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【イギリス生活】Graduate Visaの申請

こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。

ぼくは、2023年にキングス・カレッジ・ロンドンのロースクールを修了し(LLM)、今もロンドンに住んでいる弁護士です。

少し前にようやくGraduate Visaの申請を済ませましたので、そのときのことを書いていきます。

2025年以降にGraduate Visaを申請される方の参考になればと思います。


Graduate Visaとは?

イギリスの大学において、一定のコースを修了した者を対象として、さらに2年(博士課程修了者は3年)の滞在延長を認めるビザです。

イギリスの大学に留学してきた人は、少なくない割合でそのままイギリスに残り、就職を希望しているのではないかと思います。また、弁護士に関して言えば、ぼくのように、ロースクール修了後に現地の法律事務所で研修することを希望されている方も多いはずです。

Graduate Visaのメリット

現地就職において、雇用主が応募者について最も気にする事項の一つが、ビザの有無です。

当たり前ですが、雇用主は在留資格のない外国人を雇えません。ビザのない外国人を雇うには、自らがスポンサーとなってその者にビザを取らせなければならず、コストがかかるのはもちろんのこと、そもそも小規模な事業者はスポンサーライセンスを持っていない可能性もあります。

ビザがある応募者とない応募者がいたとして、評価が同じであれば前者を雇うのは当たり前で、たとえ前者の多少評価が劣る場合であっても、ビザ関連の手続を敬遠して、前者を雇う可能性も否定できません。

その意味で、Graduate Visaの発給を受けることで、卒業後も引き続きイギリスの滞在資格を得られることは、現地就職を希望する方にとって大きなメリットになります。

申請資格

Graduate Visaが申請できるのは、次のような人です。

申請資格:
① 申請時にUKに滞在し、
② その滞在が、学生ビザ(Student Visa)の資格に基づくものであり、
③ (原則として)学士、修士、又は博士課程を、
④ 修了した者

注意すべき点としては、以下の事項でしょうか。

課程の修了後でないと申請できない

これがなぜ注意点かというと、(少なくとも修士については)カリキュラムの終了と、大学が修了を認定するまでの間にタイムラグがあります。

たとえば、ぼくが通った22‐23シーズンのKCLのロースクールを例にとると、2023年8月末に修士論文を提出してカリキュラムは終了しまが、修了認定は、2023年12月1日に出ました。つまり、カリキュラム終了から修了まで約3か月も開いたことになります。

ぼくが調べた限りだと、以前は多少フライングしても、当局から大学に修了の有無について問い合わせが来た際に柔軟に対応していたようで、ビザ申請が通ることもあったようです。しかし、ぼくの年は、KCLのスチューデントオフィスから、そのようなことをしても、大学として便宜を図らないと釘をさされました。そうなると修了前に申請をしてもリジェクトされるだけです。悲しいことにリジェクトされても申請料は返ってこないので、お金のためにも修了までおとなしく待つ必要があります。

原則として、学士、修士、又は博士の修了生であること

残念ながら、語学学校の卒業では、Graduate Visaは申請できません(そもそも、Student Visaが下りないのかもしれません)。

「原則」と書いたのは、例えば、以前こちらで紹介したバリスターになるためのトレーニングコースの修了は、Graduate Visaの申請資格を満たします。他にも医科系・歯科系のFaoundation Courseと呼ばれる課程も、対象のようです。

詳しくは、こちらを確認されてください。

申請までUKに滞在し続けなければならない

こちらでの生活費も馬鹿にならないので、日本に帰ってしまいたいところですが、出入国の履歴(Visa申請時に出します)から、イギリスに居住実態が既に無いと判断されてしまうと、①の要件を具備していないとしてリジェクトされるのではないかと思います。

お正月の一時帰国などは、おそらく問題ないのではないかと思いますが、後述のとおり、直近数年の渡航歴は申請事項なので、あまり長い間日本に戻っていると、居住実態について疑義が生じるかもしれません。

Graduate Visaはいつまでに取ればよいのか

Student Visaの期限が切れる=不法滞在者となることを意味するので、いつまでにGraduate Visaの手続を済ませて滞在延長を確保するのかは、留学生にとって死活問題です。

ぼくの場合、Student Visaの期限は2024年1月30日でした。おそらく23年入学の方は2025年1月30日が期限となっているのではないかと思います。

では、いつまでに、何をやれば、不法滞在者とならずに済むのでしょうか。結論からいうと、Student Visaの期限までに、Graduate Visaの申請を完了させる必要があります。

Graduate Visaの発給ではなく、申請であることに注意が必要です。つまり、ぼくの例であれば、2024年1月30日までに申請をすることが求められていたことになります。

申請後は、ビザが発給されるまで国外に出ることを禁止されます。ぼくは年末にフランスに旅行に行きたかったので、年明けの1月下旬に申請をすることになりました。

申請の流れ

基本的には全てオンラインで完結します。
おおまかな流れは、次のとおりです。

本人認証アプリをスマホにダウンロードする

こちらのページから「Apply Now」を押すとアカウント作成画面に飛びます。

その後、いくつかの回答に答えていくと、「UK Immigration: ID Check」という本人認証アプリを使うことを推奨されます。

こちらはGoogle Playバージョンですが、iPhoneアプリもあります。

ぼくは、スマホに無駄なアプリを入れたくない派なのですが、後述のとおり、このアプリを使わないとビザセンターに赴いて、わざわざお金を追加で払って写真撮影をしないといけません。強いこだわりが無い限り、このアプリを使う前提で申請をした方が良いです。

アカウントを作成する

アプリのダウンロードを済ませ、次は申請用のアカウントを作成します。

なお、このアカウントは、Student Visaを申請したときのものとは別物なので、自身でStudent Visaの手続をされた方も作成が必要です。

本人認証

アカウントを作成したら、申請フォームの記入に進むのですが、回答の序盤で上記の認証アプリによる本人認証が必要です。手続はアプリ上で説明されるので、特に難しい点はありません。Monzoのアカウントを作ったときにやったようなことをやらされました。

この本人認証ですが、最後にスマホのカメラで写真を撮影するところ、この写真が新しいBRPカードの写真になるのではないかと思います。ぼくはバリバリの一重なので、アプリに「目をもっと開けろ」と指示されたりして何度か撮り直しをさせられました。写真の出来にこだわりつつアプリの要求を満たそうとするならば、根気よく自撮りをする必要があります。

申請フォームの記入

本人認証が終わると、フォームへの記入です。基本的には、Student Visaで質問されたときと同じような質問でした。

面倒だったのは、過去の住所、及び、渡航歴の記入です。もしStudent Visaの申請フォームの手控えがあるならば、それを転記すればよいので、便利かなと思います。

費用の支払

お待ちかねの支払です。申請者は、Graduate Visaの申請料とイミグレーション・ヘルス・サーチャージ(IHS)の支払が必要です。

Graduate Visaの申請費用
申請料:£833
IHS:£1035/年

Graduate visa: How much it costs - GOV.UK (www.gov.uk)

なお、IHSは、2年分(博士は3年分)を一括で支払うことが必要です。

そのため、修士課程を修了した申請者は、£833+£2070=£2903の支払が必要となる計算です。ただ、ぼくは、なぜか申請料£833は請求されたものの、IHSについては£1035しか支払いを求められませんでした。

必要書類

こちらのガイダンスにはいろいろと書いてあるのですが、ぼくは結局、何のアップロードも求められませんでした

ただ、ガイダンスにはパスポートとBRPカードの提出が必要と書いてあるので、これら二つは、PDFで持っておいた方がスムーズかも知れません。

帯同者(パートナー・子供)について

帯同者についても、本人のGraduate Visaの申請に合わせて、帯同ビザ(Depemdant Visa)の更新申請が可能です。ぼくは、妻と子供を連れてロンドンにやってきたため、彼女らの分の申請もぼくが行いました。

なお、こちらで紹介したように、2024年以降の修士課程の入学者については、帯同ビザ(Dependant Visa)が発給されない取扱いとなっています。

なので、2024年以降にロンドンに来られた方の参考にならないかもしれませんが、いつ制度が変わるかも分からないので、記録として残しておくようにします。

手順は本人の申請のときとほぼ同じ

UK Visa Immigrationは、本人以外がアカウントを作成することを想定しており、ビザ代行業者のほか、家族を含む第三者であってもビザの申請が可能です。

申請時の質問もほぼ同じです。ただ、パートナーに代わって申請を行うときは、義父母の生年月日や旧姓をフォームに入力することになるので、予め教えてもらっておいた方がスムーズです。

なお、本人認証アプリについては、だれか一人がスマホにダウンロードしていれば問題ありません。

申請費用

こちらのガイダンスとみると、帯同者についても、本人と同様に申請料とIHSを支払う必要があると説明されているようにも思えます。

やばい金額を支払わないといけないな、、と思っていたのですが、ぼくの場合は、次の費用が請求されたのみでした。

妻:
申請料:£833
IHS:£0

子供:
申請料:£490
IHS:£0

追記:後日連絡が来て、妻のIHSの費用として、£1,248の支払を追加で求められました。おそらく、子供の分も後日連絡が来るのではないかと思っています。

必要書類

ぼくは、次の資料のアップロードを要求されました。

妻:
なし
子供:
① 出生証明・ぼくとの続柄の証明
② Letter of Consent

①については、大使館に戸籍謄本の原本を提出することで、英文の出生証明の発行を受けることができ、ここにぼくが父親であることの記載があるので、二つを兼ねることができます。また、②については、両親ないし監護者が子供の滞在中に責任を持って養育することを確認する旨の書面です。「Letter of Consent」「Visa」で検索すると、いろんなところでひな型が見つかると思います。

なお、①と②は後述のとおり、子供については、アプリで本人認証をせずにビザセンターに写真を撮りに行った際に提出を求められたもので、もしアプリで本人認証を済ませていれば、要求されなかったかもしれません。

アプリで子供の認証をするのは無理では、、?

小さい子供をお持ちの皆さんであれば分かって頂けると思うのですが、カメラを見つめてじっとしてもらうのって至難の業じゃないでしょうか。

このような困難な状況に加えて、アプリの判定が鬼のようにシビアだったため、ぼくの2歳半の子供は、50回以上チャレンジしても、カメラによる本人認証ができません。ぼくに似て一重なので、何度も「目を大きく開けろ」と指示されて申し訳なくなりました。

子供なりに頑張ってくれているのが分かり、×判定が出るたびに落ち込む様子が不憫だったので、最終的にはアプリによる認証を諦めることにしました。

子供の写真を取るためにビザセンターに行くことに

結局、ぼくが住むFinchelyからバスと電車で1時間もかかるEnfieldという場所まで行って、写真を撮ってきました。

腹立たしいのが、手数料として£138も取られたことですね(笑)

おわりに

ここまで、Graduate Visaの申請について書いてきましたが、いかがだったでしょうか。

実際にぼくのGraduate Visaが発給されたら、また記事を更新したいなと思っています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
このエントリーが豊かなロンドン生活の一助になれば嬉しいです。


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