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娯楽映画研究所シアター 2022年1月24日(月)〜30日(日)

月曜更新! 今回から三週に渡り、女優・劇作家の高泉淳子さんをゲストにお迎えして、キネマティック・トーキングルーム出張所です! キネマ好きの二人のトークをお楽しみください!

1月24日(月)『サン・アントニオ』(1945年・ワーナー・デヴィッド・バトラー)

自分としても初のオンデマンド出版。受注を受けてから印刷、製本してお届け「Amazon KDP ペーパーバック」版です。電子書籍よりは「紙の本」がいい、ですよね!

2月20日からラピュタ阿佐ヶ谷で「番匠義彰:松竹娯楽映画のマエストロ」開催。ニュープリント2本を含む、23作連続上映! これだけの番匠監督の特集は、初めてです! 代表作「花嫁シリーズ」(番匠版)全8作もまとめて観ることができます。

今宵の娯楽映画研究所シアターは、エロール・フリンの傑作西部劇『サン・アントニオ』(1945年・ワーナー・デヴィッド・バトラー)。ここのところ、毎晩、アマプラで西部劇クラシックスを観ているが、見飽きることはない。これは戦後初のカラー西部劇として公開された。テクニカラーのピカピカした美しさ!

 舞台はアラモ砦のあるサン・アントニオ。テキサスで続発する牛泥棒は、盗んだ牛をメキシコへ運び、再びテキサスで売り巨万の富を得ていた。テキサスを愛する主人公クレイ・ヘイデン(フリン)は、その黒幕がサン・アントニオで派手に酒場を経営する富豪・ロイ・スチュアート(ポール・ケリー)であることを突き止め、その証拠の手帳を手に入れていたが…

 ヒロインは、ワーナー音楽映画ではお馴染みの美人アレクシス・スミス演じる歌姫ジーン・スター。サン・アントニオに向かう駅馬車で、クレイと知り合い、惹かれていく。このアレクシス・スミスのパフォーマンスもたっぷり。特に、古川緑波の愛唱歌「サム・サンデー・モーニング」のシーンは、ワーナー・ミュージカルの味わい!

 彼女のマネージャーを演じているのが、MGMやワーナーミュージカルでお馴染みのS・G・サカール! コメディ・リリーフとして、いつもの両手を頬にあてての「ヒュー!」のビックリポーズもやってくれる^_^

 コメディリリーフだが、事件の真相を知るキーマンでもある。悪役がもう一人、ロイのビジネス・パートナーで海千山千のレガール(ビクター・フランセン)。彼がロイを強請り仲間割れをして、事態はややこしくなる。

 終盤の酒場での銃撃戦が素晴らしい。敵味方入り乱れての壮絶な闘いのカタルシス!エロール・フリンは、さすがキレの良いアクション、身のこなしで、とにかくカッコいい。

 クライマックスは「アラモ砦」でのポール・ケリーとの一騎討ち! ジョン・ウェインの映画より15年も前の作品なのだけど、あの悲壮な闘いが浮かんできて、感無量となる。

 これは劇場のスクリーンで是非観たい! 鮮やかなオチまで、見どころの連続! とにかく傑作であります。

1月25日(火)『壮烈第七騎兵隊』(1941年・ワーナー・ラォール・ウォルシュ)・『大殺陣 雄呂血』(1966年・大映京都・田中徳三)

 今宵の娯楽映画研究所シアターは、エロール・フリン&ラォール・ウォルシュ監督『壮烈第七騎兵隊』(1941年・ワーナー)を正規品DVD(笑)をスクリーン投影。南北戦争の勇士で、さまざまな伝説を産んだ実在のジョージ・アームストロング・カスターの一代記。伝記と言っても第二次大戦中、アメリカの愛国心を鼓舞するために作られたWAR TIME MOVIE。エロール・フリンのカッコ良さ、妻を演じたオリヴィア・デ・ハビランドの良妻ぶりを中心に、相当史実を脚色してのハリウッド製伝記映画。

 ウエスト・ポイント入学から、はみ出しものの劣等生時代、そして無責任男よろしく、ウィン・フィールド・スコット中将(シドニー・グリーンストリート)にうまく取り入って最前線へ。さらに手違いで将軍に任命されて、八面六臂の大胆な活躍で勲功を挙げる前半。

 しかし除隊後、無気力になったカスターを見かねた妻・リビー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)が、スコット中将に頼んで、第七騎兵隊指揮官となる。持ち前の豪胆さで隊を仕切り、戦いの末にスー族の首長・クレイジー・ホース(アンソニー・クイン)と合意。彼らの聖地・ブラックヒルズは不可侵と取り決める。

 しかし、士官学校時代からの天敵・ネッド・シャープ(アーサー・ケネディ)とその父が経営する鉄道会社がブラックヒルズをも入手すべく、カスターを陥れようとする。ブラックヒルズに金鉱があるとフェイクニュースを流して、一攫千金を狙った連中が殺到。スー族だけでなく、一帯のネイティブの怒りを買ってしまう。アメリカ人を守るために、カスターは死を覚悟でスー族たちと戦うことに・・・

 1876年の「リトル・ビッグボーンの戦い」での第七騎兵隊の玉砕をクライマックスに、ヒーロー映画としてのカスター将軍の「やんちゃ行状記」が描かれる。エロール・フリンはタフガイとして実に魅力的で、デ・ハビランドの美しさも際立っている。

 この「リトル・ビッグボーンの戦い」は、ヴィクター・マチュアがクレイジー・ホースを演じた『ララミー砦の決闘』(1955年)、ロバート・ショウがカスター役の『カスター将軍』(1967年)などの西部劇で繰り返し描かれている。

 なかでも面白かったのが、カスター将軍は出てこない、ロイド・ブリッジスとジョン・アイアランドの斥候が主役の”LIttle Big Horn(決死の騎兵隊)"(1951年)だった。だけど、なんといっても傑作がジョン・フォード監督&ジョン・ウェインの『アパッチ砦』(1948年)ですなぁ。

 というわけで『壮烈第七騎兵隊』は、この時代のハリウッドの娯楽映画の底力が堪能できるスター映画。いろんな意味でアベレージでありました。

ここのところ、西部劇を観てから時代劇を楽しむパターンの日々。

市川雷蔵『大殺陣 雄呂血』(1966年・大映京都・田中徳三)は、阪妻さんの名作をリメイク。設定や展開は異なるが、追い詰められた主人公が、次々と追っ手(二つの藩の藩士、捕方)に、刀と脇差だけで立ち向かい、バッタバッタと斬って斬って、斬りまくる。このクライマックスのために、お話がある。

 ストイックで真面目、剣に生きているショウ布施拓馬(雷蔵)が、許嫁・浪江(八千草薫)の父から藩命として、殺人の汚名を被り、一年間の約束で出奔。ところが、父の死とともにその約定はなかったことにされ、謀反者として追われることに。また殺された他藩の樫山伝七郎(五味龍太郎)の兄・又五郎(内藤武敏)から仇として狙われる。

 真面目な武士が、旅の途中で財布を奪われ、人足となり、正義漢ゆえに、どんどん立場が悪くなる。次第に荒れて、無頼の徒となっていく。阪妻版ほどではないが、雷蔵さんが荒んでいく感じ、色気が出てきて、いいねぇ。

 で、クライマックスは「雄呂血!!!!!無限大」という感じで、大殺陣が堪能出来る。これを眺めているだけで、血湧き肉躍る!

 途中、怪我をした主人公を助ける第二ヒロイン、藤村志保さん。出番は短いが、その運命の儚さも含め、胸にせまる。八千草薫さんは、後半、売り飛ばされて遊女にやつすが、可愛いすぎ!

1月26日(水)『カンサス騎兵隊』(1940年・ワーナー・マイケル・カーティズ)・「ボバ・フェット」第5話「マンダロリアンの帰還」

ディズニー+「ボバ・フェット」第5話「マンダロリアンの帰還」。今回は久々に「マンダロリアン」のマンドー登場回。S2の「その後」で、俄然「スターウォーズ」を観ている気分になる。面白い、かっこいい、お!という驚きがある。マフィア映画的な「ボバ・フェット」にはない活劇の面白さ(笑)

 しかもN-1 スターファイターを改造して飛び回る。これはかつて共和国女王に仕えた近衛兵のスターファイター。そのテスト飛行で、マンドーは、ep1でアナキンが爆走した、タトゥーインのレースコースを飛ぶ。宇宙では新共和国軍のX-ウイングファイターも登場。

「マンダロリアン」シーズン3の前振りというか、ここから「ボバ・フェット」のクライマックスになるわけで。あと2回、もっと面白くなってくれるだろう(笑)

今宵の娯楽映画研究所シアターは、エロール・フリンとオリヴィア・デ・ハヴィランド主演『カンサス騎兵隊』(1940年・ワーナー・マイケル・カーティズ)。昨夜観た、同じカップルの『壮烈第七騎兵隊』(1941年)と同じく、ウエスト・ポイントから物語が始まる。今回、フリンの役は、士官学校のエリート、ジェブ・スチュワート。その親友・ジョージ・カスターにはロナルド・レーガン。二人が恋するカンサス美人・キット・ホリディにデ・ハヴィランド。

 構成もよく似ていて、士官学校の同級生で南部奴隷解放運動にのめり込んでいるレイダー(ヴァン・へフリン)と大喧嘩するところから始まる。レイダーは過激思想を広めようとした罪で、その場で退学。スチュワートとカスターは、卒業後、最も危険なカンサスの第二騎兵隊に派遣される。

 その頃、カンサスではレイダーが心酔していた、奴隷解放のためなら武力衝突も厭わない運動家・ジョン・ブラウン(レイモンド・マッセイ)の一党が、奴隷たちのために武器を密かに集めていた。しかもレイダーがその腹心として、ブラウンの一党に加わっていた…。

 ジョン・ブラウンといえば、アメリカで初めて「反乱」を起こした過激な思想家として知られる。1859年に、バージニア州ハーパーズ・フェリーで、アフリカ系奴隷解放のために蜂起を仕掛けるも、それに応じた奴隷はいなかった。この映画のクライマックスは、ハーパーズ・フェリーの蜂起に、騎兵隊を率いて乗り込むスチュワートとカスターの活躍を描く。

 ジョン・ブラウンは完全な悪役として描かれているが、奴隷解放についてはスチュワートもカスターも、キットもそれぞれ「時期がくれば」とリベラルな意見を持っている。といったバランス感覚もある。

 娯楽映画としても、西部劇としても、ヒーロー映画としても大作『壮烈第七騎兵隊』より、こちらの方が優れている。エロール・フリンの二枚目ぶり。ロナルド・レーガンの好漢ぶり。それぞれ魅力的で、ちゃんとバディ映画にもなっている。

 フリンがデ・ハヴィランドと結ばれ、レーガンは失恋するのだけど、デ・ハヴィランドが友人をレーガンに紹介する。その女の子は、『壮烈第七騎兵隊』でデ・ハヴィランドが演じるわけで、ややこしい。そういう意味では「カスター将軍バース」としても楽しめる(笑)

 ラスト近く、ネイティブ・アメリカンの預言者が、第二騎兵隊の精鋭たちが、いずれ闘うことになると予言。誰もが笑うが、ジョン・ブラウンの絞首刑がきっかけとなり、南北戦争が勃発することを知っている観客には、その予言が的中しているのがわかっているので… アメリカが第二次大戦に参戦する直前の映画なのだなぁと。

1月27日(木)『無法者の群』(1939年・ワーナー・マイケル・カーティズ)

東宝娯楽映画研究者で、情熱の人・高田雅彦さんの「植木等さんへの限りない愛」に満ちた「今だから!植木等」を読み進めています。著者の「熱」を通して「1960年代の熱気」が行間からブワーッと溢れ出てきます!こんな時代からこそクレイジーキャッツ!416ページの大著

 これまで東宝クレージー映画のインパクトに押されて、きちんと評価がなされなかった『クレージーの花嫁と七人の仲間』(1962年4月15日・松竹)について詳述したはじめての本でもあります。ラピュタ阿佐ヶ谷で近日上映!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、エロール・フリンとしては初の西部劇、テクニカラーも美しい『無法者の群』(1939年・ワーナー・マイケル・カーティズ)。ヒロインは名コンビのオリヴィア・デ・ハヴィランド。この年MGM の大作『風と共に去りぬ』(1939年・ビクター・フレミング)でメラニーを演じたばかり。キャトルドライブで旅ぐらしだったウエイド・ハットン(フリン)は、ジョージアのドッジ・シティで、かつての仲間だったジェフ・シュレット(ブルース・キャボット)が横暴の限りを尽くしていることを知る。町の新聞社の女性記者・アビイ(オリヴィア・デ・ハヴィランド)たちの懇願で、ウエイドはドッジシティの保安官となる。エロール・フリンのしなやかな肉体で、超絶スタントができる。燃えながら失踪する列車のスペクタクル。そしてジェフの情婦で、酒場の歌姫・ルビイ(アン・シェリダン)の歌唱シーンもふんだん。彼女が歌う「ジョージア行進曲」を客たちが合唱するシーンに、ああ、これが「東京節(パイノパイノ節)」の原曲か!と感無量。ワーナー西部劇の充実をたっぷりと味わった。

1月28日(金)『コロラド』(1948年・コロムビア・ヘンリー・レヴィン)

ラピュタ阿佐ヶ谷「番匠義彰:松竹娯楽映画のマエストロ」チラシが完成しました! 表1は番匠映画の面白さが凝縮された楽しいデザイン! 作品解説を執筆させて頂きました! 2月20日〜4月2日。上映可能な23作品上映!ニュープリントは2作品!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、グレン・フォードとウィリアム・ホールデン主演『コロラド』(1948年・コロムビア・ヘンリー・レヴィン)をアマプラのPD映画でスクリーン投影。

 ヘンリー・レヴィンは、この翌年『ジョルスン再び歌う』(1949年)や、ディーン・マーティンのマット・ヘルム・シリーズ『サイレンサー/待伏部隊』『同・殺人部隊』などコロムビアの職人監督。南北戦争で大量殺人を犯してしまったために、精神に異常をきたしてしまったグレン・フォードの主人公が、戦後、コロラドの判事となり、履き違えた法の番人となり、冤罪で次々と容疑者を絞首刑にする。戦友で保安官となったウィリアム・ホールデンは、親友のためにこれ以上殺人を犯させないために心を砕くが・・・

 スカッとした娯楽映画ではなく、第二次大戦後、ハリウッド映画で数多く作られた「ニューロティック映画」でもある。グレン・フォード、ウィリアム・ホールデンともに若さ溢れ、実に魅力的。二人が恋するヒロインに、エレン・ドリュー。日本公開作品は少ないがRKOの『吸血鬼ボボラカ』(1945年)などが印象的。

1 865年、南北戦争集結の日。南軍のオウエン・デヴァロウ大佐(グレン・フォード)は、北軍の残党を包囲して、相手が白旗を揚げているにも関わらず100名の兵士の虐殺を部下に命じた。しかもすでに南北戦争は終焉していた。オウエンは、戦場で相手を倒すことに無意識のうちに快感を覚えて、自制が効かなくなっていた。

 故郷のコロラドに、親友のデル・スチュワート大尉(ウィリアム・ホールデン)とともに、武勲を誇る兵士として帰郷。オウエンは判事に任命され、デルは保安官となる。意中のキャメロン・エメット(エレン・ドリュー)と結婚。オウエンは、デルも好意を寄せていたキャメロンを射止めて結婚。

 デルは、判事となったオウエンが精神的におかしくなっていることに気づいて、彼を暴走させまいと心を砕くが、オウエンは次々と権威を振りかざして、間違った判決を下して、無実の人たちを死に追いやってしまう。

 グレン・フォードが、常軌を逸して、自分に歯止めが聞かなくなる主人公の狂気を見事に演じている。ウィリアム・ホールデンは正義漢として、タフガイぶりを発揮して、とにかくカッコいい。グレン・フォードの壊れていく様は、何もそこまで、とも思うが、第二次大戦後、帰郷した軍人たちが抱えていた苦悩を反映させているのだろう。

 クライマックス、デルが自分の女房に懸想をしていると思い込み、嫉妬に狂って、さらにおかしくなったオウエンが、バッジを返上して行方不明になったデルを炙り出そうと、町に火をつける。もはや誰も止められない狂気。最後は、デルが業火のなかで絶命をするのだが、このシーンがなかなか。かつての部下・ジェリコ(ジェイムス・ミリガン)と格闘中、燃えさかる建物の壁が崩れて下敷きとなる。シンプルな二重露光なのだけど、リアルな描写に「お!」っとなった。

 異色西部劇だが、映画としてのアベレージは高く、1940年代ハリウッドのスタジオ映画のクォリティを堪能した。

1月29日(土)『ネブラスカ魂』(1948年・レスリー・フェントン・パラマウント)

娯楽映画研究所シアターは、アラン・ラッド&レスリー・フェントン監督『ネブラスカ魂』(1948年・パラマウント)をアマプラでスクリーン投影。

 凄腕のガンマン、スミス(ラッド)は、鉄道公安官として、列車強盗や不審事故を次々と解決。久しぶりに故郷、ネブラスカに帰ってくると、かつての恋人・マリアン(ブレンダ・マーシャル)は、親友・マレイ(ロバート・プレストン)と結婚していた。

 久しぶりにマレイとの友情を確かめるも、鉄道会社の事故対応をしながら派手に牧場を経営しているマレイは、すっかり人が変わっている。じつは、一帯を牛耳るボス・レブストック(ドナルド・クリスプ)と結託して、列車事故車両から、物資を横領、横流しをしていた。

 あれ? どこかで、この人間関係、見たことあるぞ? と思ったら、セシル・B・デミルの『大平原』(1939年)とよく似てる。ジョエル・マクリー、バーバラ・スタンウィック、ロバート・プレストンの関係と同じパターン。しかも同じロバート・プレストンがかつての親友→悪役というキャスティング。

 久しぶりにアラン・ラッドを観て、わが小林旭さんを思い出した。端正な顔立ち、小柄な体躯、身体を張ったアクション。無意識過剰ぶりも似ている。

 この頃のハリウッド西部劇は、子供にもわかりやすく、勧善懲悪のなかに「罪を憎んで人を憎まず」が通底している。スミスは、マレイの罪に目を瞑り、マリアンと一緒に、他の土地でやり直させようとするが、マレイは妻と親友の関係を邪推して、それも叶わない。つまり、下衆の勘ぐり。下衆野郎なのである。だから最後は自滅するのは『コロラド』(1949年)のグレン・フォード同様。女房の変心を、親友とデキているから、と思い込んでおかしくなるのも同じ^_^

 ここのところ、西部劇をたてつづけに観ているのは「活劇におけるモラル」の考察を始めたからで、最後は時代劇に戻っていくのだけど …子供の頃から西部劇が好き、というだけだけど^_^

1月30日(日)『幌馬車』(1950年・RKO・ジョン・フォード)

先程まで編集していました。これから準備して出かけます。当日.2000円。その価値あり、とチカラを入れました。番匠義彰監督コーナーにも作りましたよ! レア・レア・レアの東京映画時空探検へ!

1月30日(日)阿佐ヶ谷ネオ書房「佐藤利明の娯楽映画研究所SP 娯楽映画の昭和VOL.1」は、戦前・戦中・戦後の日本映画に活写された「東京探検」を試みます。築地川・丸の内・銀座・日比谷・渋谷・浅草の変遷をご一緒に体感しましょう!

今回も満員御礼!大盛況でした。2時間超えの長講となりましたが。PCL映画の成り立ちを、瀬川昌久先生の思い出と共に語り、映画における「築地川探検」を大瀧詠一さんとのフィールドワークのエピソードを交えてご紹介。地下鉄銀座線が開通した昭和初期の風景を、東急東横店の変遷、上野駅、稲荷町駅、浅草駅などを戦前、戦後の映画から読み解きました。

また『ゴジラ』(1954年)のゴジラ来襲と、『君の名は』(1953年)の東京大空襲のシークエンスの近似性について検証。幻の万国博覧会会場としての晴海、勝鬨橋の成り立ち、開閉などなどを、時空探検しました。

次回は、2月27日(日)開催です!

 ラピュタ阿佐ヶ谷で「番匠義彰 映画大全:娯楽映画のマエストロ」販売中です。おそらく世界で唯一のリアル販売です。Amazonで購入難しい、ネットは苦手、現物を見てから、という方はぜひ、ラピュタ阿佐ヶ谷で!2月20日から番匠特集始まります!鑑賞ガイドとして執筆しました!

 娯楽映画研究所シアターは、ジョン・フォード監督『幌馬車』(1950年・RKO)を30年ぶりに。PDの素材なので画質もトリミングもメタメタだったけど、オールロケーショの映画なので、バート・グレノンが捉えた風景が素晴らしく画面に引き込まれてしまう。

 1871年、エルダー(ワード・ボンド)率いる、ストイックなモルモン教徒の開拓者集団が、ユタとアリゾナの境の「サンファン」に、新開地を求めて旅を始める。気の良い若者コンビ、トラビス(ベン・ジョンソン)とサンデー(ハリー・ケリー・Jr.)が、エルダーに頼まれて、ワゴンマスターとして、幌馬車隊を率いることに。

 砂漠を抜け、水を補給しながら前進していく。水が尽きて飢えた「インディアンの蛇の薬売り」をしている旅芸人の一座と出会い、彼らを助ける。一座には、美しき踊り子・デンバー(ジョーン・ドルー)がいて、トラビスは勝気な彼女に惹かれていくが、苦労人のデンバーはその求愛をのらりくらりと交わす。

 モルモン教徒たちと、デンバー&サンデーの交流が微笑ましく、苦労しながらも楽しい旅が続くが、その途中で、シロ・クレッグ(チャールズ・ケンバー)率いるならずものの強盗団が、幌馬車隊に食料を求めてやってくる。

 アバン・タイトルでこのクレッグ一家の銀行襲撃の悪行を描いていて(ここだけセット撮影)、手負いの傷を受けながら保安官に追われてる彼らは、幌馬車たいに紛れて「サンファン」まで逃げようとする。

 ナバホ族との交歓の夜、クレッグ一家の男がネイティブの女性に乱暴したことがきっかけで、一味が本性をあらわしてから、サスペンスとなる。

 1時間26分の小品ながら、ジョン・フォードの演出は緩急自在。これぞ娯楽映画の楽しさに溢れている。クライマックス、クレッグ一味と、デンバー&サンデーの対決シーンは、お見事! 一瞬の銃撃戦だが、カット割も含めて計算し尽くしていて、映画的な快感を味わえる。

 ラストのサゲもあと口がいい。「騎兵隊三部作」の第二作『黄色いリボン』の直後に、その収益で作った小品だが、ベン・ジョンソン初の主演作として、丁寧に作られている。


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。