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9月21日 自動運転車が事故ったときの責任はメーカーでいいんじゃないかな……という話

 ふと思った話。
 自動運転車の法律問題にまつわる話をするとき、よくあるのが「もしも事故った時の責任は誰が取るのか」という問題がある。運転手か、販売メーカーか?
 これ……メーカー側の責任でいいんじゃないかな。
 と、まあ軽~く話しちゃうけど。

 というのも「事故率」の話。

 2016年、自動運転車が死亡事故を起こした……というニュースが世界的に話題になって「自動運転はまだまだ危ない!」という意見が強力になった。
 しかし交通事故自体、日々あらゆる国で大量に起きている。それに較べると、自動運転車の事故件数は非常に少ない。自動運転車は実験機がすでに毎日公道を走っているのだが、事故が起きた、というのは全てのケースで6例。死亡事故はわずか3例。
 「自動運転車が事故った!」ということでニュースになりやすいが、よくよく考えるとものすごく少ない。

 検索してみると、2021年までに自動運転車による死亡事故は合計で3件。しかもどのケースも、「機械による判断ミス」ではなく、運転手側の判断ミスだった。
 その実例を見てみよう。

 2016年5月7日、米テスラモーターズ社の電気自動車が死亡事故を起こした。
 この時はシステム側が通行人を判断できなかったわけだが、その時システムエラーで機械側は運転手にハンドルを握るように指示していた。運転手はそれに従わなかった。

 2018年3月18日、ウーバーテクノロジー社の車が死亡事故を起こした。
 この時、運転手は自動ブレーキ機能をオフにしていた。自動ブレーキ機能を有効にすると、車両の動作が不安定になるからだ……という。ついでに事故の時、運転手はテレビを見ていた。これは明らかに人間側の問題だった。
 運転制御システムが不完全な上に、さらに運転手が注意を怠っていた例である。

 2018年3月23日、同じくウーバーテクノロジー社。この時の死亡事故も、運転手は警告を無視してハンドルを握っていなかった。

 自動運転車は各メーカーがテスト運用していて、かなりの数が公道を走っているわけだけど、死亡事故は上の3件のみ。細かい事故を含めるとそれなりの数はあるけど、それでも人間が運転する車よりも、はるかに事故件数は少ない(分母がわからないから、どの程度の事故率なのかわからないんだけど)。
 だから明らかに論外なヒューマンエラー的なものは除くとして、問題が機械側だった場合、事故の責任はメーカー側が取ってもいいんじゃないだろうか。

 というのも、自動運転車が売れるであろう台数が圧倒的に多いはずだからだ。もしも事故が起きて、遺族が賠償金を請求したとしても、会社側は売り上げの数パーセントを還元すればいいだけだ。それで致命的な痛手になることはないんじゃないだろうか。

 映画『ファイトクラブ』では、本当かどうかわからないが、こんなシーンがある。
 自動車の不具合が発覚したとき、その問題で将来遺族が賠償金を請求してくる金額が、リコール料金よりも高かった場合、車をリコールに出す。下回るようだったら、リコールは出さない。不具合は放置だ。
 本当にこんなことやっているかどうか知らないけど……。
 利益追求主義の考えを採ると、上のような理屈になる。
 自動車会社が何を恐れているかというと、その車によって死亡事故が起きたとき、多額の賠償金を取られることだ。自動車会社のトップになると、人が死ぬことよりも、お金を取られることの方がよほど怖いのだ(その理由はこのブログで何度も指摘しているように、大会社のトップになると消費者が認知外になるからだ。極端な話、社内の労働環境についても認知外になるので、ここからブラック労働の問題も発生する)。自動車会社がその責任を取りたくないから、法律問題になったとき、有耶無耶にしている……ともいえる。

 でも事故件数の少なさを見るに、これはいっそメーカー側の責任にしても良かろう……と(明らかな人間側の問題である場合を除いて)。賠償金を請求されても、そこまで滅茶苦茶に痛いわけじゃないぞ……とわかれば、メーカーも責任を引き受けるようになるんじゃないかな。


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