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ハンサムじゃないとダメですか? ──かたすみの女性史

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歴史ドラマの主人公が女性なのは、もちろんうれしいけれど、 エンターティメントの悲しさ、ドラマの女主人公は、みな有能で勇ましく、美人で自信満々の“勝者”です。 来年のNHK大河ドラ… もっと読む
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2017年4月の記事一覧

【第1話】死の声――古河為子のこと (その2)

【第1話】死の声――古河為子のこと (その2)

【第1話】死の声――古河為子のこと (その2)   栗林佐知

ひきつづき、足尾鉱毒事件について。

明治34年11月16日。

潮田千勢子たち(この人と日本基督教婦人矯風会のことは後で述べよう)篤志の女性5、6人が、被災地を視察に訪れる。案内したのは、議会と政府に失望し、議員を辞めた田中正造だった。

潮田らは、朝一番の汽車で上野を発ち、古河(こが)の駅から人力車で思川と利根川の合流する地点ま

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【第1話】死の声――古河為子のこと (その3)

【第1話】死の声――古河為子のこと (その3)

 (ひきつづき、為子の死のことを、鉱毒地救済運動の人々は何か記していないだろうか……という話)

 矯風会や救済婦人会の意見ではなく、個人ではどうだろう。何か書き残してくれていないだろうか。

 救済活動のエース、潮田千勢子はどうだろう。

 女手一つで5人の子を育てあげ、60歳(為子と同年代なのだ! 当時ならもう「お婆さん」だろう)とは思えない、行動的でいきいきした目をしていたといわれる潮田千勢

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