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特撮、四方山話〜仮面ライダー大ピンチ編

ども、とらぎつねっす!
今回は前回の続きみたいになりますが、仮面ライダー放送初期のお話になります。
相次ぐトラブルに屈しない、彼ら製作陣の精神こそヒーローですね。

<主演、骨折>

仮面ライダー、本郷武を演じたのは今も現役!「藤岡 弘、」です。
藤岡さんは実家がとある武道の道場だということもあり、自身もアクションができる俳優さんでした。
当時はまだスーツアクターという概念すらなかった時代なので、「主演が変身するんだから、変身後も当然主演が演じる」という形でスタートします。撮影は順調に進みますが、10話くらいまで撮影したときのことです。
仮面ライダーに変身した藤岡さんがバイクに乗り、設置された爆薬が爆発する中を疾走するシーン。
爆破の衝撃波でバイクが揺さぶられ、藤岡さんは転倒してしまいます。
この時の事故で、主演の藤岡さんが足を複雑骨折。
長期入院となってしまいました。
ちなみに、藤岡さんはこの入院中のベッドの上で「仮面ライダー」第一話の放送を見たそうです。

<いきなり打ち切りの危機>

主演俳優がいきなり長期入院。
製作会議は重苦しい空気に包まれます。
どうしたらよいか模索するも、脚本・日程・予算・・・様々な要因がまるで強大な敵のようにスタッフを絶望に突き落とします。
「何とか続けたいが・・・こうなったら主人公は死んだことにして、主役交代としようか?」
しかしプロデューサーが反論します。
「ダメだダメだ!ヒーローは死なないんだ!!」
この時反論したのが、マニアには有名な平山プロデューサーでした。
彼の熱意がなければ仮面ライダーは成功しなかったと言われるほどの人物です。

結局、急遽オーディションを開催。
藤岡さんが戻るまでの間、「仮面ライダー2号」として活躍できる俳優を急決定しました。
藤岡さん演じる1号は国外のショッカー(敵)組織の退治のため、海外に渡ったという設定になりました。
この辺から、伝説が動き始めます。

<偶然が生んだ2号が大ヒット!>

藤岡さんの事故がなければ生まれなかった仮面ライダー2号ですが、実はこの2号が仮面ライダーの人気を決定づけたと言っても過言ではありません。
2号の功績として大きいのは、「変身ポーズの導入」でした。
実は、仮面ライダーはベルトの風車を回して風力で戦うエコなヒーローだったんですね。
風車を回せばいいので、藤岡さんはバイクに乗って全身に風を受け、それで変身していたのです。

しかしここでオーディションを急遽行った弊害が出ます。
なんと2号、一文字隼人役の俳優さんはバイクの免許を持っていなかったのです。
確認不足・・・!
変身するのにバイクに乗るので、運転シーンを俳優が演じる必要があります。
今から教習所に通っている時間はありません。
どうしたら・・・!!

実は、ここで誕生したのが変身ポーズだったのです。
バイクに乗れないなら、変身することがわかりやすい何かが必要、ということで特定のポーズを取ったら変身、ということにしたんです。

ここでちょっと小話なんですが、実は初変身シーンは一文字隼人役、佐々木剛さんはミスっています(笑)
当初は上着のチャックを下ろしてベルトを見せた状態から、手を動かして変身する予定でした。
しかし先に手を動かしてしまい、それからチャックを下ろし、続きをやるという映像になっています。
これは、当時フィルム撮影だったためNGで高価なフィルムを消費するわけにはいかなかったという予算面での事情があったようです。

また、同じ過ちを繰り返さないよう変身後のアクションはスタントマンが演じるという決まりごとができました。

<夢の共演>

そしてついに1号、藤岡さんが現場復帰します!
バイクで骨折しているのに、撮影再開後初のシーンはこれまたバイクに乗るシーンだったそうです(笑)
「もう、クラクラしちゃってね・・・」と流石の藤岡さんもこの時ばかりは参った様子。

しかしこれまで変身ポーズとかっこいいアクションで大人気だった仮面ライダー2号、そこに1号が帰還して盛り上がらない訳がありません。
1号も変身ポーズがあったほうがいい、ということで2号とは少しパターンを変えて変身ポーズが考案されました。
これにて大人気の変身ポーズが2種類出揃い、夢のダブルライダー共演です!
子供たちは熱狂し、現在はかつてそれを見ていた大人たちが自分の子供と一緒になって熱狂しています。
後付けですが、それぞれ「技の1号」「力の2号」と差別化を図った点も成功の一要因だったと思います。

さて、今回はこの辺で。
でもこれ、俳優さんにもドラマがあって、藤岡さんは実家の道場を経営していた父親を実は殺害されているという過去を持っていますし、2号の佐々木さんは火事で大火傷を負い、俳優を引退した過去を持っています。
それでもご健在でいらっしゃるお二人は、まさしく「不屈のヒーロー」だと感じます。
特撮マニアの間では、いまだに語り草なんですよね。

ここまで読んでいただけた特撮マニアの方もそうじゃない方も、ありがとうございました!
いやー、書いてて楽しい(笑)

それではまた!

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