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感性の鈍化を打倒

土曜日に吉祥寺WARPにarigarnon friend's目的でライブを観に行った。いわゆるエモ目のブッキングで5バンドspotifyで聴いて楽しみにしていった中で、2バンド目のI have a hurtが抜群にかっこよすぎた。音量と音作りもあいまって、感覚的にかなり突き刺された。吉祥寺WARPというライブハウスはほかのライブハウスと比べて特に暗い、さらに黒、漆黒、オレンジ色のロゴがより目立つ風景で、その中でより黒い音楽を鳴らしていた。ブラックミュージックやブラックメタルではなく、黒い空間の中でシャープに照り輝く黒さ。そういう印象を受けました。

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音とパフォーマンス、両方がエモーショナル。トリのdeerafterのジャンルがtwinkle emoだとすれば、こっちはただemo。オルタナ?そんな感じ。でもエモとは音楽性を含めた姿勢で表現されるジャンルだと思っています。とにかくエモーショナル。特にベース。曲や、ライブ構成それ自体での後半に向かってピッキングの振りが大きくなり、コード弾きも多用されて爆音発露、すべてがピーキーになっていくその様に惹きこまれてしまいました。リズムの核となる点で、小型船舶の「ダルルルル」っていうエンジンをいれるみたいにアップピッキングの大振りするのマジでかっこいい。俺も今度やろう。あとダウンピッキングが速すぎた。その日のライブは全体的に高速ダウンピッキングベースマンが多かった。そもそも全バンドのベースマンがピック弾きだった。最高や。

I have a hurtを観るのは2度目である。2015年の11月、susquatch目当てで下北沢ERAに観に行った「circle」というイベントで。タワレコがブッキングした6組が出ていて、雨のパレードとかも出てたけどそこでPens+を知り、初めて生で「エモ」を観た。と、当時ブログに書いてた。そのPens+にハマってからマスフェスを観に行き一気に東京のマスロック系にハマっていったので、自分の間口を広げてくれるきっかけとなったとても思い出深いイベントである。インディーズという括りで連想されるものはたくさんあれど、その一片一片に触れて吸収できるようになったのは確実にcircleのおかげである。そのイベントにI have a hurtが出ていた。当時は「リッケンバッカーを使って激情系やるのかっこいいな」ぐらいにしか感じなかったと思う。そもそも下北沢ERAというライブハウスは縦長で、会場が埋まるとマジでなんも見えない。私は背が低いので。下北沢ERAで開かれるライブにはいかなくなった。

そんな俺が6年の時を経て、自分の好きなライブハウスで、ここがいいだろうという立ち位置を選んでI have a hurtを聴くと、めっちゃくちゃよかった。自分のライブウォッチャー、リスナーとしての経験による準備が奏功したのもあるが、I have a hurtの音楽に感動できるようになったという成長が大きい。轟音を轟音で終わらせず、ああこの中に強弱があって、強さは激情で弱さは叙情的だなとか、そういう感じ方ができるようになったんだ、明確に。芸術で成長とか言うのも正しくはないけど、間違ってもいない。俺は昔コーヒーが苦手で大学を卒業するまで飲めなかったのですが、社会人になって営業で客先をまわるなかで出されるコーヒーをミルクとか砂糖使ったらゴミが出て申し訳ないなと思って出されたまま飲むうちにコーヒーが飲めるようになり、今では好きになっていて、この「慣れからの好き」をI have a hurtに当てはめようとしたのですが、そのコーヒーも今では酸味とかコクとかがなんとなくわかるようになったので、「感性の円熟によって良さに気づけたこと」の事例として当てはめます。

大人になると①慣れ②やさしさ③感性の円熟この3種類によって他者への承認が増えると思うのですが、③を増やせるうちはまだ現役でいられると思う。現役でいたいですね。

高速ダウンピッキングとかで「うめ~」とI have a hurtのベースのヤマダさんを観ていたのですが、17歳とベルリンの壁のギターの方のnoteでそのヤマダさんがバンドに入るきっかけが書かれていました。ドラムの大学のサークルの先輩ということで、「一番ダウンがやばい人」というお墨付きで勧誘、加入となったらしい。なるほど、大学のサークルという範囲でいちばん何かに秀でてる人はこれぐらいなのね。俺は大学の部活の中で下から数えた方が早いぐらいには演奏が下手で低評価だったので、東京のライブシーンでやってくには難アリかもしれないですね。は~。学生時代の話は相対化しやすいので、もっとください。

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