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トルコ10日間食べ歩きレポート

残りの人生全てを食べることに費やしたい。

そう思わせてくれるトルコ旅行だった。とにかく美味しいものがいっぱいある国だ。価格に対してのバリューもある。こんなに安く、こんなに美味しく食べれるのか、という満足感。地方の特別な料理もあれば、四季折々の食事もある。日本では味わえないようなスパイスだったり、味の組み合わせ。舌が刺激される。こんな風な可能性があるんだ、と思わされる。Lokanta ロカンタという大衆食堂に入れば、色鮮やかな料理が選び放題だし、レストランに入れば、Meze メッゼと呼ばれる前菜の付き出しやパンがこれでもかと出てくる。思わず食べ過ぎて、メイン料理を見送ることもしばしばだが、それも良い。

 

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まず感動したのはスープ。自分はスープが好きなんだな、ということに改めて気づかせてくれた。トルコ、ありがとう。トルコのスープ(çorba チョルバ)といえばレンズ豆のスープ、Mercimek メルシメックが一般的だ。美味しい。コクがある。正直、どこで頼んでも、どこで飲んでも、美味しい。昔、神戸でケナンというトルコ料理屋をやっていたタイフンさんによれば、動物の骨と一緒に出汁をとることもあるという。トマトや発酵豆、羊肉やモツが入っているバリエーションのものもあって飽きない。朝はこれとEkmekler エキメッキ=パンがあれば十分。スープが苦手な人は、パンだけでもいっぱいバリエーションがあるし、安くて美味いから、それだけでも満足できるだろう。でもトルコの朝食は実際もっと豪華だったりするのだけど。

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トルコ料理といえばケバブが思い浮かぶ。やはり肉料理はトルコの基本だ。スペインやフランス、カナダに行った時にも感じたが、肉の扱いは断然外国の方が進んでるな、と思うことがある。トルコもそうだった。肉は主に牛、鶏。豚は宗教上食べない。特筆すべきは羊。羊は美味い。特にKuzu クズと呼ばれる子羊の肉はマストで食べたい。日本でももっと食べる習慣があるといいのに思ってしまう。

肉の調理法は、焼いたり煮込んだり挟んだり。付け合わせを変えたり。スパイス効かせたり。出汁もとる。今回食した中で印象に残ってるのはsac tava サチタバ と呼ばれる、大きな鉄板で煮込んだ料理。羊肉とトマト、シシトウが入っていて、真ん中にピラフが添えられていた。それが出汁を吸ってまたそれが美味かった。köfte キョフテと呼ばれるハンバーグは弾力があるから、日本のものよりも食べ応えがある。

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野菜の使い方も上手だ。今回は冬に訪れたから冬野菜が豊富だったが、夏にはまた夏の野菜を使う。とりわけトマトは何にでもよく使う。ニンニクとレモンとオリーブオイルも必須だ。油を染み込ませたりする料理も多い。特にナスの揚げ浸しのような料理は堪らない。個人的には今回のトルコ旅行ではナス料理がNo1 ヒットだった。ペーストにして食べたりもするから、色んな食感でも楽しめる。ピラフを詰めたりもするがこれがまた味を吸ってて美味い。味を染み込ませるのはトルコ人の得意技だ。逆に、おでんはトルコで人気が出るだろうなと思っていたら、トルコ人のタイフンさんが同意してくれて嬉しかった。やっぱりな。

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魚介は残念ながら今回あまり食べる機会に恵まれなかったが、海沿いに行けばきっと美味しいものが食べられるのだろう。現地で知り合った日本人留学生のなおこさんは、イズミルという海辺の都市を旅したときに食べたイカリングが忘れられない、と言っていた。とにかく柔らかかったと。鮮度のこともあるし、やはり魚介は海沿いに限るのだろう。そういえば、イスタンブールではガラタ橋のふもとでサバサンドを出しているが、これは正直今ひとつだった。塩気がもう少しあってもいいのでは、と思った。私見だが、トルコでは油は多めに対して、塩はやや少なめな印象だった。その辺は台湾と一緒だろうか。

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塩が少なめに反して、甘いものは桁違いだ。トルコ人は本当に甘いものが好きだな、と感心してしまった。イスタンブールの街中には24時間やっている甘味処も珍しくない。Baklava バクラヴァと呼ばれる甘いペイストリーはよく知られているが、確かにこれが人気な理由はわかる気がする。層が重なっていて、食感を楽しめるし、バターも砂糖たっぷり使われていて甘く濃厚な味わいだ。生地もしっとりとシロップを含んでいて、やはりこれも味が染み込んでいる。夜9時を回っても、大の男達のグループがこぞって甘いものに舌鼓を打つ光景はなかなか見応えがあった。

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そう、食感。トルコ料理を10日間食べ続けた感想。サクッ、トロ〜、しっとり、ふんわり、もちっ。こうした擬音で表現できる料理が豊富だ。食感に関しては日本人も相当好きだが、トルコ人も負けず劣らずだろう。甘味でKazandibi カザンディビと呼ばれるミルク系のものがあるが、これに鶏の胸肉を加えて作る、Tavuk Göğüsü タヴック・ギョウズというものもある。甘いものに鶏?と、初めは仰天したが、食べてみると悪くない。これは食感を楽しむものなんだな、と理解できるのだ。しかし、その発想というか食い意地には舌を巻いてしまう。執着心のなせる技だろうか。

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たった10日だったが、いろんな料理に巡り会い、その度に沸き立つ興奮を抑えきれなかった。もっともっと食べてみたい、という興味を振り切り日本に帰ってきた。滞在初日だったか、留学生のなおこさんが「1日も無駄にせずトルコの料理を食べてください」と激励をくださった。その言葉を胸に秘めながらとにかく食べ歩いた10日間は充実していた。また再訪できる日を楽しみにしている。



そうそう、どこで飲んでもçay チャイにはホッとさせられた。一番じんわりさせられたのはこの紅茶だったかもしれない。

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