタイヤの回転に注目してみるとなんだか違和感を覚えたことはないですか?

これはストロボ効果とも呼ばれる現象で、動画のフレームレート(1秒で何枚の静止画が流れているか)に対してタイヤの回転数が高くなっているために、
タイヤの回転に追いつかずタイヤの回転がゆっくりだったり止まって見えたり、あるいは逆回転しているかのように見えてしまうのです。


例題

ここでサンプリング定理は直接は用いないもののサンプリングについての問題に挑戦してみましょう。

アナログ信号$${x(t)=cos(2000\pi t+\frac \pi 3)}$$をサンプリング周波数800 Hzでサンプリングして離散信号$${x[n]}$$を得た。
以下の問いに答えよ。

(1)離散信号$${x[n]}$$は?

(2)アナログ正弦信号$${y(t)=cos(2\pi f_0t+\theta)}$$を同じく800 Hzでサンプリングしたところ得た離散信号$${y[n]}$$が$${y[n]=x[n]}$$となった。
このとき$${ f_0 (800 < f_0 < 1200)}$$と$${\theta}$$は?


解答
(1)
$${T = \frac 1 {f} = \frac 1 {800}}$$なので、

$${t→\frac n {800}}$$とすれば良いから求める離散信号は、

$${x[n]=cos(2000\pi \frac n {800}+\frac \pi 3)=cos(\frac \pi 4n+\frac \pi 3)}$$

である。

(2)
$${800 < f_0 < 1200}$$であり$${f_0}$$はサンプリング周波数より大きいので、$${f_0=800+f_1}$$とおける。

$${y[n]}$$に対しても$${t→\frac n {800}}$$とすれば、

$${y[n]\\=cos\big(2\pi(800+f_1)\frac n {800}+\theta\big)\\=cos(2\pi n+\frac {2\pi f_1} {800}n+\theta)\\=cos(\frac {\pi f_1} {400}n+\theta)=x[n]}$$

※ここで$${2\pi n}$$は1周分なので無視できることに注意。

以上より係数比較をすると、

$${f_0=900}$$ Hz ($${f_1=100}$$ Hz)

$${\theta=\frac \pi 3}$$

と求めることができる。


練習問題

先ほどの例題において、$${ (400 < f_0 < 800)}$$を満たす$${f_0}$$と$${\theta}$$は?

$${f_0}$$の範囲が変わりました。

どうやって$${f_0}$$をおけば良いかを考えてみてください。

以下解答です。


解答
$${ (400 < f_0 < 800)}$$であり、$${f_0}$$はサンプリング周波数より小さいので、$${f_0=800-f_2}$$とおける。

先ほどと同様に$${y[n]}$$に対して$${t→\frac n {800}}$$とすれば、

$${y[n]\\=cos\big(2\pi(800-f_2)\frac n {800}+\theta\big)\\=cos(2\pi n-\frac {2\pi f_2} {800}n+\theta)\\=cos(-\frac {\pi f_2} {400}n+\theta)\\=cos(\frac {\pi f_2} {400}n-\theta)=x[n]}$$

※ここで$${cos x = cos(-x)}$$を利用していることに注意。

係数比較より、

$${f_0=700}$$ Hz ($${f_2=100}$$ Hz)

$${\theta=-\frac \pi 3}$$

と求めることができる。


まとめ

今回はサンプリング定理とそれに付随する現象の紹介、そしてサンプリングに関する問題を扱いました。

$${f_0}$$の置き方と係数比較にもってくるための式変形をよく復習してくださいね。

サンプリングについての問題はこちらも確認してみてください。

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