今週はAI半導体業界の盟主・エヌビディア(以下NVDA)の決算発表がありました。つい先日、ゴールドマンサックスのトレーディングデスクはNVDAをして「この地球上で最も重要な銘柄」と位置付け、ブルームバーグを通じて報道されたばかりです。それ程に、このNVDAは今や世界中の投資家の期待を一身に背負う立場にあります。
さて、そのNVDAの決算を見てみたいと思いますが、その前にまずはNVDAの業態のおさらいです。

NVDAは生成AIの開発に必要なGPU(Graphics Processing Unit=リアルタイム画像処理に特化した演算装置)を手掛ける企業で、いまやAI半導体「1強」の地位にあります。また、時価総額では全米3位(世界4位)に位置しています。

ChatGPTが登場したこの1年ちょっとの間で起こっているAIブームの中、同社のチップは需要逼迫で価格が高騰しており、特に、データセンター向けの売上が急増している状況です。では、先週発表された第4四半期決算のPLの概観を見てみましょう。


■売上高:221億300万ドル(前年同期比3.7倍、市場コンセンサスは205億5,000万ドル)
■純利益:122億8,500万ドル(前年同期比8.7倍)
■EPS :5ドル16セント(前年同期比5.9倍、市場コンセンサスは4ドル64セント)
■FY25第1四半期売上高ガイダンス:235~245億ドル(市場コンセンサスは220億ドル)

また、上記221億ドルの売上高をジャンル別に分解したものは次の通りです。

■Data Center:184億ドル(前年同期比5.0倍)
■Gaming:29億ドル(前年同期比+56%)
■Professional Visualization:4.6億ドル(前年同期比2.0倍)
■Automotive:2.8億ドル(前年同期比▲4%)

この様に、昨今の生成AIブームも相まって、データセンターが取り分け凄まじい勢いで伸びていることがお分かり頂けると思います。
ちなみに、上記は会計上の数値でありますが、現実を最も反映したキャッシュフローで見ても、売上高に占める営業CFの割合を示す営業CFマージンは52%と、驚異的な高収益体質であることが分かります。

この背景にあるのは、世の中の常識を超越した高い利益率の水準にあります。具体的には、売上高純利益率は56%におよび、そのベースとなる粗利率は76%です。これは分かり易く言えば、原価100万円のモノが400万円でもガンガン売れていく様なイメージです。
しかも、行列に並んでいるお客さんはMicrosoft、Google、Metaなど、超が付く太客。これらの太客が、つねに喉が渇いたようにNVDAのチップを欲しがっています。

これなら、与信リスクを一切心配する必要がありません。通常は、取引相手を精査したり調査するのに一定の経営資源が割かれますが、NVDAはそんなことに経営資源を取られず、縦横無尽に事業を展開することができるのです。

このNVDAの決算発表を受けて、世界中の株式市場の先物価格が上昇すると共に、日経平均は先週までの史上最高値であった38,915円を上回り39,098円で取引を終えるなど、凄まじい影響力を見せつけました。

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