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紙の時刻表

新幹線に乗る機会が増え、座席のシートに置かれた『トランヴェール』に収められた沢木耕太郎さんの「旅のつばくろ」を読むのが楽しみだということは以前に書いた。

今月号では時刻表が題材になっている。

私自身は電車の好きな子供だった。プラレールから始まり、小学生の高学年の頃には鉄道模型に夢中になった。夏と冬の2回は埼玉県の所沢まで祖母を訪ねて行き、その際には首都圏を走る色んな電車を見て回った。写真を撮ったり切符を集めたりもした。

それ以外の楽しみが「時刻表を読むこと」で、沢木さんが「時刻表には独自の楽しみがある」と書くのがよく理解できる。最近はインターネットで簡単に乗り換え検索などが可能で、時刻表を見る機会が減ったというのも頷ける。

昨年の夏、青春18切符を使って電車を乗り継いで和歌山県の串本まで行った。ダイビングをしに行ったのだ。しばらく前に同僚とこの話をした時、なんでわざわざ青春18切符でと笑われたけれど、久しぶりに時刻表を見ながらローカル線を乗り継いで旅行をしたかったのだ。

旅行中、やはり紙の時刻表や路線図を広げている人を何人か見かけた。歳の頃は私と同じか、ひょっとしたら年上だったかもしれない。でもすぐにピンときた。ああ、彼らもきっと青春18切符でローカル線を乗り継いでどこかへ向かっているのだろうな、と。

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