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26歳で関西人であることを捨ててしまった その2(終)

一応前回記事です。


簡単に要約すると、

・上京して、部下から関西弁怖いと言われる
・「訛り」の印象は、相手との関係性によって変る
・その後「関西らしさをオブラートで包もうとして過ごす」決意をする

続編ということで、予告通り「その後の悩みや変化、困ったこと」などについて書いてみたいと思います。


まずは入り口として

プライベート会話は「関西弁」
オフィシャル会話は「エセ標準語」

と、使い分ける決断をした私ですが。

そもそもここは東京。
まわりから聞こえている会話は、基本すべて標準語。

だんだんと標準語が、頭にすり込まれていきました。

余談ですが、私が10代の時に大阪に住んでいる時には、よくある「○○じゃん」とか「○○だよね」「そうだね」とか、いけ好かない、って本気で思っていました。

ちなみに、
 「○○じゃん」 → 「○○やん」
 「○○だよね」 → 「○○やね」
 「そうだね」 → 「せやな」「そやな」「せやね」

それぞれ変換されます(うそ…「そうだね」の変化系多すぎ?!)
※ 兵庫や京都、奈良でも違うし、他パターンもあります

今の関西の若者がどう捉えているかも含めて、根拠あるデータはなんにも無いのですが、なんだかあの時代は大阪という街は、東京への対抗心が剥き出しだったように思います。

同級生や当時の関西芸人なんかのスタンスを、そのまま、学生たちみんながトレースしていたような記憶もあります。

そのように教育を受けていた訳ではありませんが、気づけばそのようなマインドを持っていたことは確かです。

意味わかんないですね。


話を戻すと「そうだね」を、10代の頃にいけ好かない、と思っていた男が、気がつくと「そうだね」に違和感がなくなり、自分でもいつもの間にか「そうだね」を使っている、という現象が起きていたのです。

とはいえ、東京に住んでいる限り、この変化で困ることは特になく、人とは変わるものなのだなあ。とか思っていました。


その後の悩み

そんな東京での生活を続けていても、実家は大阪ですし、地元に兄弟や友人もいます。

電話や直接会って話す時に、かなりの確率で、

「お!とうとう、東京に魂を売ったんか?!」
 ※注:割と関西人はこういうモノの言い方をします(私の周り)

あれ?自分では地元の人間と話す時は、関西弁で話しているつもりなのに、どうやらイントネーションがおかしくなってしまったようです。

つまり関西が地元の彼らからすると、私が操る言語は「エセ関西弁」

そうなんです。
関西人には「エセ関西弁使い」
関東人には「エセ標準語使い」

という、はたして自分のアイデンティティは果たして何処に?というような話し方が身についてしまいました。

残念ながら、もう治りません。手遅れです。


関西以外のひとの方が、そのあたり上手

私調べですと、中国・四国・九州地方の方は、きっちりスイッチを入れ替えるのがお得意のように感じます。当然ながら人それぞれだとは思いますので、「私は違う!」というご意見は、ご容赦は頂きたいですが…

いくつか思いつく例をあげてみます。


【妻(山口県出身)の場合】

関東で話す時は、まあ私としては妻は違和感のない標準語で話していますが、

地元からの電話や帰省した時には、完全なる山口弁を使っています。
まあそこまで難しい訛りではないので、私も内容は理解できますが、「ぶち○○」とか、そういう言い回し自体というよりも、

イントネーションがちゃんと山口弁に一瞬で切り替わるのが、おおすごい!とか関心しています。

ちなみに、義父世代のガチの山口弁は結構難解。


【福岡のクライアントの皆様の場合】

もう7年ほど前ですが、コンサルティングで福岡にも月に2~3回ほど通っている時期がありました。

初めて往訪した時のお打ち合わせの時には、何にも意識が働かず、自分が福岡にいることをまったく思わずに、時間が過ぎていったのですが、

ちょっと休憩しましょう。という事で、
じゃあ私は「ちょっとコンビニに行ってきます」と一旦外出をして、戻ってきた時に、

クライアントである商品部の彼女たち同士の会話は、見事な博多弁。いいですよねー博多弁も。

あ、そうか。今自分は福岡にいるんだなあ。とか思いながらも、

(え?さっきまで標準語だったよね?)と、今更ながら気づくのでした。

で、次の打合せが始まる前に、雑談的に聞いてみたのですが、

私です「あれ?なんで打合せの時は標準語なんですか?」
彼女ら「東京から来られた方の前では、基本的に標準語で話します」

私です「そういうもんなんですか?」
彼女ら「そういうものなんです」

私です「別に博多弁でいいですけど」
彼女ら「そういうものなんです」

私です「実は東京からは来ましたが、私は大阪出身なんです」
彼女ら「それは何となくわかってました」

私です「じゃあ博多弁でいいんじゃないですか」
彼女ら「そういうものなんです」

どういうものかはわかりませんでした。

まあ、初顔合わせで彼女たちと私の距離感の問題もあったと思いますが、すごいなー、と。


敬語の方言って、結構難しい

この見出しの通りなのですが、この悩みは大きいです。

「関西人の部下」が「関西人の上司」に、敬語で話す時には、実は結構フランクな表現になりやすかったりします。
(関係性にもよります。これは比較的職位が近い場合だと思います)

今となっては正しい関西弁での言い回しも思いつかないんですが、

上司「こういう時は、まずこの数字を見るようにしなさい」
部下「なるほど、勉強になります」

みたいな会話が、

関西上司「こういう時はなー、まずこの数字を見た方がええで」
関西部下「××××××××××××××」

この「×××××××××」部分に入る、正しい関西弁敬語がわからないんですよね。


丁寧に返答しようとすればするほど、

部下「なるほど、勉強になります」
上司「なんや、改まって」

にそのまま、なりますし、

ちょっと一捻りして、

部下「ほんまですね!ここ見た方がええですね!」
上司「調子ええなあ」

というのも、上司との職位的な距離や関係性含めると、これでいいのか判断に迷う部分があります。

まして、私は今はコンサルタントとしてクライアント先の役員への報告、とかを考えると、失礼な言い回しは出来ないので、

相手が、関東出身だろうが関西出身であろうが、他の出身であろうが、基本「標準語もどき」を使った方が、誠実かと思っています。


そんなこんながありまして

どんどん関西弁を使う場面が減り、関東の方との会話も増え、使う機会が無くなっていく過程で関西弁を正しく使えなくなった、という訳です。

どうなんですかね?関西に帰って、また暮らし始めたら元に戻るのでしょうか?

残念ながら、エセ関西人になった私にはこの記事に、キレのあるオチはつけることが出来ません。

いやー残念やなあ。


コジマサトシ/トナリコネクト

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