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#VRChat始めました/1年前に

 もし「VRChatはゲーム?」と聞かれたら、「たぶんそう、部分的にそう」なんて、どこかの魔人との勝負みたいに答えるでしょう。と言うのも、このゲームは「VR×SNS」とか「ソーシャルVRプラットフォーム」と呼ばれる、誰かとつながることを前提とした複合サービスだから。そんな「社会性」を求められる場所で、1年間過ごしてみて思うこと。

 「社こう性」ではなく「社かい性」と表現したのは、もちろん理由があって。ここは、人付き合いが好きじゃなくても、積極的に何かをしなくてもいい。他人を害そうとせずに過ごせるなら、それで充分なのだから(逆に言えば、それさえできない輩もいるのだけど)

 僕自身、あまり社交的なタイプではないので、大勢で集まって遊ぶより、ひとりで気ままに過ごしたい。ワールドを巡って、写真が撮れたら楽しい。誰かと過ごすなら、気の許せる友達がいい。だから僕のフレンドリストは、スクロールが必要ないくらい短いわけで。

 それでも初めの頃は、フレンドを増やすことに一生懸命だった。それは「Trust Rank=信用度」を上げないと、自分好みのアバターをアップロードできないから。ただそれだけでなく、色んな人と話せるのは楽しかった。

 フレンドになると、相手のいるワールドに「Join=入る」ことができる。だからよく「フレンド申請は”入場券”」なんて言うのだけど。裏を返すと、「入場券は渡すけど、まだ”友達”ではないよ」という意味もあるらしい。

 まずはフレンドになり、お互いを少しずつ知り、仲良くなっていくもの。でも当然、フレンドになったけど苦手だとか、合わないなという人もいる。ときには相手から一方的に執着されたり、依存されてしまうケースも。

 もちろん対策もあって。自分のステータスを変更すれば、Joinを許可制にしたり、Join不可にすることもできる。だけど、一部の苦手な人のために、自分がやりづらさを感じたり、友達に気を遣わせるのは嫌だとも思う。

 フレンド関係でしんどい思いをして、Joinされるのが怖くなってからは、「Unfriend=フレンド解除」をするようになった。Unfriendはしちゃだめ、仲良くしなきゃ。そう思い込んで、余計に苦しんでしまう人も多いけれど。でも入場券なら、自分から退場したっていいでしょう?僕はそう思うのだ。

 自分の経験を活かして「お悩み相談室」なんてのも始めた。悩みの多くが「人間関係のトラブル」なのは、実社会となにも変わらない。僕が聞いても解決できるわけじゃないけれど。話すことで相手の気持ちが楽になるなら。きっと意味はあるはずだから。

 仮想現実空間であっても、自分が自分でいるためには思っている以上に、たくさんものが必要で。同時に、たくさんのものを手放さなきゃいけない。僕の場合、みんなとフレンドでいるのは負担が大きいと感じてしまう。

 ただ何かを捨てるのは、別の何かを選ぶこと。自分にとって大切なものを残そうとするプロセスに他ならない。そう信じているから。いまのやり方を変えようとも思わない。たとえ誰かに、後ろ指をさされようとも。

 かつてフレンドだったあなたへ。僕がきみをUnfriendしたのには、たぶんそれなりの理由があって。それは僕だけのものだから。わかってほしいとか許してもらおうなんて思わない。どこかで会ってしまったら、僕はそそくさホームに帰るよ。

 これからフレンドになるだれかへ。フレンド申請をしてくれたら、たぶん断らない。でもきっとUnfriendすると思う。それでもよかったら、ちょっとお話してみようね。きみからUnfriendしても構わないよ。お互いの気持ちがあってこその「フレンド」だと思うから。

 VRChat、たのしいよ。ありがとう、VRChat


撮影ワールド:[JP] Tutorial World/tamsco274 さん



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