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日本カメラ休刊からこみ上げる思い

日本カメラ休刊の知らせ。物事に永遠なんて無いけれど、まさかこんなに早くこの日が来るなんて。

昨年度はコンテストの審査員を1年間務めさせてもらい、今年は森山大道さんや蜷川実花さんと一緒に連載を持たせてもらっていました。仕事として、というよりもその事実が素直に嬉しかったし、それは写真家としての自信にも繋がっていました。

連載が決まったのは昨年開催した写真展「Kamuy」の会場。みにきてくださった佐々木編集長に、うちで何か伝えませんかと言われました。雑誌の連載がどれほどの影響を持つか、今はそんなもの無くなってしまったのかはわかりません。でも、カメラ雑誌での連載から生まれた名作がたくさんあるのも事実です。そんな歴史の1ページを自分が飾ってもいいものか。担当編集者でもある福元さんと毎月のようにディスカッションを重ねながら一緒になって連載を仕上げていく過程で、その不安は少しずつ自信につながり、いつの日かこの連載を見た誰かが写真に関わってくれたら嬉しいと思うようになっていったのです。

その連載も道半ばで終了してしまうことになりました。1年分用意した作品や構想は日の目を見ないままになりそうです。いやもちろん、そんなことが悲しいわけではありません。日本の写真文化をつないできた雑誌が失われることの喪失感が悲しいのです。

時代は大きく動き出しています。変化という言葉では言い表せないほどに。それは我々写真家の生き方にも大きな影響を及ぼすことでしょう。写真で生きていくという形が大きく変わっていく。

あらためて大きな時代の変革期に生きているという意味をもう一度考えてみようと思います。写真との関わり方、写真で生きていくというあり方。いまだからこそ、動く時期なのかもしれません。

日本カメラ編集部の皆様、本当にありがとうございました。必ずまたどこかでお仕事ご一緒できますことを。そして連載を読んでいただいた読者の皆様にもお礼を申し上げます。

僕の連載も最後です。ぜひ見届けてください。


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