弁護士 古田 俊文 (toshful)

ロンドンに留学中の弁護士です。’23年キングスカレッジロンドン卒業 (LLM)。現地の…

弁護士 古田 俊文 (toshful)

ロンドンに留学中の弁護士です。’23年キングスカレッジロンドン卒業 (LLM)。現地の法律事務所に出向中。注力分野は英国法・データ法です。英国での暮らしや留学、法律にまつわるアレコレを書きます。ご質問等はTwitterまで。【資格】弁護士(日本(70期)、英国)、CIPP/E

マガジン

  • 英国法の豆知識

    ロンドン在住、日英の両資格を持つ弁護士です。現地の法律事務所に出向中で、英国法の実務に携わっています。①在英日系企業の法務に役立ちそうな情報、②比較法の観点から興味深いトピック、③あとは単純にぼくが気になった話題について、幅広くまとめています。

  • 英国判例紹介

    ロンドン在住、日英の両資格を持つ弁護士です。イギリスはコモン・ローを主体とした先例法の国です。そのため、日本にも増して判例が重要な位置を占めています。そこで、①国際法務に役立ちそうなもの、②比較法の観点から興味深いもの、③純粋にぼくが気になったものを中心に、英国の判例を紹介します。今はまだ始めたばかりですが、いずれ「百選」と言えるほど記事が増やしていきたいと思っています!

  • データ法を解説します

    ロンドン在住、日英の両資格を持つ弁護士です。データ法(GDPR/英国データ法/個人情報保護法/情報セキュリティ)に注力しています。今のところは、EU/UKのデータ法のトピックを中心に、企業法務・プライバシーに携わる方々のお役に立ちそうな情報をまとめていく予定です。

  • 弁護士のイギリス留学

    ロンドン在住の弁護士(70期)です。2023年にキングス・カレッジ・ロンドン(LLM)を修了し、今はロンドンの法律事務所に出向中です。2024年に英国弁護士資格も取得済。①英国ロースクールのこと、②英国弁護士試験(SQE)のこと、③現地事務所での研修のことなどを発信します。

  • イギリスでの暮らし

    イギリス在住の弁護士です。2022年に渡英し、ロンドン北部で家族3人で暮らしています。留学や赴任等でイギリスでの生活を検討されている方向けに、役に立ちそうな情報を発信していきます。

最近の記事

  • 固定された記事

自己紹介:イギリス留学中の弁護士です

はじめまして!! タイトルのとおり、イギリスに留学中の弁護士です。 この度ようやくロースクールを修了し、晴れてLL.M.(法学修士)を名乗ることが出来るようになりました。 ぼくが留学の準備をしていた頃は、ポストコロナの時期とも重なって、情報が錯綜しており、右も左も分からないままイギリスにやってきました。 とても充実した日々を過ごせた一方で、今思い返すと、もっとこれを準備しておけばよかった、とか、逆にこれは要らなかったなあと思うことも。 そこで、これからイギリスへの留学を

    • 【英国法】株式会社の組織・運営に関する日英比較#4 ー計算、その他の事項ー

      こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 本日は、株式会社の組織・運営に関する日英比較の第4回です。今回は、計算とその他の事項について、比較していきたいと思います。 いきなりこの記事にたどり着いてしまった方は、第1回の記事から読んで頂けると分かりやすいかも知れません。 今回のトピックのバックグラウンド等は第1回に譲り、早速中身に入っていきたいと思います。 なお、法律事務所のニューズレターとは異なり、分かりやすさを重視して、正確性を犠牲にしているところがありま

      • 【英国LLM留学】英国法弁護士への道#3 │試験科目(FLK1)

        こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 ぼくは、イギリスに留学中の弁護士です。 2023年にロンドンのロースクール(LLM)を修了し、現在は、ロンドンの法律事務所に出向中です。 引き続き、ぼくが英国法弁護士に登録されるまでを振り返っていきます。もしかしたら、聞きなれない略語が出てくるかもしれません。よければ、第1回の分からお読みいただけると分かりやすいかと思います。 なお、英国法弁護士で大変なのは、試験勉強ではなく事務手続です。各手続に関する要件等については

        • 【英国判例紹介】King v Dubrey ー死因贈与の法理ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 今回ご紹介するのは、King v Dubrey事件(*1)です。 本件は、donatio mortis causaと呼ばれる例外的な事情の下で認められる死者の財産の移転に関して、詳細な検討を加えた判例です、この相続は頭文字をとってDMCとしばしば呼ばれるのですが、このエントリーでは、死因贈与と呼びたいと思います。 なお、このエントリーは、法律事務所のニューズレターなどとは異なり、分かりやすさを重視したため、正確性を犠牲

        • 固定された記事

        自己紹介:イギリス留学中の弁護士です

        マガジン

        • 英国法の豆知識
          29本
        • 英国判例紹介
          28本
        • データ法を解説します
          28本
        • 弁護士のイギリス留学
          17本
        • イギリスでの暮らし
          13本
        • 弁護士のイギリス留学"準備"体験記
          10本

        記事

          【データ法】"consent or pay"モデル#2 ーEDPBのガイダンスー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 本日のテーマは、"consent or pay"モデル(以下「c/pモデル」)です。タイトルに「#2」が付いているとおり、続きものです。 前回のエントリーで触れていた、c/pモデルの有効性に関する、欧州データ会議(EDPB)の意見(以下「本件意見」)が2024年4月17日付で出されました。PDF版はこちら。 そこで、本日は、本件意見について、まとめてみたいと思います。 今回のエントリーでは、c/pモデルが問題視される

          【データ法】"consent or pay"モデル#2 ーEDPBのガイダンスー

          【英国法】株式会社の組織・運営に関する日英比較#3 ー取締役・取締役会ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 本日は、株式会社の組織・運営に関する日英比較の第3回です。今回は、取締役と取締役会について、比較していきたいと思います。 いきなりこの記事にたどり着いてしまった方は、第1回の記事から読んで頂けると分かりやすいかも知れません。 今回のトピックのバックグラウンド等は第1回に譲り、早速中身に入っていきたいと思います。 なお、法律事務所のニューズレターとは異なり、分かりやすさを重視して、正確性を犠牲にしているところがあります

          【英国法】株式会社の組織・運営に関する日英比較#3 ー取締役・取締役会ー

          【英国LLM留学】英国法弁護士への道#2│受験日程/予備校選び

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 ぼくは、イギリスに留学中の弁護士です。 2023年にロンドンのロースクール(LLM)を修了し、現在は、ロンドンの法律事務所に出向中です。 引き続き、ぼくが英国法弁護士に登録されるまでを振り返っていきます。もしかしたら、聞きなれない略語が出てくるかもしれません。よければ、前回の分からお読みいただけると分かりやすいかと思います。 なお、英国法弁護士で大変なのは、試験勉強ではなく事務手続です。各手続に関する要件等については、

          【英国LLM留学】英国法弁護士への道#2│受験日程/予備校選び

          【英国判例紹介】Gray v Thames Trains Ltd ー違法性の抗弁ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 今回ご紹介するのは、Gray v Thams Trains Ltd事件(*1)です。 不法行為における著名な判例であり、違法性の抗弁に関するリーディングケースです。 なお、このエントリーは、法律事務所のニューズレターなどとは異なり、分かりやすさを重視したため、正確性を犠牲しているところがあります。ご了承ください。 事案の概要ある男に起こった悲劇 ロンドンの自治体で働いていたグレイ氏は、健康で何不自由ない生活を送って

          【英国判例紹介】Gray v Thames Trains Ltd ー違法性の抗弁ー

          【データ法】「同意」に依拠しづらい場面3選 ーGDPR Art 7ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 本日は、GDPRにおける、同意について書きたいと思います。 教科書的な内容ではありますが、日本の個人情報保護法の実務に慣れていると、足元をすくわれる場面だと個人的には思っています。皆さまの知識の再確認も兼ねて、読んでみてください。 なお、法律事務所のニューズレターとは異なり、分かりやすさを重視して、正確性を犠牲にしているところがありますので、ご了承ください。 「同意」とは?GDPRでは、「同意」について、次のように定

          【データ法】「同意」に依拠しづらい場面3選 ーGDPR Art 7ー

          【英国法】株式会社の組織・運営に関する日英比較#2 ー株主総会ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 本日は、株式会社の組織・運営に関する日英比較の第2回です。今回は、株主総会周りについて、比較していきたいと思います。 いきなりこの記事にたどり着いてしまった方は、前回の記事から読んで頂けると分かりやすいかも知れません。 今回のトピックのバックグラウンド等は前回に譲り、早速中身に入っていきたいと思います。 なお、法律事務所のニューズレターとは異なり、分かりやすさを重視して、正確性を犠牲にしているところがありますので、ご

          【英国法】株式会社の組織・運営に関する日英比較#2 ー株主総会ー

          【イギリス生活】ロンドンで暮らしてみて、マイノリティについて思うこと

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 2022年の夏からイギリスのロンドンに住んでいる弁護士です。 タイトルのとおり、これまで現地で暮らしてみて、マイノリティについて感じたことを書いてみたいと思います。 この種の話題は、客観的なデータとともに語るのは筋だと思うものの、個人的なエッセイと言うことでご容赦ください。 ロンドンで人種差別を受けたことがあるか?冒頭に書いたとおり、ぼくは、2022年の夏にイギリスにやってきました。つまり、ロンドンに住み始めてもうす

          【イギリス生活】ロンドンで暮らしてみて、マイノリティについて思うこと

          【英国判例紹介】Cavendish Square Holding BV v Makdessi ー違約罰として無効な条項ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 今回ご紹介するのは、Cavendish Square Holding BV v Makdessi事件(*1)です。近年の著名な事件であり、単にCavendishと呼ばれることもあります。 本件は、損害賠償額の予定と対比される違約罰について有用な規範を示したもので、英国法を契約準拠法とする契約のレビューの際にも、いくらか役に立つのではないかと思っています。 なお、このエントリーは、法律事務所のニューズレターなどとは異なり

          【英国判例紹介】Cavendish Square Holding BV v Makdessi ー違約罰として無効な条項ー

          【データ法】直近1年間の英国データ保護当局による処分事例(制裁金)のまとめ

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 本日は、ICOが直近1年間で課した制裁金について、まとめてみます。 ぼくは、昨年末にX(Twitter)を始めて以来、イギリスのデータ保護当局であるInformation Comissioner’s Office(ICO)をフォローしているのですが、タイムラインに流れてくる彼らのポストを見て、「こいつら、いつも制裁金課してやがる、、。」と思っていました。 他方で、日本の当局である個人情報保護委員会は、所管する法令が少し

          【データ法】直近1年間の英国データ保護当局による処分事例(制裁金)のまとめ

          【英国法】株式会社の組織・運営に関する日英比較#1 ー基本的事項、株式ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 本日は、株式会社の組織・運営に関する日英比較について、書きたいと思います。 日本は大陸法(シビルロー)、イギリスはコモンローというそれぞれ異なるバックグランドを持った法制度を有していますが、会社法に関しては、土地法や信託法に比べると、かなり似通っています。おそらく、日本の会社法が多分にアメリカを参考にしているからだと思います。 とはいえ、両者には細かなところで違いがあり、その細かな違いが、意外と英国の現地法人の担当者を

          【英国法】株式会社の組織・運営に関する日英比較#1 ー基本的事項、株式ー

          【英国LLM留学】英国法弁護士への道#1│はじめに/受験資格

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 ぼくは、イギリスに留学中の弁護士です。 2023年にロンドンのロースクール(LLM)を修了し、現在は、ロンドンの法律事務所に出向中です。 突然ですが、つい先日、ようやく英国法弁護士として登録されました!! イギリスへの留学にあたり、英国法弁護士の資格取得を一つの目標にしていたので、ようやく登録が終わってほっとしています。 実は、英国法弁護士は、試験制度が最近大幅に変更されたこともあり、ネットから得られる情報が極めて少

          【英国LLM留学】英国法弁護士への道#1│はじめに/受験資格

          【英国判例紹介】Hadley v Baxendale ー契約違反に起因する損害の遠隔性ー

          こんにちは。 お読みいただきありがとうございます。 今回ご紹介するのは、Hadley v Baxendale事件(*1)です。 昨年末ごろから英国の判例を紹介し始めて、これが25件目の記事です。ジュリストの判例百選に因んで記事を100件書くことを密かな目標としているところ、ようやく4分の1まで来ました。 ぼくが紹介してきた判例は、有名なものもあれば単にぼくが興味を持ったという理由で紹介したものもあり、本家の百選のように、重要判例が網羅されるかというと正直、自信がありませ

          【英国判例紹介】Hadley v Baxendale ー契約違反に起因する損害の遠隔性ー