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ハートドリブン HEART DRIVEN―目に見えないものを大切にする力

アカツキ_塩田元規_社長_2-3

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はじめに
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こんにちは。伊藤 航です。
いつも本の紹介をご覧いただき、誠にありがとうございます。

本日は株式会社アカツキ共同創業者 代表取締役 CEOである塩田 元規さんの『ハートドリブン HEART DRIVEN―目に見えないものを大切にする力』をご紹介いたします。

全ての産業で感情価値が大切に

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 全てのモノやサービスの価値の源泉が、機能的価値から、感情価値へシフトしていく中、感情価値で差別化することが求められる。それは、サービスに心が動く体験を加えるということだけじゃなく、自分たちの思想・哲学を大切にして差別化することと同じだと思う。

これからは、全ての商品やサービスには心が動く体験が必要になる。それはワクワクする体験を付加することかもしれないし、物語や価値観、信念を伝えることかもしれない。もし、組織の中で、機能的な価値の議論が中心になっているなら、少し離れて、感情価値を考えてみよう。

感情価値は、無限大の可能性がある。リソースの制限もないし、原価も関係ない。他社とシェアを奪い合うような競争も、他社を否定する必要もない。自分たちが提供している感情価値は何か。顧客とどういうつながりを持ちたいか。自分たちの哲学は何か。そういうことを問うことが大切だ。

結果として、それはブランドという資産を生み出す。これは、機能的な価値を否定しているわけじゃない。それも、もちろん大切だ。ただ、機能的な価値は目に見えやすいから、そこのみに意識が向いてしまいがちだ。便利さ以外にも、軸があることを意識しよう。顧客を消費者じゃなくてファンとして捉えていこう。その上で、便利さや品質があればそれはなお素晴らしいはずだ。

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幸せ企業の経営者が教えてくれたこと

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 ハッピーカンパニープロジェクトでやることはシンプルだ。
長期成長していて、顧客も社員も幸せそうな会社を僕たちで勝手に選んで、その会社の社長に「会社とは何か?人生とは何か?どんな哲学で経営しているのか?」をインタビューする。そして、幸せな会社は何を大切にしているかを分析することだ。

その時に経営者の方々に聞いたことが、僕の経営者としての土台、アカツキの土台にもなっている。

千葉にある化粧品会社のおじいちゃん経営者にこう聞かれた。

「企業とは何か、知っているかね?」

僕は、わからなかったから、Wikipediaで調べて、「利益を目的にした社会的な集団」と書いてあるそのままを答えた。

「じゃあ利益とは何かね?」

僕は、「・・・・・・えっと、お金ですか?」と答えた。今、思い返すと、これじゃ何も答えていないに等しいと思う。お恥ずかしい。

「企業がサービスや商品を提供して、お客さまはそれには価値があると思ってお金を払う。だから、企業は価値を提供してお客さまを笑顔にしたり喜ばせたりした分だけ、売上が上がる。売上とは世の中に提供した価値の総量なんだ。だから、利益とは、売上のために、社会のコストを使って生み出した付加価値だよ。企業の役割とは、世の中に価値を提供すること、そして、それは一人じゃできないからみんなが集まってやるんだ」

(なるほど、会社って素晴らしいものなんだなぁ。では、社員が幸せな、素晴らしい会社とはどういう会社なんだろうか)

素晴らしい会社の定義で大切なことは、たった一つだ。それは『雰囲気がいい会社』だ

(ん? なんかすごい簡単そうだ。僕でもできそうだぞ)

「ビジネスモデルとか戦略とかそういうことじゃないんですか」

僕は聞いた。

「ビジネスモデルや事業内容はいつか変わる。なぜならお客さまの求めるものも変わってくるからだ。でも変わらないことは、企業っていうのは人が全てだっていうことだ。いい会社にはその会社の文化がある。哲学や信念がある。それを社員と共有している。そして社員は働くことを楽しんでいる。そこにはいい雰囲気が流れるんだ。会社を測る時は、目に見えやすいビジネスモデルや数字じゃなくて、雰囲気などの目に見えないものが一番大切なんだ。経営者の仕事は、目に見えないものに気づき、それを育める環境を作ることだよ」

ものすごくすてきだ。ただただ感動した。
もう一つ、僕は質問した。

「最後に、人生ってなんですか?」

「塩田君、人生に何かゴールがあると思ってないか?何かを手に入れたり、達成したら幸せで、そうじゃなければ不幸せだと思ってないか?たとえば、いい大学に入って、いい会社に入ったら幸せだと思っていないか?ゴールや目標はもちろん大切だ。でも、それは今この瞬間をより楽しみ、味わうためにあるんだ。
人生は旅のようなものだ。目的地を見据えながら、道を間違えたっていい、道中を楽しんでいくんだ。そして、人生の目的は、何かを手に入れることじゃない。自分自身の器と可能性を広げていくこと、より大きな自分に出会うことだ。それを意識の成長って私は呼んでいるが。自分が死ぬ時は、卒業証書をもらうようなものだ。どれだけ大きな自分になっているかが大切だよ」

ハッピーカンパニープロジェクトで多くの経営者にお会いした時間は、僕の宝物になった。

自分の心が震えているのがわかった。話を聞きながら、涙してしまうこともあった。僕は、自分の夢を見つけた気がした。自分がもし37歳で死んだとしても、その後に残したいものが明確に見つかった気がした。

最高に人が輝いて、ワクワクして働いている組織。そして、僕が死んだ後にも、世の中に価値を提供し続けていく偉大な幸せ企業を作ろう!

そして、今思うと、当時出会った経営者の方々のメッセージは、「見えないものを大切にする、内側の成長が大切だ」っていうことだった。この本のメッセージと同じだったんだ。

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Why 【意義】 を中心に置いてスタートする

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 サイモン・シネックのゴールデンサークル理論をご存知だろうか。
2009年「TED Talks」で「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」というテーマでプレゼンをし、人々をインスパイアする方法を説いた。このプレゼンの動画は、4600万回以上再生されている。

この中で、アップル、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、ライト兄弟を例に出し、当時、他にも同じ挑戦をしていた人々はいたのに、なぜ彼らだけが卓越した成功を得ることができたのかを説明している。そこには、人々をインスパイアし、卓越した成功を出すためのパターンがあった。

それがゴールデンサークル理論だ。

サイモン・シネックは、Why(なぜ)、How(どうやって)、What(何を)の3つに注目してそれを説明している。どんな組織も何を(What)やっているかは理解している。どうやって(How)やっているかも理解している組織はある。でもなぜ(Why)やっているかを理解している組織は極めて少ない。利益はWhyとは関係ない、Whyは意義・目的だからだ。

優れたリーダーはこのWhy、How、Whatの順番が他とは逆だ。多くの組織は、Whatからスタートする。そしてだいたいHowまで説明して終わりだ。
優れたリーダーはWhyからスタートしてWhatまで説明する、としている。興味のある人は、TEDの動画をみてほしい。

たとえば仮に、アップルが一般的な会社として、自分たちを説明するなら、

「私たちは素晴らしいコンピュータを作っています。ファッショナブルなデザイン、操作はシンプルでユーザーフレンドリー。どうですか?」

だ。それで商品が欲しくなるだろうか?

彼らはWhyから説明する。するとこうなる。

「私たちは世界を変えられると信じています。そして常に既存の考え方とは違う考え方をします。世界を変えるために美しいデザインかつ機能性に優れた製品を世に送り出そうと努力するうちに、このような製品ができあがりました。お1ついかがでしょうか?」

どちらのほうが購買意欲が増すか、ファンになるか、ブランドとして強くなるかは明白だ。

これからの時代は、今まで以上に、意義(Why)が全ての中心になる。競争戦略をたくさん考えるよりも前に、Whyをクリアにして、Whyをどう伝えるかを考えたほうが、圧倒的に価値がある。

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おわりに
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 今回ご紹介した本書の要点をまとめると以下のようになります。

❶ 全ての産業で感情価値が大切に
 全てのモノやサービスの価値の源泉が、機能的価値から、感情価値へシフトしていく中、感情価値で差別化することが求められる。それは、サービスに心が動く体験を加えるということだけじゃなく、自分たちの思想・哲学を大切にして差別化することと同じ。
❷ 幸せ企業の経営者が教えてくれたこと
 素晴らしい会社の定義で大切なことは、たった一つだ。それは 『雰囲気がいい会社』 だ。社員は働くことを楽しんでいる。そこにはいい雰囲気が流れる。会社を測る時は、目に見えやすいビジネスモデルや数字じゃなくて、雰囲気などの目に見えないものが一番大切。
❸ Why 【意義】 を中心に置いてスタートする
 ブランドは意義から作られる。感情価値が中心の世界で、ブランドが大切になるということは、意義と信念が大事だということだ。意義・信念がクリアであれば、人が共感する大きな力になる。それは顧客だけじゃなくて、働く人々の心も動機付ける。

※上記文章は株式会社幻冬舎『ハートドリブン HEART DRIVEN―目に見えないものを大切にする力』より一部抜粋しています。


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私は本で世界を変えられると信じています。そして常に既存の考え方とは違う考え方をします。世界を変えるために美しいデザインかつ情報に優れた記事を世に送り出そうと努力するうちに、このような『note』ができあがりました。一緒に世界を変えてみませんか?