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教員の力を翻訳してみたい(先生ってすごいですってこと)

先日こんな記事を書きました。

教員の力を思い切って「翻訳」してみたら、どういう風に言えるだろう。
その続きです。

僕らがやっているのはこういうことなんだということ。
こうやって翻訳すると他の場所でも活かせそうだということ。

教員の仕事は多岐に渡る。であれば色々な力がついている。ならば色々な場所で活かせるはず。

「先生の力ってすごいです。だから先生方、我々は大丈夫ですよ」
そう証明したいのです。元教員として。

僕らにはもっとこんな力もあるんじゃない!?
そう思う方、いっしょにさがしましょうね。(ご連絡ください!


流れをつくる⇆流れを読む

授業づくり、単元づくりとは、その単元の本質を見抜き、伝わりやすいシンプルな形にすること。

その中身はこんなこと
・伝わってほしいことは何か
・相手(子ども達)の思考や知識や気持ちは、何をしたらどう動くか
・どういう手順であれば伝わってほしいことにたどり着くか
・どんな情報や活動があると効果的か

流れをつくること、流れを読むこと。
流れとは、人の気持ちや思考。それによって起こる動き。

そう翻訳すると、営業やマーケティングと呼ばれることと重なるのです。


伝わるための手順化

授業づくり、単元づくりとは、その内容が相手に伝わるためのロードマップづくり。

その中身はこんなこと
・どんな流れであれば内容が伝わりやすいか
・どのタイミングでどんな情報が必要か
・どの順番であれば分かりやすいか(分かりやすさは順番)
・情報と体験の切り分け(体験した方が実感しやすいこと、説明した方が分かりやすいこと、その体験のために必要な説明)
・既に知っていることは何か、自然と考えることは何か、こういう気持ちになるだろう…

「流れをつくる⇆流れを読む」を別角度で翻訳すると、こんな風にも言える。

引継ぎ資料の作成、スタッフ研修、お客さんへ体験をどう届けるかのデザイン…
どの組織もやっていることです。

ですからやっぱり、僕らの力はどんな場所でも活かせるのです。


委ねるとサポートするのバランス

授業計画をつくるとき、単元の中の山場や障害を予測しておいてチェックポイントを設置することがあります。
「これから卒業文集を書いていくけど、半分まで書いたタイミングで先生に一度みせてね」など。

その中身はこんなこと
・どこまで委ねるか
・どんな情報があれば、どこまで委ねられるのか(子ども自身の力で達成できる割合を最大化したい)
・つまずくポイントは何か、全員がつまずくなら事前説明しておく、個別のつまずきならサポートして解消(そのつまずきをどうやって見抜くか)
・どれくらい活動を重ねると当初の目標から逸れていきやすいか
・先回りしてリスク回避しておくべき箇所はどこか

リスク想定とその対処をする力だと翻訳できます。
「この施策によって起こるリスクは○○がある。その兆候を見逃さないために〜〜をチェックしておこう」と提案できる。
やっぱりどの組織でも必要な力です。


相手の世界に合わせた例示

「君たちも〇〇をするよね。それと同じことで~~なんだよ」
小1の担任に慣れている人はこれが見事。

その中身はこんなこと
・伝わってほしいことは何か
・相手は何を知っていて、何を知らないか、今理解できることは何か
・今理解できることに合わせて伝えるにはどう言い換えるか、その時に伝えたいことの本質は歪まないか


僕だったら、たとえば教員のいそがしさをカフェの社員さんに伝えるとき、こんな風に言葉にしてみるかもしれません。

「さっき、オーダーがたくさん並んでいるのに新規のご来店やお会計も重なってバタバタでしたよね~!一つ一つやろうと思うのに状況がどんどん変わるじゃないですか。教員って毎日こんな感じなんです」

へー、なんとなく分かるよ、こんな感じなんだね。
そう思ってもらえたら、ひとまず十分なことってある。


違う人生を歩んできた人を結びつけるための翻訳、通訳する力。
組織とお客さんを繋げるためにも役立つし、組織のメンバーどうしを繋げるためにも役立つ。

多様性を越えるってこういうことじゃないかと思うのです。
相手の世界を想像して、そこに届く形に変えながら気持ちを伝えること。

やっぱりどの組織でも、この時代だからこそ、必要な力です。


集団の状態・段階への仮説立て

以前の記事に書いた内容です。組織運営をした経験は僕らの武器。そしてどの組織もほしいもの。


外の世界でも僕ら教員は生きていける。そう証明することは僕なりの恩返し

・組織運営の経験
・目の前の人の状態を察知し、それに合わせる力
・人の認知や気持ちを想像して場の流れをつくる力
・人の能力を高める能力

これらを「全て同時に」もっていることが、教員の特質だと言えるかもしれません。

僕は「学校の外」に出たからこそ、教員の力は外の世界でどう活きるのか、こうして言葉にする。
そのことで先生方の選択肢がふえたり、自信が深まったり、安心材料になれたりしたら。

それが僕なりの恩返しと思っています。

何より僕自身が「ファーストキャリアで教員を選んだ自分」を肯定したくて、
あの10年間が僕にくれたものは何だったのだろうと、これまでもこれからも、考え続けているのです。


よければこちらもお読みください。

今回の記事では教員の能力について書きました。
↓こちらでは「元教員」である僕にできる(仕事的な)リストを載せ、折に触れて更新しています。

先生方の選択肢がふえ、自信が深まり、安心材料になれたなら。
そうできたらと、あらためて思うのです。

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