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フレンドの条件?/VRChat雑考

「ねぇ、どうしてフレンドになってくれないの?」

 そんな風に、率直に理由を尋ねられたら。なんて答えたらいいのだろう。これはつい先日、VRゲームの雑談ワールドにて「突きつけられた」言葉。

 「フレンド申請」をもらえると、自分だけに聞こえる通知音が鳴ります。同時に、画面上にポップアップも出る仕様ですから、作業中でもない限り、申請に気づかないことはありません。その後、フレンド申請を受けるなら、承諾ボタンを押して、「晴れて二人はフレンドに」という流れ。

 フレンド申請のシチュエーションは色々ですが、まずは話をして、相手の為人(ひととなり)に触れるのが先。それから「フレンドいいですか?」のひと言を添えて、申請するものかと思います。

 ときおり、同じワールドにいるだけで、いきなり申請が飛んでくることもあるのですが、これはちょっと受け入れられないと感じます。逆に言えば、ひと声かけてくれたなら、無下にフレンド申請を断ることもないのですが。

「あなたとフレンドになりたい」。そう思ってもらえるのは喜ばしいこと。けれども、申請を否認したり、気づかないふりをするケースもあります。

 価値観が合わない。ひとりでしゃべり続ける。一緒に居ても楽しくない。たまに会うくらいなら我慢できるけど、毎日会うのは嫌だと思ってしまう。もしそんな相手だったら、「フレンドになりたい」とは思わないでしょう。

 フレンドを選ぶことは、どこか「ウィンドウショッピング」に似ている。ショーケースからお気に入りを選んで、みんなに囲まれて過ごせたのなら。それはきっと幸せ。でも、どこか歪(いびつ)で、不自然で、気味が悪い。そうも感じてしまうのです(これはただの僻み)

 数えきれない程のフレンドがいる人もいます。何かの活動をしていたり、名刺代わりにフレンドになる場合もあるので、一概には何とも言えません。ただ、フレンドが沢山いても。僕にはとても覚えられないから。

 だからこそ、「また会いたい、つながっていたい」と思える相手とだけ。フレンドになりたい。それだけのシンプルな話。

「どうしてフレンドになってくれないの?」
「なんでフレンド申請を無視するの?」

 先の問いに答えるとしたら

「フレンドになりたいとは思えないから」
「キミのそういうところが苦手だから」

「でも、そんなこと言いたくないから」

 なんて答えたところで、酷い奴だと思われてしまうだけ。だけど実際に、相手を見て、選りすぐっているのだから。残酷であることには間違いない。けれど自分を偽り、嫌いな相手に合わせるのは、もう勘弁してほしいから。そう思ってしまう自分も、確かにいるのです。

 VRだろうと、アバターがかわいくても、嫌なものは嫌。仮想現実だからこそ、余計に嫌悪感が際立ってしまう。誰でも受け入れてくれる場所でも、そこにいる全員が「寛容」とは、限らないのだから。

 この前出会ったあの人は、ユニークなキャラクターで、話も面白かった。どこか自虐的で、憎めない性格。でも気を許したら、踏み込まれるような。危うい魅力があったから。

 僕はフレンド申請に、気づかなかったふりをした。

「どうして『フレンドになりたい』と、思ってくれたの?」

 そう聞き返せばよかったかもしれない。質問に質問で返してしまおうと、相手から目を逸らさないだけ、ずっとマシだ。相手を傷つけてしまっても、自分が傷つくことになったとしても。

 ショーケースをのぞくとき、ショーケースからもこちらをのぞいている。手を伸ばしたからと言って、いつも握り返してもらえるわけじゃないんだ。



撮影ワールド:Night Church/OPCherry さん


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