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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年12月10日~12月16日)

何の予定もない平日をのんびり過ごし、たっぷり寝て年末に向けての元気を蓄えていました。マンガも小説も読み進め、人生のおしまいクォーターはこんなふうに気ままに過ごしていいのか!と目が開かれる思い。まだ忙しく働いているせいうちくんには申し訳ないけど、ひと足先に隠居生活を楽しませてもらっています。

22年12月10日

金曜夜定例ZOOM飲み会で今週の日記を読んだGくんに怒られた。
「8連休のうち3日が溶けるとか、そんなにつらいなら宴会やめろ。もうやめやめ!オレはそんな先の予定を決めたくないから、行かんぞ!」
一方、先週「宴会じゃー!」って半ば無理やり忘年会2回を成立させた長老は、
「29日になんかあったっけ?メモらしきものが残ってはいる。酔っぱらっておぼえてなかったが、せいうち家での忘年会か!」って感じで、こっちもがっくりずっこけた。

こういうの、Gくんの優しさなんだよね。
人が負担に思うことがあるとさりげなく怒ったり文句言ったりして自分が悪者になって事態を混乱させ、ノーコンテストに持ち込むの。
「泣いた赤鬼かよ!」って思うぐらい、優しい。
ありがたい優しさだ。
本人は「そんな考えはない!」ってまた怒るだろうけどね。

大丈夫だよ、ちょっと動揺したけど今はせいうちくんもすっかり前向きにやる気になって人を集め始めてるし、長老ですら、
「朝カラオケを入れなければ前泊の必要もなくなって2泊3日の宴会にはならないんだよな」と遠慮してくれてるのに、
「何言ってんですか。やりますよ!前泊、よろしくお願いします!」と張り切ってる。
親しい仲間が集まって重苦しいコロナの1年がまた過ぎ去るのを見送り、追い出す。
いいじゃないか。

そもそも長老はまったく手のかからないお客さんで、こっちは好きに寝ちゃって1人で酒飲ませて、「マーズアタック」とか「ギャラクシークエスト」とか観せておけばゴキゲンなおじさんなのよ。
わかってるけど、人がいると疲れ果てるまでかまっちゃうの。つきあっちゃうの。
そういう体質な私が悪い。
自分のできる範囲で楽しくやればいいのに、自ら身を投げうって対処しちゃう方が迷惑かけてる。
誰もそこまではこっちに期待してないってのが、この歳になってまだわからない。

息子に対しても、そう。
今夜は「泊まりの宴会があるからこの週末は無理」って最初から予防線を張ってあった。
だってここんとこ毎週末やってきてしかも連泊していくから、こっちの消耗具合も激しかったんだもん。
コロナワクチンの副反応で微熱が出てだるいので長老んちの宴会をお断りした分、今週は休むぞ~って気が満々だった。
そこに「急で申し訳ないけど、今晩お邪魔していい?」とメッセージが来たのだ。
しかも夜の23時過ぎてから。

せいうちくんはわりと平気なんだが、私は息子が来ると興奮してしまう。
テンションが上がり、彼と話したり一緒に録画番組見たり映画観たり、やたらとかまってしまう。
「ただ寝場所を提供すればいいだけなのに」と困惑気味のせいうちくん、この週末は息子を牽制しておいてくれたつもりなのに向こうがきれいさっぱり忘れているのにも困った様子。

「具合悪いからって断ろうか?」と一応相談してみたが、答えはやっぱり「宿に困っているなら気の毒。やっぱり可愛いし、会いたい」となってGOサインが出る。
「いいよ~。でも食べ物ないから、何か自分で買ってきてね」
今はこれが精いっぱい。

0時過ぎに息子が来た時は、せいうちくんはすでにベッドに入り、ほとんど顔を出さなかった。
何ら懲罰的な意味はなく、単に息子がいない時と同じように過ごしていたのだと言う。
私はと言えば、
「先週言ったじゃん、週末はいないかもだから、来られないよって。ワクチンで体調悪いから飲み会断ってたまたまいたからいいけどさ」と文句たらたらにまとわりつく。
息子は、
「そう言えばそうだったね!すっかり忘れてたよ。そうだ、そうなんだった!」と全方向に何も気にしてない様子。
これはこれで実家が気楽な場所なんだなぁと嬉しくもある。

コンビニで買ってきた冷凍担々麺を自分であっためて、サトウのごはんもあっためて、「味噌汁もらっていい?」とインスタント味噌汁作り、それらを最後にはひとつの皿にまとめて得体の知れない汁かけ飯にして食べるのをずっと見ていた。
君は井之頭五郎か。

いくらかは話もして、翌日は11時ごろ起きればいいと確認してこちらは早々に寝た。
と言うか、寝室に引っ込んだ。
せいうちくんはすでに眠っており、「息子が来てても何の緊張もなく眠れるなんてスゴイ。いや待てよ、自分の息子に緊張するこっちの方がおかしいのか?」と自問自答しながらやや悶々とマンガを読んで寝た。
息子もその間に風呂に入って寝た様子だ。

Netflixの「ザ・クラウン」もほどほどに観進んだ、のんびりした休日だったはずが、「息子来襲」となると急に緊急事態っぽくなるのはなぜだろう。
読んでみてわかる通り、彼はほとんど何の迷惑もかけてない。
せいうちくんのように自然体であれば何も問題はないはず。
やはり多くの困り事の原因は自分自身の性格から来ているようだ。
反省し、矯正しなければ。無理ならせめて慣れよう。

今週のマンガ紹介は、本編があってその登場人物や設定をいただいて描かれたもの、つまりはパロディだったりスピンオフだったりの作品にしたい。
先週紹介した中で矢口高雄「釣りキチ三平」の人気キャラ、魚紳さんを主人公にしたマンガに触れたので、そこらへんをきちんとやりたい。
最近有名なものには青山剛昌「名探偵コナン」のスピンオフ、かんばまゆこ「犯人の犯沢さん」既刊7巻やさとうふみや「金田一少年の事件簿」からの船津紳平「犯人たちの事件簿」既刊11巻などがあるが、それらは本編もスピンオフも未読なので敢えて省略。
自分で読んだことのあるものだけに限定した。


今日のマンガは矢口高雄×立沢克己「バーサス魚紳さん!」全7巻。
本編主人公・三平の兄同様の立ち位置で人気爆発の鮎川魚紳さんにスポットを当てて、彼の活躍を描いたもの。
もちろん私も魚紳さん推し。
本編では三平の指導者として釣り仲間として控えめなポジションの魚紳さんが、川に海に大活躍だ。
実は国際弁護士で、フェンシングのオリンピック日本代表の過去を持ち、元財閥の大企業AYUKAWAの御曹司。
あまりにおいしい王子様キャラだった!
全国の魚紳さんファン必読のスピンオフ間違いなし。

22年12月11日

いきなり泊まりに来た息子は、11時に起きるなり今夜のライブの準備に飛び出していった。
残された両親はなんとなく茫然としていた。
最近、息子の活動も当たり前になり、Twitterもチェックしてなかったなぁ。
「子供の部活」みたいに見守ってしまった状態が終わりつつあるわけで、それはそれで健全だ。
無料で配信が行われるそうなので、それを観よう。

北海道からワイン通のUくんが上京するのに合わせて、長老んちで忘年会があった。
我が家は私がコロナワクチンの副反応でちょっと体調が悪いのとどうせほぼ同じメンツで29日にうちで忘年会が予定されてるので参加は見合わせた。
そしたら長老が来られない人向けにZOOMをずっと開きっぱなしで宴会へのZOOM参加を呼び掛けている。
何度か入ってみて、その場の雰囲気を堪能した。

でも、気ぃ遣いのNさんが画面の前から離れられなくなって困ってる様子も伝わってくる。
長老は、自分が開いておきながらZOOM画面にはほとんど注意を向けずにあっちこっちの人と話してる。
Nさんだけが気配りのカタマリになってるのでこっちも困ってやたらに話しかけて「ZOOMでの宴会への参加」をアピールしてしまう。
どっちもこっちも膠着状態。
Nさんの、画面から見切れたすぐ横に無口なHくんが座ってるって、全然気がつかなかったよ~!

しばらくしてせいうちくんと一緒に退場した。
が、そのあと長老からZOOMに2人参加中との追加報告を受け取る。まめなじいさんだ。
「ちょっと見てくるよ」とせいうちくんにことわって入ってみたら、部屋主のGくん、お母さんと麻雀氏に行く予定があるから忘年会には行けないって言ってたところ、麻雀の方は無事に終わったらしい。
あと、Yちゃんが来ていた。
長老の望んだ「ZOOM参加もコミの賑やかな宴会」が実現したわけだ。よかったよかった。
Yちゃんが夕食の支度をしに立つのをきっかけに、私も落ちた。
Gくんがどうしたかは知らない。
Nさん、結局ずっとZOOMのお守してたね。ごめんね。(と、なぜ私が謝る、ってせいうちくんに尊大さを叱られた)

夜は下北沢のお店から息子たちがコントライブを配信するのを観た。
時間になっても始まらないので、
「お店で時間通りに始めるのは難しいよね。ライブ単体とは違うわけだし」と待っていて、そのうち「本当にこのURLを観ているだけでいいのか?」と焦り始めたが、10分遅れでやっと始まった。
7人のフルメンバーを見るのは久しぶりな気がする。

MC役のFくんがカラフルなバケツみたいなものから1枚ずつお題を引く。
「LOVE」と書いてあったら、それを元に即興でコントを始めるのだ。
お題を出すお客さんたちもけっこうひねってくるようになり、現場は頑張っていた。
なかなか面白いものを作っていたと思う。
30秒ぐらい打ち合わせをする時間があるのか、だいたいの方針を即座に決めて入るのだろう。
「ショートコント集」になってる回もあり、楽しめた。
話作りの幅が広がったなぁ。
でも、息子が最後に物語性のあるオチをつけたがる癖はなかなか抜けないようだ。

そのあとは「鎌倉殿の13人」録画をきっちり観て、今週もトキューサだったねぇと言いながらお風呂に入る。
あと1回で終わってしまうなんて信じられない。
1年は、なんて短いんだろう。
来年は来年の大河が始まる。
またこんなに面白く観られるだろうか。
ここ数年では「西郷(せご)どん」以外はとても楽しみにして観てきた。
終わったあとでTwitterのハッシュタグを検索するのも楽しい。
いつかせいうちくんが完全引退したらNHKサブスクに入会して過去の大河を観まくるんだ!


今日のマンガは弘兼憲史の超有名シリーズ「島耕作」から、弘兼憲史×別府マコト×宮本福助「騎士団長 島耕作」全3巻。
前にも紹介したことがあるので気が引けるが、このパロディ・スピンオフシリーズにはぜひ出したいのでもう一度。
ファーストターフ(初・芝)王国に転生し、騎士団の下っ端として各地の魔物を討伐する任を帯びたコーサク・シマ。
かつての親友の生まれ変わりである僚友カシムと共に、与えられたスキル「島耕作力」で次々と魔物を倒す。
女たちがなぜか力を貸してくれるのも「島耕作力」なのか。
ついに王国に凱旋したコーサク・シマは言う。「モーニング(朝)だ!」
掲載誌にもちゃんとご挨拶をした行儀のいい一作。

22年12月12日

アニメ歌手の「アニキ」こと水木一郎さんが亡くなったので、長老から「年末のカラオケ会は水木一郎縛りで」と勅命が出た。
まず彼が何の歌を歌ってたか、チェックしなければ。
「マジンガーZ」は固いんだが、早々に長老に歌われちゃうだろうから、英語版でも練習しとくかな。
出身大学名を辱める日本語英語なのはもうどうしようもないものとして。
なにせ最初に覚えたのが英語版の方だったので、日本語で歌ってても最後を「マジンガーーーズィーーー!!!」って歌っちゃうクセが抜けないんだ。

と思って準備してたら、せいうちくんが言うには「マジンガーZ英語版はささきいさお」なんだそうだ。
ダメじゃないか!
iPodのアニソンフォルダから水木一郎を割り出してお風呂で聴いてる日々。

今日はせいうちくん出社で寂しい。
テレワークで1日書斎にこもってるにしろ、家にいてくれると嬉しいもんだ。
通勤時間がないから仕事終わったらすぐに遊べるし。
この歳になってもまだ仕事が終わると妻と遊んでくれるって、けっこうありがたいことなんだってやっと気づいたよ。


本日のマンガは手塚治虫の「ブラックジャック」から、つのがい「こんなブラックジャックはイヤだ」全5巻。
実はこの世にこれほど手塚治虫の真似が上手いのは田中圭一だけだと思っていて、つのがいってのは彼の別のペンネームだと信じ込んでいた時期がある。
田中圭一がかなりお下劣なパロディを描いて手塚るみ子としょっちゅう場外乱闘してるのに比べ、つのがいはあくまで正統派。
陽キャのロックに陰キャのキリコ、女性陣も加わって、ブラックジャックの私生活あり学園モノありの楽しいパロディ集。
いっそ「火の鳥」とか「魔人ガロン」とか「バンパイヤ」もつのがいさんが完結させてくれ!

22年12月13日

おかざき真理はスゴイ。
「阿・吽」を先に読んじゃったから「サプリ」とか「&」とか「かしましめし」ですら読む気が起きなくなっちゃった友人が2人もいるのがとても惜しい。
伝道者としての力不足を感じる。
読み返してみて、OLの恋や仕事を「阿・吽」と同じぐらいの深さまで掘り下げて描いているのがよくわかる。
これからでもいいから彼女たちがおかざき真理を読んでくれるといいな、と思う。

「かしましめし」は現在進行中で、新巻が楽しみなマンガのひとつ。
美大卒の男女3人が、それぞれの仕事や生活に悩みながら同居し、てんでに料理を作って「はふはふ」とか「ほふほふ」と湯気の立つような美味しい顔をたくさん見せてくれる。
よしながふみ「昨日なに食べた?」のように、レシピマンガとしても優秀で、簡単時短料理の作り方が次々と紹介されるのもありがたい。
ホームパーティーの参考になること請け合いだ。

末次由紀の「ちはやふる」が完結した。
百人一首を主題にした部活闘魂モノで、少女マンガで全50巻は珍しい力作だ。
「ガラスの仮面」ですらまだ49巻で、しかも完結してないんだから。
息子の高校の「百人一首部」が高校全国大会出場常連校だったこともあり、勝手にその高校の話だと思って読んでる。
文武両道のあの高校に、文武両方の力が必要な「百人一首」は本当によく似合う。

デジタルでマンガを読むと、スピードが遅くなる。
紙から飛び出して見える「生の本」とは違って、デジタルはこちらから「読みにいく」感じになる。
だからどうしても時間がかかる。
情報量の違いと言うか、バイト数がもう全然足りないのだとはわかる。
この頃はスキャンの精度を上げてずいぶんマシになったが、もちろん紙の本にはかなわない。
コミックスを1冊読むのに、紙なら10分ほど、なんなら5分で読んでしまう時もあるぐらいなのに、タブレットで読むと1冊に20分はかかる。

「ちはやふる」を読み始めて2日たつが、まだ30巻ぐらいまでしか来ていない。
第50巻は敢えてコミックスのまま残してある。
すっかりデジタルに慣れてタブレットでないと読めないようになってきているので、最終巻を読んでからスキャンするかスキャンしてから読むかは大問題。
紙のコミックスだと「開く」作業があって、曲面の奥を覗き込むような感じになるので読みにくく感じるのだ。

平面として全体が均等に見えるが情報の薄いデジタルと、生の迫力はあるが曲面で全体がひと目で見えてこない生本と、どちらが優秀なのかは永遠に謎かもしれない。
ただ、マンガを裁断するのが大嫌いで自炊行為を憎んでいると思っていた友人Kちゃんが、「別に本が神聖だとか思ってない。一にも二にも解像度の問題」と言ってくれたのでずいぶん気が楽になった。
あと、彼女は長編好きではないので、私ほどは自炊行為が必要でないのではないか、とも。
「それも量が溜まれば同じことなんだが」と笑うKちゃんで、そうか~、長編好きが自炊の根源だったって、自分ですっかり忘れていたよ!
100巻超えの名作「美味しんぼ」「あぶさん」「浮浪雲」などを全部手元に置いておきたくなったんだった!
短編好きなら100冊分のスペースがあれば100人の作家が楽しめるが、長編好きで、しかもジャンプマンガとかに手を出すともうどうしようもないんだよ~!(「呪術廻戦」だってあっという間に21巻だし)

今回も、読まずに買い続けてスキャンし続けた「ちはやふる」を途中で1回読んだものの話はすっかり忘れている記憶力のなさも痛感し、全部持っていられるありがたさをあらためて強く感じた。
同じように読んでないのに新巻だけ買い続けて今日まで来た羅川真里茂の「ましろのおと」が31巻で完結した。
何の情報もなく、ただ「羅川真里茂だから」と信頼して買い続けた長編。
根拠なく「真白ノート」だと思い込んでいたのが実は「ましろの音」という読みで津軽三味線の話だと知ったのは15巻を越えてからだった。
これを一気に読む日が楽しみだ。

あと何年ぐらいマンガ読めるのかなぁ。
今、溜めてる大量のスキャンを全部読んでから死にたいと思ってるのに、あいかわらず全巻買いとかしてるからちっとも山が減らない…。
せいうちくんから、
「年金生活に入ったら、新巻は許すけど過去作の全巻買いはもうできないと思ってくれ」と言われている。
好きな作品の過去のスキャンが粗くてガマンできず、全巻買いしてデータ量を6、7倍に上げている日々はもう望めない。
スキャナの精度がもっと上がって、今のスキャンでさえ粗く見えるようになったらどうしよう…。

そうか!新しいスキャナを買う余裕もなくなるんだから、大丈夫だ!


今日のマンガは手塚治虫×浦沢直樹の「PLUTO」全8巻。
これも前に紹介してしまったので反則だが、この企画にはどうしても入れたい。
アトムもゲジヒトもノース二号もエプシロンも、お茶の水博士や田鷲警部まで見事に原作を踏まえたうえでの浦沢風キャラになっている。
天馬博士が素晴らしすぎてもう、悶絶寸前だ。
ウランが感じる「同じ人が二度死んだような悲しみ」、今こそわかる。
あちこちに手塚作品へのオマージュが散りばめられ、そこを突っつくのも手塚ファンの愉しみ。
浦沢的アレンジを経てもやはり原作の意図は生きており、ロボットと人間の平和、世界の平和を強く訴えかけてくる。
ああ、原作でもこの作品でも、特筆すべきは「エプシロンの手」だった…

22年12月14日

承認欲求について、思うことをつらつら。
承認されたい人がいる。
全身で、卑下と縮こまった自尊が悲鳴を上げている。
そんな人を「承認する」ことで自己を承認し、かさ上げしている人々を見ると怒りすら覚える。

せいうちくんの承認欲求は、私という「器」を納める「匣」として機能している。
それはいいのか悪いのか置いておいて、少なくとも彼の全力で匣たらんとしている。
自分の日常と関係のないところにある「人の心」を片手間で承認することで満足している、「利害関係のない人々」がイヤだ。

とわけのわからない話で始まったが、現代において「承認欲求」が大きな問題となっているのはなぜだろう。
昔からあったものに名前がついたのか、SNSなどを通してそういう気持ちが生まれ、大きく育ったのか。

少なくともワープロとしてのPCが普及した頃、またネットが発達して自分の意見を発信できるようになった頃、「自分の言葉が活字になる」のに夢中になる人たちが出るだろうな、とは思った。
私自身、HPなどで「手書きではない自分の言葉」が並んでいるのを見ると嬉しくて、なんだか偉くなったような気分に勝手になっていた。
今の若者は自分の手書きの文字を見る機会がないぐらい、かえってデジタル慣れしていていちいち感慨を覚えたりはしないだろうと想像するが、ある年代以上の日本人には「活字信仰」みたいなものがあって「活字になってるともっともらしい」気がして、自分の文章も客観的に読めるような錯覚を起こしやすいんじゃないだろうか。
「手書き」だと「しょせんポエム」みたいな感覚。

しかしSNSが発達し、他人とのやり取りもほぼ「活字」で行われる現在、活字の「確かさ」はすでに失われている。
誰かがぽつりともらしたひと言も、新聞や雑誌と同じように「活字」になってしまうのだ。
それなのに信頼してしまう、もっともらしく感じてしまう、既に他者に「支持され、認められた意見」のように捉えてしまうこの体感をどうにかしなくては。

若い世代はそのへんドライなようで、息子は私がTwitterで何を読んで興奮してても「ネットの噂でしょ」と切って捨てる。
ひと昔前の「女性週刊誌」ほどの信用もないらしい。
まああれだって少なくとも取材して、編集長がいいって言って初めて世に出るものだからね。
でっち上げのフェイクニュースのような「責任無所在」ではない。
とは言え、フェイクニュースもデジタルに残るから、井戸端会議の「言った、言わない」レベルのままでもいられない。
情報の発信は、ひどく簡単でとても難しい状態に置かれている。

それでもブログやSNSで誰でも自分の考えや行動の記録が発信できるようになったのはすごいことだ。
言葉にし、読んでもらいたいと思う衝動を、寛容に受け入れてくれる人たちがいて成立している世界。
自分の「つぶやき」を見てくれる人がいて、「いいね」などの反応がある、これは堪えられない蜜の味だ。
読むも読まないも勝手な空間だからこそ、同じことを考えてた!みたいな共感や興味を引き出せたらいいなと願っている。

子育て日記を卒業してからの抽象度の上がった日記は難しい。
子供が言ったりしたりすることは素で面白く、笑いや共感を誘いやすいんだが、「自分語り」となるとそうはいかない。
特に、引きこもりがちで特筆するほどのことがない毎日ではどれだけ自分の世界が豊かが大切になるはずだ。
そこにまったく自信がないので、今年はせめて大好きなマンガのことを語ってみようと試みたが、これはこれでマンガを読まない人には全然響かないだろう。
そんなことを悩みながら、毎日何かを書くことだけが目標になってしまっても本末転倒だ。
「気楽に、気楽に」とせいうちくんに励まされて初めて気づく。
ずっと発信してきて、これからもし続けるのは、「とある夫婦の人生」だった。
名もない一市民の我々が毎日互いに相手のことを不器用に大切にしている、そのことを面白がってもらえれば幸いです。


今日のマンガは荒木飛呂彦「ジョジョシリーズ」から、荒木本人が描くスピンオフ「岸部露伴は動かない」既刊2巻。
「杜王町」の登場キャラであるマンガ家、岸部露伴を主人公に、彼が出くわす不思議な物語を紡いだ短編集だ。
映画、「ダイヤモンドは砕けない」を見に行った時も、まだ岸部露伴が出る前にストーリーが終わってしまったので、劇場のトイレでギャルたちが「露伴ちゃん、出なかったね。今度、露伴ちゃんが出る時に観に来ようね」と話していたほどの人気キャラクターとなった。
TVドラマ化もされ、高橋一生が魅力的な岸部露伴を演じきったことでも話題。
「ジョジョリオン」が終わって一段落したところでもあり、このシリーズの続きが出るのを祈っている。

22年12月15日

今日もせいうちくん出社。
最近出社多いなぁ。今週は4日も出てるよ。接待もぽつぽつあるし。
コロナ第8波ははじりじり増えながらの横ばい状態。
この3年、1度もかかってないなんて奇跡のように思える。

先日5回目のワクチンを打った。65歳以下の基礎疾患持ちワク。
少し熱が出て頭痛と倦怠感があったけど、注射部位が腫れるいわゆる「モデルナアーム」にはならずに済んだ。
ファイザーだからか笑

2022年版の「このマンガがすごい!」が出た。
今年は意外と追えてたっつーか、男女向けとも20位以内に読んでる作品が多かった。
それだけ日々マンガ漬けになっていられたってことだろう。
古い作品を読み返すのも大好きだが、イマイマのマンガについていけてると思うと嬉しい。
息子やマンガ友達のミセスAのおススメ作品のおかげが大きい。

しかし「ONE PIECE」の、100巻を超えてなおオトコ編8位に入る人気はスゴイ。
実は80巻ぐらいまで全巻買いして、そのあとは完結して100均の棚に並んだら買い足そうと思い、まだ手をつけてないシロモノだ。
せいうちくんはなぜか「チョッパーが好き」と言っているが、あの犬が人語を解するかどうかもわかっていないぐらい知らない状態の我々。
こないだ会った会社時代の同期の男性が「ワンピースとか、1冊も読めなかった。どこが面白いか全然わからん」と言っていたのでにわかに不安になってきた。
そういう山がいっぱいあるんだよー(涙)

末次由紀「ちはやふる」全50巻読了。
感動で涙が止まらなかった。「お願い 誰も 息をしないで」!
勝負事に青春を賭けたことのない者にまで届く、人間対人間の極限の物語だった。
恋愛すらその青春の確かな道標となる高い理想の世界と、登場人物それぞれの弱さを十二分に描いた力作。
マンガを読んできてよかった、とポロポロ泣いた。

マンガ家、御厨さと美先生の訃報に接した。
前夫の関係でお世話になったので、深く黙祷。
「ああいう有名人好きの女性はおまえには合わない」と前夫におっしゃっていたそうだ。
ご慧眼、深々と首肯し、偉い方だったなぁと今さらに思う。
水木一郎さん、御厨さと美さん等、我々の世代の青春を彩った方々が亡くなっていく。
名のある者もない者も、等しくくぐらなければならない死の門への行列に我々も並んでいる。
その日まで懸命に人生を全うしたい。


今日のマンガはこれまた作者本人が描く、荒川弘の「鋼の錬金術師」から「鋼の錬金術師四コマ」全1巻。
コミックス収録時に作者が描いた四コマシリーズを集め、さらに新作を書き足しての発売。
厳しい戦いが繰り広げられる本編に対し、ほっとひと息つける舞台裏ばかりだ。
作者のギャグマンガ家としての資質を十二分に生かし、本編ファンが楽しめる愉快でちょっとブラックな四コマ集。
端麗な主人公たちが好きな人たちに、荒川が崩しにかかったキャラの面々の別の顔も堪能してもらいたい。

22年12月16日

せいうちくんのとてもいいところは、「いつも機嫌がいい」点。
ほとんど気分にムラがなく、たいていおだやか。
かと言って退屈な人ではなく、ADHD気味なせいかビックリするようなことをしょっちゅうしでかしてくれる。

あと、「困ってから困る」性格なのがいい。
私は「困る前から困る」タチで、ややもすると実際の困りごと以上に事前に困ってしまうので、せいうちくんから「困ってから困ろうよ」と言われるとたいそう助かる。

こないだ会った京都の古い友人Wくんが「世の中の煩わしいことを何も知らなかった学生時代を思い出すことができました」とお礼のメールをくれて、あの、学生時代から40代のように達観して落ち着いていた彼でさえ、中年を越えた今では煩わしいことが多いのか、と驚いた。
私には煩わしいことは何もない。
世の中からはせいうちくんに守られ、生活の悩みもなく、肉体的には1日中マンガ寝て読んでいられる。
精神的にもやはり彼のおかげで穏やかに過ごせ、どうしようもない時は薬に頼れる。
通院以外に外に出る必要もない。

こないだせいうちくんから、
「散歩にも出ないなんて、気がくさくさするだろうと思うよ」と思いやり深く言われて驚いた。
軽い散歩ぐらいは各方面の医者からも推奨されていて、単に自分がマンションの扉を開けて外に出たいとはまったく思わないで暮らしているだけなのだ。
通院の予定がある以外の外出はアイスを買い溜めしに行くだけ!(威張るようなことだろうか…)
好きで引きこもっていて「こもりびと」になってるだけで、出たいのに出られないわけでは全然ない。

Amazonでマンガをチェックし、飲料を注文し、買い物は週末にせいうちくんが行ってくれる。
ここしばらく「ピザだけ食べて暮らす」にチャレンジしていて、長期的にはどうかわからないが体重はどちらかと言えばゆるやかに減っているし血圧等にも影響はない。
いたって穏やかで静かな日々だ。
コロナのおかげで友人たちともZOOMで会う習慣がつき、SNSもあるから寂しくはなく、こうして日記を書いてゆるく世の中と関わっている。
なんてありがたい時代なんだ、と思うことが多い。

せいうちくんは、突発的なことに弱い私を高野文子のマンガから「びっくり姫」と呼んで、「きゃっ!」ってパニクっちゃった時も優しくいたわってくれる。
でも、ADHD傾向のある彼の唐突な行動はよく私をびっくりさせる。
急に何か思いついて立ち上がることなんて日常茶飯事。
「『あ、そうだ』とか言ってからにしてよ~」とそのたび不平を言っているけど治らないクセみたい。
考える前に動いてしまう人らしくて、ホントに行動が読めない。
本人にもわからず動いてしまうんだからしょうがないか。
おまけに手足が無駄に長いので、いつも目的のものより遠くに届いてしまい、ひっかいたりひっくり返したりしている。

昔、せいうちくんのお母さんに、
「せいうちさんって、そそっかしいってことないですか?」と聞いて、
「え?別にそんなことないわよ」と言われ、何となくせいうち家全体のそそっかしさの底の高さを思い知った。
全員、何となく衝動的である。遺伝か?


今日のマンガは知らぬもののいない昭和の超名作、池田理代子の「ベルサイユのばら」通称「ベルばら」から、これも本人作のパロディ集。
ベルばらのキャラクターをミニサイズにして、本編の舞台裏などを見せてくれる。
4コマ漫画として面白いかどうかはちょっと置くとして、あの誇り高い女性マンガ家がこのような作品に挑戦した事実そのものが興味深い。
文庫版はいわば「よりぬきサザエさん」で、ちゃんとした版だと全7巻らしい。
ブックオフで虎視眈々と狩りの最中だ。

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