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メイドインアビス第2期 第1話の度し難感想 そこは“黄金郷”という名の地獄

前回

 いつの間にやら始まっていた“度しがた系”アニメ『メイドインアビス』。いやぁ、どこで配信されるか知らなくて、まさかAmazon Prime Videoだとは……。ニコニコ動画のほうが早いんだと思ってた(ニコニコ動画は有料でした……)。
 とりあえず、第1話を見ていきましょう。
 原作は未読!

 ヴエゴの持っている不思議な羅針盤(「星の羅針盤」)。最初のPVを見た時、「どっかで見たな……なんだっけな……」って思っていたのだけど、

 1期シリーズを見返してやっと思い出した。そうだそうだ。リコが持っていたやつだった。リコが発見して、ちょろまかしてたやつだ。
 でも意味ありげに登場してきたのに、特に役に立つことなく、第4話、滝壺に落としてなくしてしまう。
 この羅針盤、なんなんだろう……と思っていたけれど、アビスの場所を特定するためのものだったんだね。すでにアビスにいる状態だと、持ってても特に意味のないものだった。

 ガンジャ隊の一同が乗っている船。不思議な形をしている。竜骨の先端がさらに角のように突き出していて、そこに帆が引っ掛けられている。うーん、この構造だと、横には動くかも知れないけど、前進はしないんじゃないかな……。せめて帆の向きを変えられるような構造にしないと……。
 まあそこはファンタジーなので、デザイン重視で。
 推進はどうやら風のみで、まだ蒸気船の時代には来てないみたいだ。

 『メイドインアビス』の世界観は、「世界中が探索され尽くして……」と説明されている。それって、つまり大航海時代を経て、それも一旦落ち着いた世界……ということだろう。私たちの世界でいうところの、17世紀や18世紀くらい。蒸気機関が出てこないので、19世紀までは来てない(リコ達の時代には、蒸気船が登場している)。地図の空白部分が全部埋まっていて、「世界中は探索され尽くした」と考えられた世界。でもそんな最中、アビスの底だけはまだ地図の空白部分が埋まってない。それが探検家たちにとってのロマンだった。

 雨の甲板の上を走る。音が惜しい! 靴音が乾いてる。雨に濡れた甲板の上を走っているんだから、靴音も濡れてないと……。DVDで修正されていることに期待しよう。

 ガンジャ隊はついにアビスを発見する。この頃のアビス周辺には街などまったくなく……。いったい何年くらい前なのだろう?
 この頃のアビスには、石器文明による狩猟採取民が小さな集落を築いて生活をしているようだが……。

 その集落の入り口。おや? これは……。

 第1期第1話にかなり似たような構造のゲートが登場している。でも第1期第1話時代のものはレンガ造りになっている。もしかすると、昔からあったゲートを参考に、作り直したのかも知れない。
 第2期第1話に出てきたゲートだが、石が正確に切られて、しかもアーチが作られている。これは石器文明では作ることができない。ということは、未開人たちの前に、もう一つ文明があった……ということだろう。未開人たちはその文明が滅びた後に住み着いたか、あるいは昔から住んでいたが文明を喪って狩猟採取民になっていったかのどちらかだろう。


 アビスの縁。ここでも床が真っ平らに作られているし、石の階段が作られている。狩猟採取民にとってオーバーテクノロジー。

 未開人の少女と出会う。その背中には入れ墨があって……。入れ墨の右上は、後のエピソードにも登場してくる。

 少女が持っている槍はひょっとすると鉄? たまたまそんなふうに見えるように描かれているだけ? よくわからない。

 幼女であるのに、すでに子供の産めない体になっていて、処分されることになっていた。子供が産めないのは、生まれつきのものか、それとも人為的なものの結果なのか……。
 狩猟採取民にとって人口維持は大事な要件なので、子供が産めない女の子は不要の扱いを受ける。前にも書いたが、部族社会では知能や体力の劣った子供は“処分”されてしまう。生きること自体が過酷なので、集団の成員にとって邪魔だとみなされた子供は殺されてしまう。この世界観において、処分される子供はアビスの深いところに連れて行かれるのだろう。
 一方、「子供が産めない」という話を聞いて、ヴエゴは女の子を庇う。
 ……ということはヴエゴもすでに子供を産めない体なのかな?

 冒頭から度しがたい描写で始まる『メイドインアビス第2期』。ヴエゴは拾われた男から性的な虐待を受けていた。
 でもあの男は多分、ロリコンじゃないだろう。男は自信のない男だった。パッとしない人生を歩んでいる男だった。だから自分の男らしさを誇示する相手がほしかったのだろう。「男らしさを誇示したかった」というのはもちろん性的な意味でも。そこで子供が相手なら、無制限に自分の強さ、男らしさを発揮できる。それで子供を相手に暴力を振るっていたのだろう。
 繊細なやつほど強がるし、知恵のないやつほど賢しらに振る舞う。惨めな生き方をしてきたやつは、自分より惨めなやつを側に置きたがる。
 明言はされてないけど、その結果、ヴエゴもすでに子供が産めない体になっていたのかもしれない。
 人は生物学的な欠損を得ると、どうしようもない喪失感に陥る。男で想像しにくかったら、ちんちんが使い物にならなくなったところを想像しな。
 ヴエゴは最初から絶望していて、失うものはない。だから死ぬ覚悟のガンジャ隊の旅も受け入れている。どこに行ったところで、あの男のところより酷い場所なんてあるわけないから。

 それでガンジャ達は深層5層まで行き着いてしまう……。予備知識もない状態で、よくやるな……。

 リコ達世代ではポッド周辺はこんなふうになっている。ポッド自体はもしかすると同じ素材かな?
 ポッドの周囲は整えられている。いったい誰がこんなところを工事したのかわからんけど……。

 お話はリコ達の時代へ。劇場版の直後のお話になっている。

 隙あらばナナチにセクハラしようとするレグ。……心配だよ。この頃に憶えちゃった性癖って、一生ものだからなぁ……。

 そんな第1話のハイライトシーンといえばここ! リコのうんち💩。リコのうんち💩がインパクト大きすぎて、新しいキャラクターとか、みんな飛んじゃったよ!
 ああ、またレグの性癖が歪んじゃう。心配だよ。

 リコ! 尻はちゃんと拭いたか! 清潔にしないと感染症とかもろもろ大変だぞ!

 深いところまで潜っていくポッド……。辺りを見ると大量の死骸が……。これは劇場版のエンディングでも描かれていたもの。
 『メイドインアビス』は生死不明の母親を訪ねるために、地底へ潜っていく……という始まり方になっている。このあらすじを聞いて、ああそれって黄泉の国ね、とピンと来る。ギリシャ神話のオルフェウスでもいいけど。第6層以降まで潜っていくと、そこはもう黄泉の国。だからその境界となるところに大量の死骸が積み上げられている。リコ達はこれから“死の向こう側“の世界へ行くのだ。
 この物語は、神話の世界によく描かれていたあの世や黄泉の世界へ行くお話なのだけど、やはりその描き方が見事で。現実世界のどの神話や民話でも見たことのない、独自の世界観を描いている。なんでこんなイメージを描けるんだろうね。
 そんな世界に行くには、自身も生死をこえた存在にならなければならない……。レグはそもそもロボットだし、ナナチはすでに6層の呪いを受けて6層の住人として相応しい姿になっている。しかしリコは、まさかの生身のまま6層まで行き着いてしまう。……ただし、リコは一度死んでいるから、それで生死を超えた世界へ行ける……という理屈かも知れないけど。

 なんにしてもここからリコは本当に危険。6層の上層負荷は人間性の喪失。あるいは確実な死。生きていられるとはとても思えない。

 さあ、いよいよやってきた第6層。かなり奇妙だが……意外にも人工物の痕跡があちこちに残されている。ここにくるまで、アビスの中は原生林の風景がずっと続いていたから、かなり異質な風景だ。
 さて、どんな冒険が待ち構えているのかな……?

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