見出し画像

法務部の仕事をサッカーで例えてみる話(考え方の回)

はじめに

自分が考える法務部の仕事を、サッカーに例えながらまとめてみます。

もはや見る専です

(前提として、会社設立から20年程度、国内向け事業が成熟してきた上場企業、を想定しています。企業の個体差で状況が大きく変わるので、あくまでも一例として受け取っていただければと思います。)

やるべきこと・目指すべきこと

属人化からの脱出

法務機能が小規模(1名又は数名)の時は、仕事を属人化し、個々の力を発揮しやすくするのが最も効率的な対応方法(≒プレー)だったのだと思います。
ただ、会社や事業が成熟すると、業務量が増えて難易度も上がり、正確・確実な対応が必須になってきます。こうなると業務を分類し、チームで分散し、原則として「型」で対応するプレーが正解になってきます。

仕事の「型」化(省力化⇔全力投入)

成熟企業では、法務マター(法律相談、契約書検討、トラブル回避など)について、着手から解決までの「型」を作り、それを社内に浸透させることが有益です。
サッカーでいえば、味方がボールを持った時にパスを受けるため・スペースを作るために回りの選手がトライアングルを作り続ける動き、に相当するものです。

  • もしも簡潔な唯一の相談システムが社内に用意されていれば、事業部門はそれを使ってすぐに相談ができます。

  • もしも過去の相談・検討の情報が集約されていれば、法務部門は、過去の類似ケースにアクセスして判断の相場を知ることができます。これにより、体感的には80-90%の案件について、解決の省力化を図れるでしょう。

大半のケースでの省力化
法務メンバーは、「型」に沿った対応を繰り返し、習熟が進めば回答内容や対応ポイントが身体に染み込んで行きます。こうなるといちいち一歩ずつ考えなくても、スムーズに対応(プレー)ができるようになります。
この状態になると思考の体力消耗をセーブできるようになります。いわゆる省力化です。その結果として、ケースごとの細かい違いに配慮する余裕が出てきます。こうなれば「気が利く」法務対応も実践しやすくなります。

限られたケースでの全力投入
残り10%の仕事については、使いやすい前例がないため、法務部門も時間と労力を投下し、他部署と協力して問題解決にあたります。連携レベルがその後の進行に大きく影響します。普段から部署間でパスをもらう・出すという(ボールを持つ側・持たない側の)動きの「型」を、相互に身につけておきたいところです。

法務のボランチ化

センターバック役に加え、ボランチ役で活躍できることもあります。

  • 法務は、会社全体をサッカーチームに例えると、まずはセンターバックのような守りの要の役割が重要です。ただ、健全な会社ではその役割が正面に出てくる機会は必ずしも多くはありません。

  • 健全な会社の普段の活動ではむしろ、相談を通じて得た情報を他部署に共有して必要な対応を引き出す、ボランチのようなボール回し役が期待されます。要は、他部署へのうまいパス出しが求められます。

他部署がボールを持っているときの動きも重要です。

  • 法務が自らボールをもらいに行くか、サポートを続けるかの判断が重要です(流れに任せるのではなく、自ら決める必要があります)。いずれの動きをする場合も、チーム全体に見えるように行う必要があります。チームに存在感・安心感を提供するためです。

  • チーム内で法務にパスを回してもらったら、まずはそのパス(法務を活用してくれたこと)に感謝を表明しましょう。そして感謝の表れとして、すぐに対応しましょう。もしも法務の手に負えない内容なら直ちに適切な部署にパスを出して下さい。手離れの良さも、チームに貢献できる重要なムーブです。

フェアプレーの徹底

会社全体をサッカーチームに例えるなら、チームの目標は、フェアプレーを徹底した上で試合に勝利することです。フェアプレーは継続的に勝利するチームにとって、大前提です。
この取引や企画をどうしてもやりたい、という個別の要望に対しては、それがフェアプレーに反しないか、審判や観客からの目線で判断しましょう。違法や不正な行為(フェアプレーに反する行為)はそれ自体がNGです。万が一やってしまうとペナルティが課されますし、将来も繰り返し報道され、顧客の印象に強く残ってしまいます。

フォーカス・オン・ザ・グッド(Focus on the good. “FOTG”)

「長所を活かそう」、これはとても重要なメッセージです。
たしかに、各自が自らの短所を補強しようと努力することは大切です。
しかしそれはあくまでも価値貢献のスタートラインに立つための準備です。ある人が本当に際立つ貢献ができるのは、自分の長所を活かしたプレーや動きができたときです。

  • まずは、自分の得意なことや長所を意識しましょう。(他人に質問して教えてもらうのが効果的です)

  • 次に、それを活かせるパスを多く回してもらえるように周囲に発信し続けましょう。

まとめ

自分が考える法務部の仕事を、サッカーに例えながらまとめてみました。万人にあてはまる内容ではないですが、こんな考えの法務がいたら、会社(チーム全体)は嬉しいのではないでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?