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雛人形を「修理」してもらった話

昨年の秋に出産したものの、【お宮参り】も【お食い初め】もしないまま、150日が経過しようとしています。
人生の節目にはイベントがあって、家族や親しい友人でお祝いすることはもちろんいいことだと思うのだけれど、
「やらなければいけない」「みんなやってるからやる」
みたいなのは「なんだかなぁ〜」なんて考えていたら、あれよあれよと時間だけが過ぎていた…というのが現実です。
幸い(?)夫の両親も、私の両親もそういったことに疎く、私達がのんびりしていられるだけかもしれません。

そんな中、お正月ムードが消える1月の中旬、実母・義母からほぼ同じタイミングで「お雛様、どうするの?」と言われたんです。
(自慢することでもありませんが)当然何も考えていなかったので、「どうするの?」と聞き返したことは言うまでもありません。


桃の節句ってなんなの?

それまでなんの節目の行事にも無関心だった両家の母達が、突然言い出したこの「お雛様=ひな祭り」a.k.a「桃の節句」。
さぞ重要な意味があるに違いない…と調べてみましたが、早い話が「邪気を払うため」というのが転じて「子どもの健やかな成長を祈る」となったみたいですね。

ひな祭りの別名「桃の節句」は、古代中国の「上巳節(じょうしせつ)」が起源であるといわれています。3月上旬にあたる上巳節は、季節の変わり目で邪気が入りやすいとされていました。そのため人々は水辺でみそぎをし、身を清めていたそうです。

この上巳節が日本に伝わると、邪気を人形に移して川に流すようになります。この人形がひな人形の原型です。

そして、旧暦の3月3日ごろは桃の花が咲くことから「桃の節句」と呼ばれるようになりました。桃の節句という呼び名が浸透したのは江戸時代のごろと考えられています。

「桃の節句」の起源
3月3日はひな祭り!別名「桃の節句」と呼ばれる由来は?

水辺に流すことで厄をはらっていたひな人形も、時代の変化とともに豪華けいらんなものへと変化していきました。人形作りの技術が発展し、高級化したことで、ひな人形は「流すもの」から「飾るもの」になったのです。

ひな祭りにひな人形を飾る理由
3月3日はひな祭り!別名「桃の節句」と呼ばれる由来は?

「桃の」とあるので「ピンク」がメインカラーのようになり、ガーリーなイメージになってますが、あくまでもこれは季語だったんですね。

雛人形を飾るか否か

それまで節目のイベントを何もしておらず、別に何も思わなかった私たち。
別に何もしなくてよくない?」と平静を装いながらも、「何かしてあげなきゃ」とも薄々思い始めた矢先でもありました。

でも「桃の節句=女の子のイベント」なイメージが強く、男女の区別をするようなイベントは極力避けて育てたい…と思っていたので、ちょっと悩みました(今もちょっとだけモヤっとしています)。
「桃=ピンク=女の子」という安易な連想ゲームを終わらせたいものの、自分の中にあるバイアスも厄介なものだな、と感じています。

そしてそもそも人形飾るスペースがあるのかという問題も!

そこでまず、夫と相談して決めたのは、「コンパクトに飾れるものがあれば、飾ろう」ということでした。

自分が子どもだった頃のことを覚えていない

夫にはお姉さんがいて、すでに娘さんが2人(私たちの姪にあたる)います。
「姪っ子ちゃん達が生まれた時はどうしたの?」と聞いてみたところ…

夫:「上の子が生まれた時に、新しいものを買ったらしいよ」
私:「お姉さんの雛人形はなかったの?」
夫:「あったけど、新しいの買ったんだって。」
私:「じゃ、お姉さんの人形は捨てちゃったの?」
夫:「いや、母が保管しているらしい。姉のも、姪のも。」
私:「ってことは、ご実家に2セットあるの?!」
夫:「そういうことらしい…頼めば貸してくれると思うよ」
私:「もう飾ってないの?」
夫:「(姪っ子は)二人とももう大きいからねぇ…」

という会話に。
雛人形って子どもが生まれるたびに買うものなのか?!
借りてもいいものなのか?!
何歳まで飾るんだ?!
疑問が沸々と。

というか(そもそも)、自分がどうだったのか全く覚えていない!!!

小さい頃(小学校の低学年ぐらい?)は飾っていた記憶があるものの、その出所は知らないし、今その人形がどうなったのかも知らない…。
自分の記憶にもあまりない雛人形を、飾る必要あるのかなぁ…と、ますます「飾らない」方に気持ちが傾いたのでした。

祖母が母のために買った雛人形

自分の記憶にないものは、聞くしかない!
ということで、母に聞いてみると、私の記憶にある雛人形は、(元々は)祖母が母のために買ったものでした。

母曰く、

私が小さい頃は、お雛様持ってなかったんだけど、5-6歳の頃に、母*の知り合いの人形作家さんが、「綺麗なお顔があるから、娘さんの為にお雛様、作ってあげようか?」って言ってくれたみたいで。
母もそのお顔が「ふっくらしていて穏やか」で気に入って、作ってもらったのよ。

で、あなたが産まれてから数年も、そのお雛様を飾ってたの。岐阜のおばあちゃん**も特に何も言わなかったし。

岐阜のおばあちゃん、お兄ちゃん***の初節句の時は「初節句の人形は母方の親が準備するもんだ」ってうるさかったけど、あなたの初節句の時は何にも言わなくて。初孫でしかも男の子って、昔の人の圧がすごいわよね。

* 私の母方の祖母
** 私の父方の祖母
*** 私の兄

母のコメントをまとめたもの

とのこと。

そうか、あのお雛様は祖母が母の為に買ったものだったんだ!(涙じわ〜っ!)という思いと同時に、あるフレーズがひっかかるのでした。

「初節句の人形は母方(つまり私)の親が準備するもんだ」

母も、私に話をしながら「母方の親って私じゃん!」と気がついた様子。
「まず、昔の人形がどこにあるのか探してみるわ」と母との会話は終了したのでした。

いくつもいらないんだから、わざわざ買わない

その後、無事、昔のお雛様が発掘されました。
ただ、保存状態が良くなかった & そもそも古いもの(60年ぐらい?)なので、くたびれた様子。
人形の手はグラグラするし、指が折れたのか接着剤の跡があったり、髪もボサボサだったり…

灯もしわしわ、屏風は紛失、写真では見えないけど虫食いの部分も…

これをみた両親は…
「なんかちょっと寂しい感じだから、やっぱり新しいもの買う?」と。

これに私と夫は反対!
「いくつも必要ないんだし、これで十分だよ。」
「小道具だけでも新調すれば、綺麗になるよ。」と。
そして何より、
「祖母が母の為に用意したものを、ひ孫の代にまで引き継げるって素敵なことじゃない?新しいものを買うより、よっぽどストーリーがある。」
と、思ったのでした。

たまたま見つけた人形屋さんに修理してもらう

そうと決まれば話は早く…
父がGoogle Mapで人形屋さんを発見し、直してもらえるか聞いてみることに(いきなり訪問しました…笑)。

「持ってきてくれれば、2週間ぐらいで直せると思うよ」
と、優しそうなおじちゃんが言ってくれ、翌日に人形を抱え再訪。
下記の内容で、修理を依頼しました。

  • 御代理さまの烏帽子を新調

  • 御代理さま、おひなさまの手がグラグラ&接着剤の跡があるので修復

  • おひなさまの袖が虫食いなので、張り替え

  • 御代理さま、おひなさまの髪を整える

  • 灯の和紙の張り替え、紐の交換

  • おひなさまの持ち物の紐を交換

  • 屏風を新調

  • 小道具を新調(貝合桶)

味わいのある雛人形、これからも大切に

修理から戻ってきた雛人形は、(Beforeを知っているだけに)かなり華やかに。
ふっくらとした御代理さまのお顔が、娘にそっくりで、ますます愛着が沸いたのでした。

赤い毛氈はサービスでいただきました!

今年は「初節句だから」と飾りましたが、これから何年、飾る気になるでしょうか…(私が)。
私の子ども時代のお雛様の記憶は「うっすら」ですが、うっすらでも残ってくれたらいいな、を目標に頑張ります!

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