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「ンガング(鼻濁音の発音が正しく綺麗)」と「フフッヒ」について。~門外漢に駆逐されたものと公式採用されたもの~

「私の熱いアイドル活動、アイカツ! 始まります!
フフッヒ!」
(やはりここは『サザエさん』の「ンガング(鼻濁音の
発音が正しく綺麗)」と並んで「フフッヒ」は譲れない)

と以前書きましたが、多少の思い出成分も含めて
まずは「ンガング(鼻濁音の発音が正しく綺麗)」に
ついて語っていこうかと。


現在の『サザエさん』はジャンケンポンが主流で
それに比しての対策・研究も著しくはかどっている、
とは言われていますが、フジテレビがしっかりと
「サザエさん(再放送)」を終わらせ、田中真弓が
セミレギュラーから外れた隙に『るろうに剣心』を
水曜から火曜日に左遷させる愚を犯した結果、
(しっかりサンプル通り視聴率5パーセントダウンを
達成させて)見事にメルトダウンを果たす偉業を
成し遂げた、といふのが1990年代末のテレビ模様の
一つだったのですが。
(水曜7時台の護り神田中真弓が水曜のレギュラーから
外れるとトチ狂ったフジテレビはメルトダウンを重ねる、
といふジンクスは今でもピンピンとしていますが
(この事象は1回目で、3回今まで観測されている
んだっけ))、むろんそれは別件で起こす話。

https://m.youtube.com/watch?v=AnRxbVPKBHM

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%8B%E3%82%8D%E3%81%86%E3%81%AB%E5%89%A3%E5%BF%83_-%E6%98%8E%E6%B2%BB%E5%89%A3%E5%AE%A2%E6%B5%AA%E6%BC%AB%E8%AD%9A-_(%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1)

で、この余波でカツオとノリスケの声優が見送られる
のと同じくして外されてしまったのが通称ンガング。

いかにもな門外漢の無知さ加減で「喉に詰まる
光景を想起させて」をぬかされた挙げ句の果てに
葬られたわけですが、鼻濁音は武田百合子が末期の
「富士日記」でも怪訝に嫌った「外郎売(ういろう
うり)」にもテクニックが施されている表現方法の
一つで、本来の発音の変遷と由来を把握することが
疎かにされた「新劇がまだ死んでいない(西田敏行の
大政奉還以前)」出来事だったので、この愚業が
強行された、と観るのが後代の評価というものでしょう。

https://www.amazon.co.jp/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%80%88%E4%B8%8B%E3%80%89-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%AD%A6%E7%94%B0-%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90/dp/4122028736/ref=pd_vtp_sccl_2_6/357-7345317-6634530?pd_rd_w=30Upm&content-id=amzn1.sym.cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_p=cbb45385-7b99-44b7-a528-bff5ddaa153d&pf_rd_r=XTW85KN4TE728K0RZHYV&pd_rd_wg=7VdGe&pd_rd_r=4142dfc0-9a7e-4d07-89c1-16992af16b1d&pd_rd_i=4122028736&psc=1

https://talent-dictionary.com/%E8%A5%BF%E7%94%B0%E6%95%8F%E8%A1%8C

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%BF%E3%81%8B

とその前に。「富士日記」を典拠元で出して
いましたが、現物も見つかったし「写経ノート」
でも確認できたので、これを武田百合子「日々雑記」
に訂正します。用例で取ってあった該当部分はこちら。
(まあ発声練習に対する露骨な嫌悪感が雑記で
纏められていた、と観るべきなんだけど)

ある日。
代々木公園、朝十時。
「アオアエイウエオ、カコカケキクケコ、ラロラレリルレロ」
黄色のシャツ、白ズボンの男が芝生のまん中で、
突然はすかいの空に顔をあげて叫びはじめた。
そのあと、ハッハッハッと言った。イヤな声だ。
啼きかわしていたカラスが一層ざわめいた。

武田百合子「日々雑記」(中公文庫)p18-19

といふことで、手本としてはやはり高島俊男の
「漢字と日本人」を取って丁寧に説明して行こうかと。


そもそも日本人の受容する形として、ngで終わる音を
受容するのがひたすら不得手だった、といふ由緒が
まずあって、この変遷をちゃんと辿って把握して
いないと粗暴な無頼漢に一蹴されてしまう事例が
起こってしまう、ってのをまず抑えておこうかと。

用例としてはspring、song、long、bringのng音。
これをまず受容した時に使われたのが鼻濁音。

このngでおわる音というのが、日本人はダメなんですよね。
ngのところで音が鼻へぬけて自然に消えてゆく。
だから口からはこれといった音は出ていない。
そういう音なんだが、これができない。
なにしろなんでも母音をつけないと発音できない人種なんですね。

高島俊男「漢字と日本人」p52-53

これをまず「ング」とか「ク」にパピプペポなどの
半濁点な゜をつけて「ク゜」とかで示していたことが
ある、といふのがまず一つ目。

で、その受け取り方が後代になると変化していって、
それに即した「詠み」がされていく、といふことを
把握する必要があると。

一応この鼻濁音を持つ地名の痕跡としては相模の
「相(サカ゜、サンガ)」があげられています
(サカ゜ミ)。
(変遷としての変化はサカ゜→サウ→サンと変化する)

「相」。これはsangという音なのだが、このあとに
母音aをつけてサカ゜にした。「ガ」は、nga、鼻へ
ぬけるガです。いま東京の人が「花が咲いている」
という時の「ハナガ」のガですね。
「鼻濁音(びだくおん)」と呼んでいます。

高島俊男「漢字と日本人」p53-54

台本読みでマーク付けするときに、よく゜を記して
鼻濁音を確認しておく、といふ段階までは流石に
はしくれであってもやっていたような。

このあとは「イ」や「ウ」を付けて記す、といふ
時代が奈良平安時代に到来します。(=漢音)

「請」といふ字がありますが、これは奈良平安時代に
「セイ」と読むようになったので、要請はヨウセイ、
と読むようになったと。

そのあと武家時代の鎌倉室町時代になって、今度は
「ン」を付けて読む時代が到来すると。(=唐音)

だから「請」は「家を普請する」のようにブシンで
「シン」と変化して読むようになった、となる。

(だから変遷としてはシンク゜→セイ→シンと
変化した歴史がある、と)

基本的に鼻濁音の文化が残ったのは東国文化に
おいてのみだったので(西の方が返って遣唐使
あたりまでは特に中世中国に近い位置にあるので淘汰
されたと観るのが賢明ではある)、結果的に詠み方の
古式ゆかしい形で残っていた「ンガング(鼻濁音の
発音が正しく綺麗)」を無頼漢がつまんなく駆逐
したか、その野蛮さが少しはおわかり頂けたかと思う。

といふことで、ここからは「フフッヒ」の話に至れるか。
 まあちょうど東放学園の出張講座でノリスケ役だった
村越伊知郎氏の講義を受けていて、氏から永井一郎さんの
著書の情報を聞けた一方で、なぜだか「ンガング」の
用例を出してしまい「あれはクレームがあって・・・」
と村越氏に窘(たしな)められた記憶が。

当時頂いた個別の生徒に対するレポートと直筆文で
帰ってきた史料がたまたま見つかったんで思い出して
いたものですが。

(そこでの証言では現在のサザエさん公式HPの説明
とは異なる「ボクは初代のノリスケさんじゃなかったんだ」
なんて話もあったんで、それはまた別件で起こす話に
なるかと。ただ、カツオ役の高橋和枝さんと共に
『サザエさん』を声がほぼ出なくなってしまうことで
降板した際に、ちょうど出来た頃のお台場で「見送る
回」を2人の為にやってくれたことが嬉しかった、
と仰っていたことが印象的だったことを今でも思い出す)

では今度こそ「フフッヒ」。元は美しく微笑むサミングが
変化して擬音化したものかと思われますが、ひとえに
その魅力こそが◆諸星すみれ{劇団ひまわり}のポテン
シャルそのもの、と言っても差し支えないかと。

ちなみに「ズームイン!!朝!」や「踊る!さんま御殿」
などの構成作家なども経験したことがあり、直伝の
「あかり予報」や129話「トークの花道」では以前使用
していたアンケート用紙なども作品に採り入れていた
シリーズ構成・脚本の加藤陽一氏が公式でフフッヒに
関して言及したのはこれだっけ。
(ツイートで遡及しきれなかったのだけど)

加藤 陽一
2013年8月15日
「はじまります、フフッヒ!」のフフッヒ。
いつの間にかシナリオにも「フフッヒ」という文字が
出てくるようになりました。という裏話。#aikatsu

無くなってしまうとそれはそれで深刻な「いちごロス」が
激しくなるのも「あかりジェネレーション」以降の
無印アイカツの課題だったような。

ではそろそろ次こそはぽわプリに関しての論考を
上げてしまわないと。といふことで「ンガング
(鼻濁音の発音が正しく綺麗)」と「フフッヒ」
について、でした。