料理や自然が美しい漫画は良い『北北西に曇と往け』

 前々から書店で見かけて気になっていたけどようやく読んだ。既刊6巻のアイスランドを舞台にしたミステリと日常が入り混じったコミック。日本人の主人公・慧は両親を亡くし、アイスランドに住む祖父・ジャックの家に居候し、探偵業を営み生活している。ある日、叔父夫婦とともに日本に住む弟・三知嵩と連絡がとれなくなりジャックとともに家を訪ねるが…。

 といった感じの導入。伝わる方は少ないかもしれないがハルタらしい作風で、アイスランドの荒涼としながらも美しい大地や冷たい空気、流れる滝、氷河と火山が共存する島の様子が、入江亜季先生の青年漫画と少女漫画の両特性を感じさせる線で表現されている。

 ストーリーはミステリアスな回と日常回で割とはっきり分かれており、事件性を感じさせる回もあれば、慧を取り巻く人々との平和な日常を描いた回もある。友人が訪ねてきてアイスランドの観光地を巡る回は見ていてとても楽しかったし、タイトルにも書いたように食事が美味しそうに見える。慧はコーヒーと肉を好んでおり(特に後者)頻繁に楽しんでいるシーンが描かれる。アイスランドは漁業が盛んらしいが、慧はとにかく肉が好きで頻繁に羊肉を、それはそれは美味しそうに食べている。

 こういうのをみていると、ものすごく行きたくなってくる。と思って調べると、一週間旅行に行こうとすると予算が40万くらいらしい。単純に遠いし、物価も日本の2倍以上とか。と見ていたら最近TBSでアイスランドの特番がやっていたり、先日首都レイキャビク近くで火山が噴火したりしているらしい。謎のタイムリーさ。

 こういう漫画に出会い、単純にストーリーを楽しむととともに、知らない世界を発見する。雄大であり荒涼、涼しい風が吹き抜ける大地や無数の滝。火山があるが故の温泉など…。死ぬまでに行ってみたいスポットにアイスランドを追加しておいた。

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