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「事業経営の″失敗″とはどのような状態か?」事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)なぜ「事業戦略計画」を書くのか?コース第3回

設問1:事業が失敗したと決定づけられるのはどのような状態ですか?

設問2:一般的に資金提供者が企業に求めるのはどのようなことですか?

設問3:あなたは会社は今、何ヶ月分の現金を持っていますか?コロナ禍の今何ヶ月分の現金をもつのが適切だと思いますか?

■利益が赤字でも事業が失敗したとは言えない

事業経営の失敗とはどのような状態なのかを考えてみたい。結論から言ってしまうと、事業経営の失敗とは、資金が調達できなくなる状態である。もちろん、考え方によつては資金調達ができなくなる以前に失敗と定義づけることは可能であるが、もう2度と成功する可能性がなくなるといった究極
の視点で言うと、資金調達の破綻時点を失敗とするのが適切であろう。

しかし、「毎年赤字の続く経営は許されるのか、それは事業経営の失敗ではないのか?」といつた疑問もわいてくるかもしれない。それでも、「もし事業が赤字であっても、資金提供先にとって魅力的な資産を蓄積することができた事業は失敗ではない」と言える。

なぜなら、「事業が赤字で資金に行き詰まっても、魅力的な資産を蓄積し続けるために、今後もその事業を継続してほしい」

資金提供者はこう考え、追加の資金援助を行うと予測できるからである。


その場合、追加の資金調達が可能となり、事業は継続する。つまり、利益は赤字でも魅力ある資産が蓄積されることもまた事業の成功と言える。このことは、近年のネツトベンチヤーやバイオベンチヤーなどの例を思い浮かべれば理解できる。アマゾンドツトコムは、1994年に創業し、2003年年12月期に創業以来初めて通期黒字を達成したが、それ以前の2003年6月にはすでに、株式時価総額が約150億ドルもあった。アマゾンは株主にとって魅力的な資産であるECサイトのビジネスモデル、ブランドイメージ、物流システムなどを構築していたら、赤字でも資金を調達し続けることができたのだ。

■ 資金提供者の立場で考える事業の失敗

このことからも、事業経営の失敗とは、新たな資金の調達ができなくなり、運転資金が足りなくなってしまうことや、その可能性が高い場合と考えてよい。これは、事業経営を成功させるためには、経営者はつねに資金調達の可能性を追求し、資金提供者の視点を持ち、魅力のある事業をつくり続けなければならないことを示す。

20200703_事業戦略大学_第4回

資金提供者にとって望ましいのは、独創的で魅力的な商品・サービスの提供により顧客が増えて取引量が多くなり、その結果、生産性が上がってコストが下がり利益が生まれる。そんな状況である。また、場合によっては売上代金の回収期間が、支払い期間よりも短くなることも望ましい。そうして生まれた自己資金が次の事業投資に回り、規模が拡大し、結果として事業の信頼性やブランドカが向上して、さらに有利な取引ができるといった好循環が生まれるからである。

そうなれば資金提供者は新たな資金を投入しなくてよいばかりか、配当を受け取ることもできる。さらに、有形無形の魅力的な資産を蓄積したその事業の所有権、つまり株式を他者に高い価格で売却し、リターンを得ることも可能になる。このような好循環にある事業は初期の資金だけで通常の営業活動を通じた資金調達ができ、なおかつ資産が蓄積できた、いわば大成功した事業である。

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