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オンライン修学旅行「シンガポール」編ご報告

「元教員」でも生きていける。そんな証明になります。

この状況でも何かできることを。だから、「オンライン修学旅行」をすることにしました。という宣言が前回の記事


昨日9/12、第一回目を実施しました!行き先はシンガポール。今回はその報告記事です。

※実行委員での振り返りをまだしていないため、僕個人の所感が多いことをお断りしておきます。
※また学校で行った内容ですので、当日の様子や写真を載せることは難しいです。その点ご了承ください。

オンライン修学旅行をやろうと思われた方は、実施の際の留意点としてお読みいただけたら。


どんなことをしたか

ゲストとしてシンガポールを案内してくださったゆうぼー先生が、内容をTwitterでまとめてくださいました!

実際にやってみて、子どもたちの反応が大きかったのは

マリーナエリア
「コナンの場所だ!」という声が多数。知っている場所、アニメや漫画で見た事ある場所はテッパン!

空の青さ
東京は雨だっただけに、向こうが晴れていたのは「外国」を感じたのでは?

マーライオンの大きさクイズ
世界三大ガッカリとか言われていますが、僕としては予想以上に大きかった!

マリーナベイサンズの大きさクイズ

セブンイレブンの中を見学
おにぎりの値段比べ、カップヌードルの具やパッケージ比べ。
子ども達からの「○○見せて!」「日本の漫画やゲームはあるんですか?」などで展開したシーンでした。ドン・キホーテやスシローなど、日本にもあるお店に行ってみるのはテッパン。

ショッピングモールの中
文字が違う、食べ物が違う。「外国」を感じやすい!

道のキレイさ
だけれどシンガポールではゴミの分別は進んでいないんだそうです。その意外な事実も伝わってくれたはず。

「反応が大きかった」と言っても画面越しの印象なので、実際の教室ではまた違ったかもしれません。関心がもてる子ももてない子も当然いたはず、という当たり前のことは忘れずにいたいです。


やってみての発見、次回以降の課題

ひとまず運営上の改善点をたくさん見つけることができました!
次回以降があって(生かす場があって)よかった!


ハウリングの問題。同じ部屋で何十人もが音を出しているので、一人がミュートを外した瞬間にハウリングが起きます。
全体のミュートコントロールをするとともに、音声は教室の大画面テレビなど一台から出力するようにしてもよいかも。
また子ども達にも音がキーンってなったら①ミュートにすること②本体の音を下げること、をお願いしました。


数十人のチャットはやっぱり拾えない。
チャットは質問の時だけなどの限定があってもよいかもしれません。でも「マーライオン大きい!」などの反応も拾いたいので難しいところ。
子ども達のチャットを見た印象としてはリアクション7割:質問3割といったところでしょうか。やっぱりチャットを質問だけにするのは非現実的な気がします。リアクションによって盛り上がる面があるので。
現地にいるゲストの方は、なかなか子ども達の顔を見る余裕がありません。ミュートにする以上、声も聞こえてこない。となるとチャットで反応を探りたいので、やっぱりチャットは解放するのが基本かな、と思います。
ただ、後述するように「チャット荒らし」的な問題はありました


拾えない質問は絶対にある。
盛り上がるほど質問はたくさん来ますし、その時の流れに合わない質問はどうしても拾いづらい。なので「全部の質問には答えられないかもしれないよ」とハッキリ伝えました。同時に「自分で調べてもみてね」とも。
今回なら「シンガポールの人口は?」「県や市はある?」といった質問は、調べれば分かること。せっかくゲストがいるのだから、そうじゃない質問をしようよ、と伝えること自体、よい学習なのではないかと思います。
「ZOOMで繋いだこの数十分だけで全て解決しない!」というスタンス。


荒らし的なチャットなどITリテラシー面の課題。
子ども同士で「は?何言ってんの」などの反応。ゲストの方のスクショを勝手に撮ったりフランクすぎる質問だったり…
「勝手に退出できる」とか「匿名性がある」といったオンラインゆえなのか、リアルでは相手との関係性があるからやりにくいことも出来てしまう気がします。掲示板やSNSで見る、有名人に向けた荒らしコメントもしてしまいやすい?家でテレビを見ながら「バカだな~」とか言っている感覚なのでしょうね。
それだけ素が出ているとも言えますが、気持ち好くないよということは伝えたいなと思いました。
オンラインのこの問題、これまで以上に学校が抱える必要が出てくる気がします。

意見を拾う人と子どもを見る人の分担は必要。
誰がメインで話を進めたりチャットを拾ったりするのか。クラス全体を見て子どもを気にかけたり個別で声をかけたりする先生も必要です。
この企画では「学校の外」にいる僕がコーディネーターとして進行していますが、学校の中だけでやる先生は要注意です!
子ども達がチャットに挙げた質問をチェックし、適切なタイミングを見計らってゲストに尋ねていく。そんな進行役は絶対に必要!

マイクの遠さ問題。
旅行先の様子はスマートフォン一台で十分きれいに見られます。ただカメラの向き、風が強かったり周りが騒がしいなどの環境条件によって声が遠くなることがあります。
ゲストにはイヤフォンマイクを用意してもらうのが良いのでしょう。


途中で止まって話す時間もあってよい。
街歩きだけだとカメラがずっと揺れてしまうので、画面酔いがあるかもしれません。子ども達が自由にアレコレ質問できる時間としても。


何分くらいが適切か?
今回シンガポールと繋いでいたのは、トータル60分くらいでしょうか。コチラからは教室の様子は見えませんし、画面をずっと見ていた子ども達が疲れていた可能性もあります。
ひょっとしたら30分くらいでもよかったのかもしれません。あるいは途中に子ども達のおしゃべり的な活動を挟むとか。この辺り、教室にいらっしゃる先生との連携がかなり大切


運営は途中連絡できるようにしておく。
ということで、その場その場で臨機応変に対応していく必要がありますので、運営陣がメッセンジャーやLINEで繋がっておいてリアルタイムに相談できることも大事です。「ちょっと休憩しよう!」とかめっちゃ大事。


…と、改善点を挙げれば山ほどありますが、これは運営上の現実的なtipsとしてメモ。


さらに、「よい学習のデザイン」という視点で見ても、双方向性や創発性の確保が少なかったですし課題はたくさん。
こういう時間を学習の流れのどこに意図的に組み込むか、時間を何分に設定するか、本気でやるならそこまでデザインしたい!


ですが僕としては、今回「誰にでも比較的やりやすい形で行えた」ことに意義を見出だしたいなと思います!
前回書いた通り我々はセカンドペンギンですし、小さく始めて改善していければ好い。

もちろん可能性も山ほどあって、それを最後に書きたいと思います。


これってけっこうスゴイ活動かも?秘めたる可能性


オンライン○○の展開可能性。
東京にいる我々が離れた場所の人に対して何かできるということでもある。学校であればオリンピックに向けた東京案内を、東京を知りたい地方の方、海外の方、日本人学校の方などへ行うとか…デバイスの普及や安全性がクリアできれば「オンライン社会科見学」から「オンライン○○案内」へと、子ども達が作る活動へと変わっていくのでしょう。

大人バージョンであれば、以前も書きましたが、オンライン地域おこし協力隊やオンラインIターンとか出来そう…


自分の地の固有性は、外との関係の中でこそ知れるということ。
「子ども達の世界が広がれば」という思いに共感する方は多いでしょう。
じゃあ「子ども達の世界」って何かと考えると、子ども達が現実的にもてる世界って、住んでいる町・東京・京都・父母の田舎くらいなのではないか。
これ、地方の話でよく聞く「自分たちの街には魅力なんて何にもない」と重なると思うのです。
外を知らない以上それは仕方がないことで、だからこそオンライン○○で「外」と繋がることで自分たちの街の固有性を感じられる。
「日本」という捉えが「東京」になり、「東京」という捉えが「吉祥寺」になる…みたいな。


自分の地の見直しが起きる。
今回ゲストのゆうぼー先生が「自分シンガポールのこと知らないな~」と漏らしていました。
何年も住んだ地が新鮮に映れば見直すきっかけになる。上と重なりますが、それをもたらしてくれるのが相手からのリアクション。「何もない」と語る地方の方が自信をもつきっかけ、きっとそのヒントもここにある。
特に「子ども達」からの質問やリアクションが、そんな目をくれるのだと思います。


学校だけでは萎む学習の意味の再確認。
やっぱり「学校だけ」では限界があります。「学校の外と繋がる」は、図らずも新学習指導要領的にもドンピシャなのでは。



お読みくださったあなた、「あの人ならどんな案内をするかな」って、お知り合いをちょっと思い浮かべてみてください。

そしてよければ是非「こんなことやってみたいんだけど」って連絡してみたら、何かが始まるかもしれませんよ。


我々は次回に向けても動き出しています!国内とも打ち合わせ中。

どうぞ乞うご期待ください!今後も #オンライン修学旅行 で発信していきます。

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