Toshi-san (采木Uneki 俊憲)

アディダスジャパン法務責任者(2024-) ← ZOZO法務責任者(2018-) ← …

Toshi-san (采木Uneki 俊憲)

アディダスジャパン法務責任者(2024-) ← ZOZO法務責任者(2018-) ← 法律事務所。並行して、慶応大学講師(現代アートマネジメント) グッズ:https://suzuri.jp/Toshi_san 趣味はイラスト、娘や妻と遊ぶこと、アプリ作り、家事、語学

最近の記事

法務部の仕事をサッカーで例えてみる話その2(戦術の回)

はじめに前回の続きで、自分が考える法務部の仕事の戦術について、サッカーに例えながらまとめてみます。前提も前回と同じです。 戦術(具体的な行動・指示)情報を取る【プル型】 取締役会、経営会議、その他会議体に陪席し又は議事録を確認し、重要パーソンと1on1などで個別に接触し、情報を取得して法務部内で共有し、次の動きを先読みしましょう。 法務部としてプレーする大前提として、社内外の情報収集、その理解と共有はリーダーの仕事です。リーダーは、自分のため・チームのために、情報に接する

    • 法務部の仕事をサッカーで例えてみる話(考え方の回)

      はじめに自分が考える法務部の仕事を、サッカーに例えながらまとめてみます。 (前提として、会社設立から20年程度、国内向け事業が成熟してきた上場企業、を想定しています。企業の個体差で状況が大きく変わるので、あくまでも一例として受け取っていただければと思います。) やるべきこと・目指すべきこと属人化からの脱出 法務機能が小規模(1名又は数名)の時は、仕事を属人化し、個々の力を発揮しやすくするのが最も効率的な対応方法(≒プレー)だったのだと思います。 ただ、会社や事業が成熟す

      • 下請法対応のために会社フローを仕組み化する話(マジ話回)

        下請法とは下請法はざっくり、大手企業が力関係を利用して弱い立場にある中小企業に、都合良い条件を押し付けることを禁止する法律です。 大手企業が、社内の都合(予算の制約や契約変更手続の煩雑さ)から支払条件や仕様の変更を強く「お願い」して「自主的に」応じてもらう場面が、典型的な危ないケースです。 違反するとどうなる違反が見つかれば企業は公正取引委員会から是正勧告を受け、ウェブサイトで事例として公表されます(例えばリストが公表されます)。過去数年でも、セブンイレブン、伊藤園、マツダ

        • 中途採用応募で大切なのは企業理念の理解とプロダクトへの愛という話

          ZOZO法務部の采木(うねき)です。今日は法務部へ中途採用の応募をされる方にお伝えしたい話です。 企業理念を理解する受ける会社の企業理念は確認し、覚えておきましょう。企業理念に対してどのように共感できるか、自分はどのように実践したいか・できるか、も考えておきましょう。会社への質問に繋げても良いと思います。 会社は、事業部・間接部門・法務部が力を出し合い、事業を成長させる組織体です。そのため、自分がその組織体の一員としてフィットする(+回りに良い影響を与える)人材であること

        法務部の仕事をサッカーで例えてみる話その2(戦術の回)

          ファインプレーに頼らないという話

          ZOZO法務部の采木です。今日は普段の取組みを少し紹介しようと思います。 ファインプレーは偶然、仕組みは必然私は、日々の業務を進めて行く際、ミスやうっかりのフォローについて「個人のファインプレーに頼らない」ような仕組みの改善を常に意識しています。 どんなに気を付けても管理系でのミスやうっかりはなくなりませんし、注意したり反省して気を付けたから再発を防げるというものでもありません。なので、個人の「ミスゼロ」を目指すのではなく、ミスやうっかりがそもそも生じないような仕組みやシ

          ファインプレーに頼らないという話

          ZOZO法務部コーポレートチームの話

          【2022年5月、コーポレートチーム募集はクローズしました。引き続き事業法務チームは中途採用を探しています】 ZOZOTOWN(株式会社ZOZO)法務部長の采木です。今日はZOZO法務部のコーポレート法務チームをご紹介したいと思います。 ZOZOはどんな会社か フロントチームの自由な服装のイメージから強気な社風を想像される方がいるかもしれませんが、実は真逆です。本業は洋服・化粧品などをお客様に1つずつ選んでいただき販売するというザ・小売業ですし、もう成熟規模になったため

          ZOZO法務部コーポレートチームの話

          法務部が取るべきスタンスの話

          画像はSlackアプリ「ほうむくん」です。 法務部のスタンスは会社によって様々だと思いますが、ZOZO法務部(事業法務領域)では以下の姿勢で法務相談に臨むべき、と思って仕事を進めています。 法務部のスタンス まずは、法務部のコアタスクとして: ①取引を法的に正しく分析し、やってはいけない最低ラインを明確に示す を行います。ただ、誠実に分析しても法的リスクが残ってしまう場合、これに加えて: ②事業目線で本当にやりたいことは何か・他の手法でも実現できないか ③法務だ

          法務部が取るべきスタンスの話

          ZOZO法務部がコーポレート領域でも中途採用を行っている話

          【2022年5月、コーポレートチーム募集はクローズしました。引き続き事業法務チームは中途採用を探しています】 株式会社ZOZO(ZOZOTOWN)法務部長の采木(うねき)です(画像はSlackアプリ「ほうむくん」です)。 ZOZO法務部では、コーポレート領域でも中途採用を始めました(リンク)。 一言でいうと ①時価総額1兆円超、②変化に柔軟でロジックで動く会社、③ファッション × Eコマースという(SDGs目線でも)今アツい業界で、コーポレートガバナンスを実践(トライ

          ZOZO法務部がコーポレート領域でも中途採用を行っている話

          ZOZO法務部が即戦力・中堅人材を募集している話(後編)

          ZOZO法務部の采木です。画像は法務相談Slackアプリ「ほうむくん」です。 ZOZO法務部では現在、中堅人材・即戦力人材を募集中です(募集要項 https://corp.zozo.com/recruit/recruit-zozo/legal/)。こちらの記事は、前編からの続きです。 ZOZO法務部のメンバー 2021年7月現在、約10名で法務(事業法務+コーポレート法務)を回しています。部員は20代から30代前半が中心(部長の私で40代半ば)、親会社Zホールディングス

          ZOZO法務部が即戦力・中堅人材を募集している話(後編)

          ZOZO法務部が即戦力・中堅人材を募集している話(前編)

          ZOZO法務部の采木です。画像は法務相談Slackアプリ「ほうむくん」です。 ZOZO法務部では現在、中堅人材・即戦力人材を募集中です(募集要項 https://corp.zozo.com/recruit/recruit-zozo/legal/)。 ZOZOは、本業で着実に成長し続け、新規事業にも多く挑戦している企業なので、法務としても充実した仕事に取り組める環境にあると思います。今回のnoteでは、募集要項では伝えきれない部分をまとめてみました。 株式会社ZOZOの事業

          ZOZO法務部が即戦力・中堅人材を募集している話(前編)

          今年も大学院でアートマネジメント(知的財産権・契約法)の授業を受け持っている話

          ZOZO法務部の采木です。画像は法務相談Slackアプリ「ほうむくん」です。 今年もアートマネジメント(知的財産権・契約法)の講義を大学院で行っています。アートマネジメントは、アートとその周辺領域(法務を含む)を扱うコースです。実務家の知見と個人的な知識をベースに色々な切り口で事案を検討できるので、とても楽しい授業です。 例えばこんな事例です。 - バンクシー(仮)が都内のあるビルの外壁に無断で作品を描き、話題になった - ところがそのビルのテナントBはその壁を削ってバン

          今年も大学院でアートマネジメント(知的財産権・契約法)の授業を受け持っている話

          法務は仕事に「飽き」てからが本領発揮、という話

          ZOZO法務部の采木です。画像は法務相談Slackアプリ「ほうむくん」です。 どの仕事でも、最初は新鮮で刺激的だったのが、一定時期を過ぎて慣れてくると飽きてくる・楽しく思えなくなることがあると思います。法務も例外ではなく、初めて見る取引について適用法の仕組みや契約書の条項を一つ一つ分析する段階ではワクワクして、全力で長時間取り組んでも惜しくなかったのが、繰返しになってくると次第に、新鮮な気持ちで向き合えなくなってしまいがちです。 ただ、「あなたが仕事に飽きてきた段階」は「

          法務は仕事に「飽き」てからが本領発揮、という話

          法務に大切な信頼残高という話

          ZOZO法務部の采木です。画像は法務相談Slackアプリ、ほうむくんです。 ファッションEコマース企業の法務部で稼働し、ここ1,2年は特に、法務部員の育成に力を入れています。彼らに仕事を最大限楽しんでもらうには何が大切か、会社により貢献するために必要な成長は何か、などを日々考えています。 最近改めて思うのが、法務部による法務検討や助言の内容を事業部が正確に理解すること難しいということ、ただ、それは実は必須ではないということ、です。法務部目線でいえば、事業部が契約書を読んで

          法務に大切な信頼残高という話

          ZOZOの法務部が(も)色々がんばっている話(FASHION x TECH編)

          (トップ画像はSlackアプリ「ほうむくん」です。) 「ZOZOの法務部」はどんな仕事をしているの?について、2020年の公表情報ベースで、事業法務について、分かりやすいものをまとめました。 WEARアイテム検索 ファッションSNS(WEAR)の投稿コーディネートをAIが自動解析し(トレンド解析をした上で)カスタマイズされたレコメンデーションを提供しています(リンク)。 投稿画像の鮮度と運営者側の使いやすさがキモなので、投稿者の個人データの利用についての適切な同意取得と

          ZOZOの法務部が(も)色々がんばっている話(FASHION x TECH編)

          ZOZOTOWNが法務のジュニアメンバーを募集する話

          株式会社ZOZO(ZOZOTOWN)法務部長の采木(うねき)です(画像はSlackアプリ「ほうむくん」です)。 中途採用を始めました 2020年より法務部強化に取り組んでいますが、まず中堅メンバーは昨年良い方に参加いただました。2021年前半は経験が浅い、これからの方を採用したいと思っています。Eコマースやファッションのビジネスに関心があり、法務を主軸にしたいと考える社会人0-3年目位の方をイメージしています。長い目で育成し、徐々に成長してZOZOに貢献してもらえたら良い

          ZOZOTOWNが法務のジュニアメンバーを募集する話

          大学院でアートマネジメント(知的財産権法・契約法)の授業をやった話

          (トップ画像はSlackアプリ「ほうむくん」です。) 慶応大学の文学部大学院のアートマネジメント分野専攻で知的財産権法・契約法の授業(前期のみ)を行いました。 どんな授業をしたか ケースメソッド中心の授業です。例えば、バンクシーが賃貸ビル(オフィスビルでテナントが1階に入居している)の壁に作品を描いた場合(こちら ↓ ではないです)、 - 作品の所有権はビルオーナーにあるか - テナントが壁を壊して作品を持ち去ったらどうなるか - テナントは原状回復義務を負うから、退出

          大学院でアートマネジメント(知的財産権法・契約法)の授業をやった話