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【課題解決】中小製造業の技術経営 知覚による品質評価

中小製造業の商品開発を伴走・支援 TECH-TOSHIです。

今回は、東京理科大学 MOT(技術経営)における 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『顧客価値 知覚による品質評価』について、ご紹介します。


1.ポイント

内容は、

『価値マップにおける相対的価格と違い、相対的品質を把握することが大事である』

でした。

1)相対的品質:知覚品質による評価
  相対的価格は、競合製品の価格が判明すれば容易に把握できる。

  しかし、品質を単一尺度で把握することは容易ではない。

  製品やサービスの属性はそもそも多様、②顧客は多様な製品属性すべてに
  着目しているわけではない ため。

  ここの価値マップで考察しているのは顧客に「知覚された品質」のみである。

  顧客が認識せず、また価値を認めていない性能・機能の尺度でいかに優れて
 いても、それらは知覚品質には影響を及ぼさない。

  日本企業の製品には「過剰品質」のものが多いといわれる原因は、
 製品の機能や性能を評価する基準が、作り手側と消費者側とで食い違っている
 
ことにある。

  <過剰品質のパターン>
  ①顧客が要望する品質水準を「過剰」に上回っている。

  ②顧客が高水準を望んでいるわけではない属性、あるいは認識していない
   属性で、「過剰」に品質が高い。

  のいずれかに分類される。

2)表層の競争力
  知覚品質に対応する概念として、製造者側での適合品質(製造品質)があり、  
 設計時に目標として定めた機能・性能などの

  設計品質が、実際に製造された製品においてどれだけ達成されているか、
 すなわち設計品質への適合度で評価される。

  設計品質・製造品質は、消費者には直接見えない「深層の競争力」を構成する
 主要要因であるのに対して、

  知覚品質は直接消費者の目に触れる要因であり、「表層の競争力」に
 寄与する。

出所)網倉、新宅、『経営戦略入門』、P202-203

2.講義からの気づき

 講義から気づいたことは、

『新しい製品・サービスの品質は、顧客が実際に使ってみないと理解できず、さらに、顧客に聞かないとわからない。』 です。

顧客が認識せず、また価値を認めていない性能・機能では、知覚品質とはならないためであり、当初は、製品に対する顧客の評価技術も認識できないためです。


3.現状

 以前、勤務していた製造業において、ある商品を開発した際に、顧客へ見せるサンプルを3Dプリンターで作成したことがありました。

参考)

 顧客にとって初めて見る商品は、プレゼンで説明を受けてもイメージがつきにくいものなので、実物大のサンプルを作成してお見せすることがよくあります。

 これも、顧客が実際に商品を手に取って見ることで、顧客の『知覚品質』へ訴えることにつながり、見たことのない商品であっても、触ってみて体感することにより、より理解が深まると思われます。

 そのうえで、顧客にヒアリングすることで、顧客の評価基準とのギャップを明確にすることができると思われます。

4.解決策

また、
設計品質・製造品質は、消費者には直接見えない「深層の競争力」であり、知覚品質は直接消費者の目に触れる要因であり、「表層の競争力」とのことからも、

とかく、モノづくりにおいては、設計品質・製造品質にフォーカスしがちとなり、それは、顧客にとっては直接目に見えないため、イメージしにくいものとなります。

なので、最初は目に見えるモノ(サンプルなど)で体感してもらうことにより知覚品質に訴えて、認識してもらってから見えないけれども優れている品質・機能の説明をする という順番により、顧客に真の価値を認識してもらえると思われます。

5.今後の課題

 今後は、顧客の『知覚品質』がどこを見ているのかを念頭において、顧客へのプレゼンからヒアリングを行うことが大事です。

 また、知覚品質はあくまでも表層の競争力なので、深層の競争力である目に見えない品質を顧客に理解いただくことも一つの目標として、顧客との打ち合わせに臨むことも必要です。

 今回は、東京理科大学 MOTにおける 経営戦略とマーケティングに関連する講義から、『顧客価値 知覚による品質評価』について、TECH-TOSHIよりご紹介しました。

尚、その他にも、この分野においての実践的なノウハウを投稿しています。


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