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【108】風船と天国の妹:見えない理由に寄り添う思いやり

ある日、あるテーマパークでのこと。ピエロが子どもたちに風船を配っていました。その場には、風船を手に入れようとわくわくしながら列を作る子どもたちの姿がありました。風船を手にした子どもたちは、大事そうにそれを両親のもとへと持ち帰っていきました。

しかし、その中で一人の小さな男の子が、ピエロから風船を受け取ると、すぐにそれを空に放してしまいました。風船は高く高く飛んでいき、見えなくなってしまいます。普通ならば、その風船を手放したことを悔やむ子どもたちの姿を想像しますが、この男の子は何事もなかったかのように、再び列に並んだのです。

ピエロはこの行動に少し怒りを感じ、「風船は1人1個だよ」と男の子に注意しました。その瞬間、隣にいた女の子が、ピエロにこう告げたのです。

「この男の子は、天国の妹に風船をあげたんです!」

男の子は、このテーマパークに妹と一緒に来たかったけれど、その願いは叶わなかったのです。だから、せめて妹に風船の1個でもプレゼントしたかったのでしょう。ピエロは、その事情を聞いて、

「さっきの風船は妹さんの分で、この風船は君のだからね!」

と、男の子にもう1個の風船をあげたのです。男の子はとても喜んで、風船を大切に持って行ったのです。

この話が教えてくれるのは、一見理不尽に見える行動にも、必ず理由があるということです。

私たちは日常生活で、他人の行動に対して疑問を持ったり、時には不快に感じたりすることがあります。しかし、相手の背景や事情を知れば、理解できることが多いということです。相手の見えない理由に耳を傾け理解しようとする姿勢が、本当の「思いやり」のなのです。

★ワンポイント

私たちの周りには、見えない理由で苦しんでいる人がいます。理不尽に見える行動も、その背景を知ることで理解できる場合が多いのです。誰かの行動に対して疑問を感じたら、その人の事情を思いやる心を持つことが大切です。相手の見えない理由に寄り添うことこそが、真の思いやりなのかもしれません。

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