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京都〜日光570キロを9日間で走った話(その1)

「は? そんなとんでもない大会ができるんですか?」

思い起こせば去年の7月。長野県の下諏訪から高崎までの120キロを旧街道に沿って走破するという大会に出場した際、大会会長のT氏から

「来年はこのコースをさらに伸ばして、京都から中山道をたどって日光まで走らせたいんだよね〜」

という思いを聞かされた時、私の第一印象はそのようなものでした。
ひとまず

「そうですか〜。それはとても楽しみですね」

と、30年間の社会人生活で身につけた社交辞令をもってその場をしのいだものの、その時は全く出場する気など有りませんでした。
だいたい、私は260キロまでの大会にしか出場した経験がありません。ホップ・ステップ・ジャンプという言葉もある通り、ものには順序というものがあります。今までの最長不倒距離の二倍以上の距離の大会に出走するというのは、ウサインボルトに100メートル走のスピードでフルマラソンを走れと言うようなものです。できるかもしれませんが。

しかし。

今年に入り大会の開催要項を見た時に、考えが少し変わりました。

大会の日程が4/28-5/9と11日間もあること。
今年はGWの祝日の並びがよく、無理なく出走できそうなこと。
旧宿場町をたどるコースで、飽きずに進めそうなこと。
限定30名参加というプレミア感。
何より第一回の記念すべき大会の完走者という栄誉がもらえる。

よし、これは出場するしかなさそうだ。

考えてみれば私はマラソンを始めたときはまずハーフマラソンから始めて、三ヶ月後にはフルマラソンを走っており、それだっていきなり二倍の距離を走ったわけです。(もっと言えば、0キロからハーフマラソンの21キロへのステップは、無限大倍です)
そう考えたら、260キロから570キロへのステップも、意外と大したことは無いのかもしれない。

と、根拠になっているのかなっていないのかわからない理由を持って自らを正当化し、エントリー開始時刻の10秒後には申込みを済ませてしまいました。大会事務局もさぞや驚いたことでしょう。
例幣使みち京都~日光570kmフットレース2022。本年初開催の大会です。

問題は走る計画ですが、今までの経験から一日あたりの走る距離を60−70キロと見積り、夜はじっくり寝て体力の回復をさせるという作戦のもと、9日間一日平均63.3キロを走るとしました。下記のようなものです。

最終日の距離を短くしたのは意図的なものですが、⑦の区間が非常に長いことは、適切な距離に適切な宿泊施設が無かったことによるものです。いや、正確にはちょうどコース上の良い位置にラブホがあったのですが、570キロ走る勇気はあってもラブホに一人で突撃する勇気は持ち合わせておりませんでした。

そんな中、あとは事前のルート調査を残すばかりとなったのですが、ここで思わぬ事態が発生しました。
(その2へ続く)

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