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インバウンド100 Vol.9 ますがた荘 水野貴英~新潟インバウンドカレッジ編

こんにちは、インバウンドプロデューサーの木立です。
前回のユスさんに続いて新潟県観光協会さんの新潟インバウンドカレッジの修了生の取り組みを紹介していきます。インバウンドって誰かスーパースターやカリスマがいてグイグイ引っ張っていくというより、観光に関わる人、観光業でない地域住民も一緒になっての総合力が外国人旅行者の満足度に繋がっていく。

ということで新潟の新発田で活躍する水野さんに話を伺いました。

水野さんの普段の仕事を教えてください。

ますがた荘という旅館、バーベキュー王国というBBQ場とカフェドランチってカフェの経営をしています。ますがた荘は、スポーツ施設が近くにあるので、夏はスポーツ合宿でよく利用してもらいってます。甲子園が好きな人からすると、おっ!!ってなる有名強豪校が来てくれています。他にも陸上のトップランナーの人たちが合宿にきてくれますよ。
冬になると今度は旅館の前にある湖に白鳥が飛来してくるんです。この白鳥の飛び立つところが目の前で見える宿というのが特徴です。


バーベキュー王国は最近改装してリニューアルオープンしました。バーベキュー王国自体は2011年にオープンしました。最初はラーメン屋でテナント貸していたんですけど、店子さんの商売が続かなくて、しょうがない自分でやるかって感じでビジネスを考えてみました。

この公園に向きそうなビジネスモデルって何があるかなって、アイディアを書き出していって取捨選択していった中で、グーグルのアクセス数の伸びているキーワードを見ていったら「バーベキュー」が伸びているのを発見。よし!このキーワードで勝負していこう!ってことで始めました。

今では普及してきていますが、当時は手ぶらバーベキューがほとんど存在しなかったんです。

バーベキュー王国ってネーミングがいいですよね。

バーベキュー王国にするか、バーベキュー村にするか2つの候補で迷っていました。家族連れで来てほしいので、子供でも分かりやすい名前にしたくて王国や村が良かった。リピーターになってほしいので会員カードを作って、階級制にしようとしていました。そうなると王国なら「王様」を頂点に「平民」や「騎士」とか「大臣」と刻みやすいけど、村だと「村人」と「村長」だけですからね。会員証を管理するのが大変になっちゃって今は階級制はないんです笑。

バーベキュー王国はすごい上手くいったのですがその秘訣は何かというと「屋根」なんですよ。

屋根ですか?

そう、お客さんが求めているものは何か?ドリルが欲しいんじゃない、穴を開けたいんだみたいな話があるじゃないですか
それでいうと女性にとっては「日差し」はバーベキューの敵なんです。日焼けしたくない。アウトドアなのに天気を気にしている。その気持ちはとてもわかる。
そして団体で利用する人からするとバーベキューの予定の日に雨にあたりたくない。大変ですよ。お肉を用意したのに雨が降って中止になっちゃったら。幹事さんは天気予報を見ながら、明日できるかな~ってドキドキしながらバーベキューをするんじゃなくて、雨が降ってもバーベキューができる。これが最強です。

そういう感じで屋根をかけてやっていたんですが大雪で崩れちゃって、いい加減崩れないガチッとした屋根にしないとってことで今回リニューアルしました。10年間炭火でやっていたんですが限界を感じて、今回電気グリルにしました。炭でするとちゃんとしたスタッフの配置がいるけど、電気ならお客さんが使えますからね。

ニーズとウォンツ、悩みとハッピーでいうとどうやってハッピーにするかもいいけど、お客さんの苦痛を取り除いてあげるのは大事です。バーベキューをやる幹事にとっては、雨が降りそうな時、どう連絡する?肉足りる?酒足りる?雨が降ったら材料無駄なるやんって、こうしたものが全て苦痛なのですよね。

ランチを提供するカフェの名前をカフェドランチにするって思いっきりSEO狙った名前にするとか、水野さんはマーケターですよね。次に新発田の観光について教えてください。

実はあんまりない、というと怒られちゃいますよね。
一般的な回答としては、月岡温泉が有名ですよ。ただ新潟や日本全国に温泉があるので、意外とここだけ!ってことがなくて、ますがた荘であれば白鳥が見られるとか、アヤメが綺麗に咲くとかはあります。

外国人旅行者に対してアピールできる点については模索中ですね。住む分には近くに雪山がありスノボはできるし、夏になったら海まで30分以内だし、河遊びもできるし、街でお買い物もできてバランスはいいですよ。


インバウンドカレッジで印象に残ったことはありますか。
セントラルフロリダ大学の原先生の話ですね。アメリカと同じ動きを日本もして、観光で人手が不足になり賃金が上昇する。コロナが回復してインバウンドがグワーと伸びるって話が面白かったです。ウチにとってはチャンスかは、まだわからないですが、観光業界が変わるチャンスであることは間違いないですね。コロナで我慢して、我慢して、我慢しまくった後、この全然よくない状態からの急変が楽しいです。どうなるかわからない怖さもあるけどアメリカのデータがそうだったなら日本もそうなる。信じられるのはデータですよ。

https://note.com/torukidachi/n/n5ffc49bb1215

この観光業界が変わろうとしているタイミング的に伸るか反るか、の勝負の時です。私はそういう勝負は得意ですよ。

あとインバウンドカレッジで出会った人たちが刺激になりました。私はそんなに外国の方々と交流があるわけでもなく、英語が堪能ではないです。それでもインバウンドは必須事項です。新潟でいうと、現状は湯沢や妙高までは外国人が来ている。新潟市内も街に出るたびに前よりは来ている雰囲気があります。佐渡が世界遺産に登録されたら確実に外国人旅行客が来ますよ。トキエアーさんが就航を増やしたらもっとじゃないですか

新潟のインバウンドもアッという間に気が付いたらエッ!という感じになるんじゃないですかね。いつか新発田にも来てほしいし、外国人旅行者に押し出されて日本人も来るという流れが来ると読んでいます。僕はそっち側に張っています。

マグロみたいな生き物なので、走り続けないと死んじゃうんです息が切れるまで走り続けますよ。

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取材後記
水野さんは、マーケティングセンスと実行力があふれ出ていて、話しているととても楽しい方です。R4年のインバウンドカレッジでは会場も貸していただいて、白鳥の飛来を見学させてもらいました。割烹旅館なのでご飯のクオリティもメッチャ高いです。スノボもプロ級と引き出しの多さに驚きます。観光ってこうした旅館・食事・体験・地域の集合体で成り立ってるんだなってことを教えてくれる存在です。
新潟インバウンドカレッジは既に取り組んでいる方もインバウンドにこれから取り組む方も学び、共に刺激を受けれるところがいいところですよ。


インタビュー・木立徹
ソリッドインテリジェンスのプロデューサー。これまで手掛けたインバウンドの公共事業は180以上。仕様書を読むのと革細工とHIPHOPが趣味。インバウンドの専門家のコミュニティの運営をしている。
大阪府出身、さいたま市在住


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