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弁護士のイギリス留学”準備”体験記#2│上がらないスコア/英会話教室/志望校選び

こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。

ぼくは、2022年夏にイギリスのロースクールに留学して最近修了しました。留学までの準備について書いています。前回のエントリーはこちら。

今回は、2021年の2月~9月ごろの出来事を振り返りたいと思います。
では、始めます。


2021年02月~05月 スコアが上がらない

1月に初めて受けたIELTSは、Overall 6.5と思ったより悪くなく、イギリスのロースクールの入学要件は、だいたいOverall 7.0、最難関の学校でもOverall 7.5だと聞いていたので、この調子で勉強していれば、そこまで苦労することなくスコアが取れるだろうと思っていました。

しかし、2021年2月以降、だいたい6週間に1回のペースで、しばらくIELTSを受け続けたのですが、思うようにスコアが伸びません。

Readingは安定して7.0以上、Listeningも6.5~7.5と特に問題なく、当初は散々だったSpeakingも、慣れてくれば、6.5まではほぼ取れるようになりました。

地獄のWriting

これが問題でした。英語の勉強時間の大半を費やしているにも関わらず、ずっと6.0から上がりません。多くのロースクールは、最低でも各セクション6.5を取ることを要求しているので、6.0のままだと、進学先の選択肢がかなり限られることになります。

また、この時期は複数の大きな案件を担当して仕事が忙しく、勉強の時間が取れなかったことを覚えています。通勤時間にリスニングをやったり、夜中に家に帰ってから、エッセイの練習をしていました。

更に、このころ第一子が生まれ、妻と交代で夜中にミルクをあげていたので、体力的にめっちゃきつかったです。家族が増えたという意味でプライベートは充実していたのですが、留学準備の面では苦しい期間でした。

2021年06月 英会話教室に通い始める

なかなかWritingのスコアが伸びす、焦ったぼくは、課金に走ります。

これまでは、IELTSの公式問題集を解きながら、独学で勉強を進めていたのですが、Writingに関しては、一つ悩ましい点がありました。

公式問題集には模範解答は無く、(おそらく)実際の受験者の回答例が載っていて、採点者による採点とコメントが載っているのみなのです。そのため、正しい回答も分からなければ、6.5を取るための答案の書き方も分かりません。さらに言えば、ぼくの書いた答案を客観的に評価することもできなかったのです。

そういうわけで、IELTSの指導をやっている英会話教室を探しました。IELTSは英検、TOEFLよりマイナーなのか、選択肢は多くなかったですが、バークレーハウスという英会話教室がIELTSの指導に力を入れているようだったので、相談に行くことにしました。

バークレーハウスでは、本人の希望に基づくカリキュラムで、マンツーマンで指導を受けられます。例えば、Speakingを鍛えたいので、ネイティブの講師の下で話すトレーニングがしたい、と言えば、それに合ったカリキュラムを講師が準備してくれます。

ぼくは、とにかくWritingのスコアが欲しかったのと、Speakingに関してスコアの心配は無いものの全然喋れるレベルになかったので、これら2分野のレッスンを、英国人の講師にお願いすることにしました。

バークレーハウスは、ハイスキルな講師を揃えているようで、値段も結構しました。でも、2022年の留学のチャンスを逃すと、事務所のルール的に2023年以降の留学は事実上困難になるため、背に腹は代えられず、思い切って課金しました。

2021年07月~09月 志望校選び

スコアが取れていないことはさておき、出願開始が迫っていることもあり、この頃からロースクールのリサーチを本格的に始めました。

大学からのオファーがないと入学はできない以上、出願先の選定には、どのロースクールに行きたいのか、という判断軸とともに、どのロースクールならばオファーがもらえるのか、という現実的な検討も必要です。

どのロースクールに行きたいのか

まず、どのようなことが学べるか、ということが重要ですよね。
各大学が得意とする法分野は、意外に異なっていますし、カリキュラムの面でも、伝統的なシステムを維持してモジュール選択の幅が狭い学校もあれば、挑戦的なカリキュラムを準備している学校もあります。

次に、弁護士のロースクール留学は、お客さんへのアピール(というか箔付け)的な面が否めませんので、大学のネームバリュー・プレゼンスは、留学後の営業のことを考えても気になるところだと思います。

加えて、立地も重要だと思います。プライベートの充実度に直結しますし、2年目の研修先との関係で引っ越しの必要性の有無や、研修先探しの便利さも、立地によって大きく左右されますよね。

どのロースクールならばオファーがもらえるのか

これはシンプルで、①学部の成績、②英語のスコアで判断されます。

まず、イギリスのロースクールは、学部の成績を最重要視します。どの大学も、募集要項に、必要となる成績の基準を開示しています。

例えば、ぼくが修了したキングス・カレッジ・ロンドンでは、日本からの出願の場合、次のように定めています(太字はぼくによるものです)。

Bachelor degree with a GPA of 3.5 out of 4.0 (if the pass mark is 2 out of 4) or 2.9 out of 4.0 (if the pass mark is 1 out of 4)

https://www.kcl.ac.uk/study/postgraduate-taught/courses/master-of-laws-llm

逆に、この基準を満たしている場合、ほぼ確実にオファーがもらえると言っていいです。

その理由は、イギリスのほぼ全てのロースクールが採用するローリング・アドミッションという審査方式にあります。これは、出願書類を受理した順に審査していき、出願要件を満たしている候補者に順次オファーを出していき、定員になった時点で募集を締め切る方式をいいます。

例えば、司法試験のように合格者の枠が(実質)決まっており、受験者同士が相対評価で競うのではなく、イギリスのロースクールでは、成績の絶対値をクリアしていれば、早い者勝ちでオファーがもらえる仕組みになっているというわけです。

次に、英語のスコアです。こちらは、以前のエントリーでも書いたので、詳細はそちらをご覧いただければと思いますが、条件付き合格制度のおかけで提出期限に余裕がありますし、最悪プレセッショナルコースに参加すれば補充できるので、出願時には気にしなくて大丈夫だと思います。

ぼくの選択

ただ単に、「イギリスに留学しました!」と言えるだけではキャラとして弱いだろうと思っていたので、留学を決意した当初から、イギリス×〇〇〇が必要になりそうなだと感じていました。

そこで、ぼくは、イギリス×データ法を軸にロースクールを選定することにしました。イギリスが強みを持っている分野の中でも、国際金融や仲裁よりは、データプライバシーの方が、アドバイスを必要としてる日本の会社の裾野が広いだろうと思ったからです。また、ちょうどこの頃から個人情報保護法の案件を事務所で担当することが多くなったり、サイバーセキュリティに関する書籍を出版する機会もあったりしたので、日本にいたときから身近な法分野であったことも影響しています。

また、研修先探しの動きやすさや、プライベート(家族の住環境含む)を考えると、立地については、ロンドンのロースクール一択でした。

まとめると、ぼくの希望は、ロンドンにあって、データ法を深く学べる、(できれば有名な)ロースクールとなりました。

ただ、先にも述べたとおり、オファーがもらえなければ始まりません。
ぼくのGPAを計算したところ、「3.35」でした。

ロースクールが要求するスコアとぼくの手持ちスコアがあまりに乖離しているところに出願しても、オファーは望めません。

これらの情報をもとに、ぼくは次の学校に狙いを定めることにしました。

  • キングス・カレッジ・ロンドン  Law & Technology LLM

  • ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン LLM

  • ロンドン大学クイーンメアリー Technology, Media and Telecommunications Law LLM


ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回は、ぼくが第一志望校をキングス・カレッジ・ロンドンに定めるまでを書きたいと思います!

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