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4Kデジタル修復がもたらす効果とは? 第2回「男はつらいよ」特別試写会 イベントレポート


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秋晴れの10月26日、第2回 『#男はつらいよ』 4Kデジタル修復版 特別試写会」を開催しました!ここでは、その模様をレポートいたします!

8月に開催した第1回 「 #男はつらいよ夏祭り 」が大好評だったことを受け、第2回が開催されることになりました!

※第1回目の模様はこちらから↓

最先端の修復技術で、劇場公開時の映像と音声に復元した4Kデジタル修復版の『男はつらいよ』を体感すべく、会場には老若男女問わず沢山の方にお集まりいただきました。

第1回では、第1作の『男はつらいよ』を上映しましたが、今回は竹下景子さんがマドンナを演じる第41作『男はつらいよ 寅次郎心の旅路 』を上映!本作は、シリーズ史上初の海外が舞台です。飛行機嫌いな寅さんが芸術の都ウィーンに渡り、マドンナ久美子と出会います。柄本明さん演じるサラリーマン、坂口兵馬 とのやり取りも冴え渡り、ファンの間でも人気作品の一つとなっています!

そして、今回は試写後ゲストを迎えてトークセッション「4K修復は何がすごいのか」が催されました。ご登壇いただくのは、株式会社もり代表 / クリエイティブディレクター 原野守弘さんと修復プロデューサー 五十嵐真さん。原野さんは、ドコモのCM 「森の木琴」やアメリカのインディー・ロックバンド OK Goのミュージック・ビデオなど、斬新な視点で話題の広告を生み出すクリエイティブディレクターであり、五十嵐さんは『男はつらいよ』シリーズの4Kデジタル修復を担当されたプロデューサーです。


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上映前には、お二人から41作をもっと楽しめるようにと、「4K修復版だから分かるかも!注目のシーン!」という3つのクイズを出題していただきました。

クイズ「4K修復版だから分かるかも?注目のシーン!」

①冒頭、寅さんがテキ屋仲間と一悶着するシーンに登場するお笑いタレントは誰? 若い方々もご存知のあの有名人!?

②柄本明さん演じる兵馬が初めて登場する満員電車のシーン、兵馬が読んでいる新聞に写っている映画女優は誰?

③寅さんが、淡路恵子さん演じるマダムの自宅で茶漬けをご馳走になるシーン、マダムの亡くなった旦那の遺影として写っている、ある有名な映画俳優は誰?

えっ、結構難しい!! この3つのクイズを頭に入れて、いよいよ上映スタート!

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竹下景子さんは本作の他、32作38作でもマドンナを務めています。このイベントが開催された日は、角川シネマ有楽町で第32作『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』の4Kデジタル修復版が上映され、竹下景子さんがご登壇されたそうです。そちらとハシゴしてご来場という、猛者の姿も!

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物語のラスト、ウィーンの空港で、久美子と兵馬の3人で日本に帰ろうとしていた寅さんですが、久美子の恋人が搭乗口に現れ、そのまま目の前で振られてしまうといういつも通りの展開に…。寅さんの表情や搭乗口で崩れてしまう動きに、会場では温かい笑いが巻き起こりました。

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上映後、原野さんと五十嵐さんにも再登場いただき、まずは上映前に確認した3つのクイズの答え合わせをみんなでしました!

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①冒頭、寅さんがテキ屋仲間と一悶着するシーンに登場するお笑いタレントは誰? 若い方々もご存知のあの有名人!?

答えを客席に尋ねると、チラホラと手が挙がる中、大人に負けじとまっすぐ手を挙げるお子さんの姿が!
答えを聞くと、「多分…出川哲朗さん?」とのこと。こちら大正解!

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出川さんは、若かりし頃に「男はつらいよ」シリーズへ4回も出演しており、50作目となる新作にも主演されています。シリーズを見直して、出川さんがどのシリーズのどんな場面に出演しているのかチェックするのも面白いかもしれませんね。

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※特性ステッカーをプレゼント!

②柄本明さん演じる兵馬が初めて登場する満員電車のシーン、兵馬が読んでいる新聞に写っている映画女優は誰?

2問目は超難問! みなさん分かりましたか?答えは…当時日本でも大ヒットしていた『エイリアン』シリーズで、主人公エレン・リプリーを演じるシガニー・ウィーバー!

原野さん曰く、新聞をよく見ると、新聞の下の方に【新日鉄】*現:日本製鐵 のロゴが見えるとのこと。本作が撮影されたバブル当時の日本では、ハリウッド女優が数多く広告に起用されていたそうです。なるほど、そのような時代背景がこのシーンから垣間見れると…。
観返してみると、確かにロゴが見えました!4K修復されたことで、画面に映る細かな部分がより鮮明になったのですね!!

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③寅さんが、淡路恵子さん演じるマダムの自宅で茶漬けをご馳走になるシーン、マダムの亡くなった旦那の遺影として写っている、ある有名な映画俳優は誰?

3問目の答えも、なかなか難問! 映画好きの人ならおわかりになるかと! 答えは、アメリカを代表する映画監督・俳優オーソン・ウェルズ。ウェルズは本作と同じくウィーンが舞台の1949年製作の映画『第三の男』で主演を務めています。原野さんは、「41作ではこのシーン以外にも随所に『第三の男』のオマージュが散りばめられており、山田洋次監督がこの作品を敬愛されていることがよく分かった」と解説してくださいました。


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原野さんは、なんと41作で寅さんと兵馬が泊まったウィーンのホテルや、久美子がお茶をしたカフェなどに実際行ったことがあるそう。

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41作だけでなく、各シリーズのロケ地を探しては赴き、映画のアングルで写真を撮ってくるのが趣味という原野さん。実際に撮影した写真を披露してもらいながら、その理由を語っていただきました。

原野さんと『男はつらいよ』の出会いは飛行機の国際線。
機内のモニターで1作ずつ鑑賞するうちに、すっかりシリーズの虜になってしまったそう。

観進めていくにつれ、シリーズ48作のカメラマンを担当した高羽哲夫さんのカメラアングルを敬愛するようになり、実際にロケ地で劇中の高羽さんが撮影した画と同じカットを撮影し、自身でも体験したくなったと言います。今ではインスタグラムで「_高羽アングル」というハッシュタグで投稿するのがライフワークになっているという、筋金入りの『男はつらいよ』ファンなのです!

原野さんのInstagramとnoteアカウントはこちら↓


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劇中で寅さんと兵馬が泊まったホテルや、久美子がお茶をしたカフェなどで撮影した貴重なお写真も見せていただきました!

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本編に一瞬出てくる建物や看板などの微かなヒントを頼りに、実際に足を運んで、高羽さんが撮影カットを探し出す徹底したこだわりに、会場では驚きの声や笑いが巻き起こりました!

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お客さんの中にも、原野さんのようにロケ地を実際に巡るコアな男性ファンがいらして、すっかり意気投合!4Kデジタル修復版を観て、お二人は今まで見ることができなかった看板の文字や書かれている文字が鮮明に分かるようになり、ロケ地巡りをするようなマニアックなファンにとっては「この看板の字が読める!」という感動があったとのこと。

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では、そんな4Kデジタル修復とは具体的にどんな工程なのか、実際に修復プロデューサーとして携わった五十嵐さんに説明していただきました!

現代の映画館の環境はほとんどデジタル上映になっているため、昔のフィルムはそのままでは上映できないので、デジタルに取り込むという工程が必要になります。しかし、長い年月の保存をしていると、フィルムに傷が付いていたり空気に触れて退色したりして傷んでいる場合が多いとのこと。それを、デジタルにする際に一コマずつ丁寧に修復して、当時のフィルムで撮影された質感に近づけるような作業を、デジタル修復作業と言うそうです!

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確かに古い年代の映画は観ているとどうしても「色合い」や「ノイズ」に意識が行ってしまいがちで、映画に没頭するのを妨げられたりすることが。しかし、今回のデジタル修復で画面も音も撮影当時の質感で観られるようになっています。ただ細かい部分まで綺麗に観られるようになっただけではないんですね!

「男はつらいよ」ファンの原野さんにとって、今回の4Kデジタル修復プロジェクトで注目すべき点を伺ってみると、「山田洋次監督自身が監修をされているということ」との答えが。50年経った尚、当時のスタッフの目で見て修復が施されたというのは、日本映画界にとっても貴重な資産となり得るプロジェクトなのです。

4Kデジタル修復について、詳しく知りたいという方は、五十嵐さんも登場する4Kデジタル修復プロジェクトのインタビュー記事をぜひご一読ください↓


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会場のお客さんからは、4Kデジタル修復された画面・音を体験した感想や、それぞれの寅さんへの思いなどを伺うことができました。

「初めて4Kデジタル修復された寅さんを見て、修復されて画面の色合いや質感が綺麗になったことで、当時の空気感が感じられるのが凄いと思った」と、実際に4Kデジタル修復の技術力を熱く語る方も!

中学3年生の時にお父様と観に行ったのがきっかけで『男はつらいよ』のファンになったという女性の方。今回は息子さんを連れて参加いただいたとのこと(*先ほど1問目のクイズに見事正解した方が息子さん!)

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なんと、自宅に全49作が2つずつあるそうで…。(松竹から2001年に発売された『男はつらいよ DVDパーフェクトBOX』と、講談社から2011年に出版された『男はつらいよ 寅さんDVDマガジン』)すかさず原野さんから「仕込みの人ですか?」とツッコミが入り、思わず笑いが巻き起こりました!

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やはりすでに2つも全巻セットをお持ちで、昔の古い感じの映像が自分は好きだから、4Kデジタル修復版は自分に関係ないと思っていたそう。でも、こうして4K修復版を観てみると、当時の雰囲気が崩れておらず、台詞も格段に聞き取りやすくなっていることに感動し、「今回も購入を検討するかも…?旦那と相談です…! 笑」とのこと!笑


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最後に、ご来場いただいたみなさまに感想を伺いました!
酎ハイを飲みながらほろ酔いで楽しんでいた男性の方は、親戚に寅さんのような叔父さんがいらっしゃり、その影響で好きになったそうです。

中には、母親の影響で好きになった女性の方も。今回は、お姉さんを誘って姉妹で参加してくださいました。お二人とも「家族で観ていたのが懐かしい」と。妹さんに至っては当時渥美清さんが亡くなった日にショックで小学校を休んでしまったことがあるそう…!

『男はつらいよ』は大人や子供など、家族みんなで楽しむことができ、世代を超えて愛されている作品なのだと、改めて実感しました。

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イベントを通して、実際に4Kデジタル修復の技術力の高さを体感したと同時に、『男はつらいよ』シリーズの魅力をファンの方々で共有できる、とても貴重な体験となりました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!

4Kデジタル修復版を劇場でご覧になりたいという方は、お近くの劇場で11月下旬より開催される、50周年記念『男はつらいよ』4Kデジタル修復版上映にぜひお越しください!(*東京・茨城・名古屋・大阪)

詳細はこちら↓

#男はつらいよ で引き続き、投稿・感想をお待ちしております!

今回、来場されなかった方も、『男はつらいよ』への思い、初めて観たときの感想や、一番好きな作品= #推し寅 など、あなたと寅さんの物語を、是非note #男はつらいよ でお聞かせください!

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