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映画「スタンド・バイ・ミー」 少年の頃のような友人はもう二度とできない

映画「スタンド・バイ・ミー」。高校生時代から何度見ただろう。VHSのビデオテープを買って、繰り返し観賞した作品だ。

改めて振り返ってみるが、この作品の何に惹かれたというのだろう。

このたび、ネットフリックスのオススメに出てきたため、「おおっ!久しぶりに見てみよう」となり、午前1時ごろから視聴を敢行してみた。

映画「スタンド・バイ・ミー」は1986年の米国の映画。原作は、ホラーで有名なスティーブン・キングの同名小説である。映画の監督がロブ・ライナー。

1950年代の米国の田舎町で生まれた4人組みのなにげない日常を描いた作品。行方不明になっている少年を探す旅に出かける中で巻き起こる一夏の小さな冒険を描いている。
ただただ、それだけなのに、なぜ、これほどまでに魅力的なのだろうか。

一つは音楽だ。
「ロリポップ」「火の玉ロック」「カム・ゴー・ウィズ・ミー」などなど名曲が、それぞれのシーンにマッチする形で並び、郷愁を誘うものばかりだ。
ベン・E・キングの「Stand By Me」は特に、この映画のために存在したとも言えるほどの名曲で、後にジョンレノンなど多くのアーティストがカバーしていることでも有名だ。
どのカバーよりも、ベン・E・キングの原曲がとてもいい。あの静かな前奏が流れるだけで、鳥肌が立つほど。

二つ目の魅力は、少年時代のとても活気にあふれた悪友たちとの日々をみずみずしく描いている点だろう。
それぞれに劣等感や不遇な家庭環境を抱えた子どもたちがあれほどの生き生きと、時に悩みながら、一歩ずつ歩んでいく様子の描写が、多くのファンを魅了していると推察する。時に危なげなことも経験しながら、乗り越えて大人への階段を上がっていく。
大人になったほぼすべての人に、少なからず、こういった体験があり、フィードバックして郷愁を誘うのではないだろうか。

三つ目は、主人公が小説家となって、少年時代を振り返っているという体で描かれている点だ。
映画の最後に映し出されるこの文章。
「I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve.」
(12歳の時のような友人はもう二度とできない。)

私が20代までに観た時には、今ほどの無常さは感じなかった。50歳になった今だからこそ、よく分かる。新たな友だちなんて、できない。たとえ、できたとしてもそれは大人になってできた関係の友人で、子どもの時の毎日、毎日、ただただ生まれ故郷で泥だらけになって遊ぶ友人は、もう決して得られないことが強く分かってしまうのだ。

50歳でこの映画を観ると、人の生きる無常さとか、過去の美しさなどに打ちのめされて、感傷に浸ってしまう。

とても、とても、ブルーな気持ちになってしまった。過去に見たときには、ここまでの状態にはならなかったのになあ。不思議だ。

次にこの作品を鑑賞するのは、自分が何歳の時だろう。
また、見え方は変わってしまうのだろうか。

楽しみなような、怖いような。

2022年9月15日 トラジロウ

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